46 / 53
二章 旅立ちの日
46.神の欠片
しおりを挟む
「闇の神? 化身? 欠片? それが猫?」
『たかが猫と侮るとはの、まぁよい、詳しい話をするつもりもニャいのでニャ。とりあえず、ワシを助けてくれた事に礼を言いたくての。助かった、感謝するぞ』
「あ、はい。一つ聞きたいんだけど」
『ニャンじゃ』
「暗黒神の欠片な猫がどうしてあそこで死にかけてたんだ?」
『ンニャ……(それは……』
「それは……?」
『失敗したんじゃよ。闇の信徒の奴らがニャ、暗黒神テネブラシュヴェルの力の一部を召喚しようとして失敗、結果、ワシが生まれたんじゃ』
「すまん、全くもって意味が分からないんだけれど」
『簡単に言えばワシは失敗作のカスにゃんじゃよ。テネブラシュヴェルの小指の爪ほどの力しかニャい。信徒の奴ら、ワシを召喚し、失敗したと見るや河にポイ捨てしおってなぁ。それが昨日の事じゃ』
「ポイ捨て……失敗したとはいえ、信仰している神の一部をポイ捨てとは……」
『本当じゃよまったく。まぁ闇の信徒共はどいつもこいつも利己的で自己中心的で、横着者の自分都合だけで物を考えて独り善がりな行動をする身勝手極まりない俗物共じゃからニャ。神の怒りに触れるなど思考にニャいのじゃろ。自分がやる行いは全て神の為、神の為ならば許される、自分は正しい。そんな愚か者ばかりじゃよ』
「おうおう……随分とめちゃくちゃ言うじゃないか。仮にも信徒だろ……」
『ふん! ワシは怒っておるのじゃ! 百万歩譲ってポイ捨てはいいとしても! よりによって地の神の領域である土砂の中に埋め込み、尚且つその土砂ごと水の神の領域である河にドボンじゃぞ! クソが! あー思い出したらムカついてきたニャ! コニャクソ!』
「あの土砂の中にいたのか……」
チャロと一緒にポイ捨てされた土砂が、僕の見ていたものと同じかは定かでは無いけれど、他にも土砂に紛れさせて何かを捨てているという事もあり得そうだな。
なんて事を考えていると、モーニングを手にしたマスターが近寄ってきた。
僕は慌ててテーブルの上の手紙を隠すように、バッグへとしまい込んだ。
アリエスの名前がしっかり書き込んであるのだ、元王宮の人間のマスターに見られて良い事はないだろう。
「お待ちどうさまです。考え事ですか?」
「え?」
テーブルに置かれた料理からは、どれからも何ともいい匂いが漂ってきて、匂いを嗅いだ途端、腹の虫が盛大に鳴いた。
「真面目な顔でずっとぶつぶつ呟いてたので、考え事かなと」
「あぁ、そんな感じです」
チャロと話してました、なんて言えるわけがない。
「ンニャアアアオ(肉肉肉! これはとても良い物じゃぞ! 昨日初めて食べた時は天に登るかと思ったほどじゃ!)」
「いただきます(うるさいな! 静かに食べなよ!)」
興奮してケージをガタガタと揺らすチャロに肉を与え、僕は優雅な朝食をいただくべくナイフとフォークに手を伸ばした。
「ナァオ(おいお主、もうニャいぞ、足らん! ワシは再度肉を要求するニャ!)」
肉を速攻で食い尽くしたチャロが騒ぐが、僕は知らん顔をして食事を進めた。
『たかが猫と侮るとはの、まぁよい、詳しい話をするつもりもニャいのでニャ。とりあえず、ワシを助けてくれた事に礼を言いたくての。助かった、感謝するぞ』
「あ、はい。一つ聞きたいんだけど」
『ニャンじゃ』
「暗黒神の欠片な猫がどうしてあそこで死にかけてたんだ?」
『ンニャ……(それは……』
「それは……?」
『失敗したんじゃよ。闇の信徒の奴らがニャ、暗黒神テネブラシュヴェルの力の一部を召喚しようとして失敗、結果、ワシが生まれたんじゃ』
「すまん、全くもって意味が分からないんだけれど」
『簡単に言えばワシは失敗作のカスにゃんじゃよ。テネブラシュヴェルの小指の爪ほどの力しかニャい。信徒の奴ら、ワシを召喚し、失敗したと見るや河にポイ捨てしおってなぁ。それが昨日の事じゃ』
「ポイ捨て……失敗したとはいえ、信仰している神の一部をポイ捨てとは……」
『本当じゃよまったく。まぁ闇の信徒共はどいつもこいつも利己的で自己中心的で、横着者の自分都合だけで物を考えて独り善がりな行動をする身勝手極まりない俗物共じゃからニャ。神の怒りに触れるなど思考にニャいのじゃろ。自分がやる行いは全て神の為、神の為ならば許される、自分は正しい。そんな愚か者ばかりじゃよ』
「おうおう……随分とめちゃくちゃ言うじゃないか。仮にも信徒だろ……」
『ふん! ワシは怒っておるのじゃ! 百万歩譲ってポイ捨てはいいとしても! よりによって地の神の領域である土砂の中に埋め込み、尚且つその土砂ごと水の神の領域である河にドボンじゃぞ! クソが! あー思い出したらムカついてきたニャ! コニャクソ!』
「あの土砂の中にいたのか……」
チャロと一緒にポイ捨てされた土砂が、僕の見ていたものと同じかは定かでは無いけれど、他にも土砂に紛れさせて何かを捨てているという事もあり得そうだな。
なんて事を考えていると、モーニングを手にしたマスターが近寄ってきた。
僕は慌ててテーブルの上の手紙を隠すように、バッグへとしまい込んだ。
アリエスの名前がしっかり書き込んであるのだ、元王宮の人間のマスターに見られて良い事はないだろう。
「お待ちどうさまです。考え事ですか?」
「え?」
テーブルに置かれた料理からは、どれからも何ともいい匂いが漂ってきて、匂いを嗅いだ途端、腹の虫が盛大に鳴いた。
「真面目な顔でずっとぶつぶつ呟いてたので、考え事かなと」
「あぁ、そんな感じです」
チャロと話してました、なんて言えるわけがない。
「ンニャアアアオ(肉肉肉! これはとても良い物じゃぞ! 昨日初めて食べた時は天に登るかと思ったほどじゃ!)」
「いただきます(うるさいな! 静かに食べなよ!)」
興奮してケージをガタガタと揺らすチャロに肉を与え、僕は優雅な朝食をいただくべくナイフとフォークに手を伸ばした。
「ナァオ(おいお主、もうニャいぞ、足らん! ワシは再度肉を要求するニャ!)」
肉を速攻で食い尽くしたチャロが騒ぐが、僕は知らん顔をして食事を進めた。
1
お気に入りに追加
422
あなたにおすすめの小説

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

5歳で前世の記憶が混入してきた --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--
ばふぉりん
ファンタジー
「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は
「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」
この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。
剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。
そんな中、この五歳児が得たスキルは
□□□□
もはや文字ですら無かった
~~~~~~~~~~~~~~~~~
本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。
本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。

異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました
ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。
会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。
タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる