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二章 旅立ちの日
41.名前決定
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「アーーオ」
「おお、食べたか。それじゃ……ってもうないぞ。まさか丸飲みするとは」
「ォア」
「ん?」
猫の視線が、僕の皿の上のソーセージに向いている。
「だめだ。これは僕のだ」
「アーーオ!」
「だめ。これでも食べてなさい」
ソーセージの代わりに、他に頼んでいたソテーの一部を猫に与えた。
するとどうだろう、今度は小さな口で咥えて、もちゃもちゃと普通に食べたのだ。
「もしや」
ふと過ぎった考えを立証すべく、大き目のソテーを与えてみた。
すると先ほどと同じように胸元までの大きな口が開き、ムシャムシャとソテーを貪っている。
ということはつまり、小さ目の食べ物を与えれば胸元までは開かない、という事だ。
「閃いた」
紫色の体毛、そして胸元から口にかけてびっしり生えた白い牙。
言い換えれば紫に交じった白。
「猫、お前の名前はチャロだ。チャロライトっていう宝石があるんだけどな。そこから取ったんだ」
「ンォ」
「そうかそうか。気に入ってくれたか。嬉しいよチャロ」
「フニャ」
名前が気に入ったのか、お腹が満たされたのかは分からないが、チャロは大きなあくびをした後、くるりと丸くなってしまった。
眠くなったんだろう。
しっかり食べてしっかり眠れば、体力も気力も回復する。
いいことだ。
「おや。寝てしまったんですか」
「そうみたいです」
残りの料理を持ってきたマスターがチャロを見て優しそうに微笑んだ。
「こうしてみるとただの紫色の猫にしか見えませんね」
「そうですね。あれは少しショッキングでしたけど」
「間違いないですね」
マスターはそう言って、エールを片手に僕の対面側の椅子に座った。
「あれ。今日はもういいんです?」
「いいんですよ」
肩をすくめるマスターと乾杯し、僕はお腹を満たしていった。
「そういえば今日はリンネさんいませんね」
「はい。あの子は今日お休みの日なので……ガイアスさんがお店を出た後はオフで家に帰ったみたいですよ」
「なるほど」
「普段は住み込みで働いてもらってるんでね、たまに家に帰ってるんです」
「明日帰ってくるんです?」
「そうですね。リンネが気になるんです?」
「いやまぁ、気になるというか、今日の朝のお礼もしたかったですしね」
「あぁなるほど。かなりひどい二日酔いだったそうですね」
「お恥ずかしい事です」
「あっはっは! まぁまぁ、若いうちからお酒の限度は覚えた方がいいですからね」
「そのようです」
と、今日も今日とてマスターと酒を酌み交わし、その日の夜は更けていったのだった。
「おお、食べたか。それじゃ……ってもうないぞ。まさか丸飲みするとは」
「ォア」
「ん?」
猫の視線が、僕の皿の上のソーセージに向いている。
「だめだ。これは僕のだ」
「アーーオ!」
「だめ。これでも食べてなさい」
ソーセージの代わりに、他に頼んでいたソテーの一部を猫に与えた。
するとどうだろう、今度は小さな口で咥えて、もちゃもちゃと普通に食べたのだ。
「もしや」
ふと過ぎった考えを立証すべく、大き目のソテーを与えてみた。
すると先ほどと同じように胸元までの大きな口が開き、ムシャムシャとソテーを貪っている。
ということはつまり、小さ目の食べ物を与えれば胸元までは開かない、という事だ。
「閃いた」
紫色の体毛、そして胸元から口にかけてびっしり生えた白い牙。
言い換えれば紫に交じった白。
「猫、お前の名前はチャロだ。チャロライトっていう宝石があるんだけどな。そこから取ったんだ」
「ンォ」
「そうかそうか。気に入ってくれたか。嬉しいよチャロ」
「フニャ」
名前が気に入ったのか、お腹が満たされたのかは分からないが、チャロは大きなあくびをした後、くるりと丸くなってしまった。
眠くなったんだろう。
しっかり食べてしっかり眠れば、体力も気力も回復する。
いいことだ。
「おや。寝てしまったんですか」
「そうみたいです」
残りの料理を持ってきたマスターがチャロを見て優しそうに微笑んだ。
「こうしてみるとただの紫色の猫にしか見えませんね」
「そうですね。あれは少しショッキングでしたけど」
「間違いないですね」
マスターはそう言って、エールを片手に僕の対面側の椅子に座った。
「あれ。今日はもういいんです?」
「いいんですよ」
肩をすくめるマスターと乾杯し、僕はお腹を満たしていった。
「そういえば今日はリンネさんいませんね」
「はい。あの子は今日お休みの日なので……ガイアスさんがお店を出た後はオフで家に帰ったみたいですよ」
「なるほど」
「普段は住み込みで働いてもらってるんでね、たまに家に帰ってるんです」
「明日帰ってくるんです?」
「そうですね。リンネが気になるんです?」
「いやまぁ、気になるというか、今日の朝のお礼もしたかったですしね」
「あぁなるほど。かなりひどい二日酔いだったそうですね」
「お恥ずかしい事です」
「あっはっは! まぁまぁ、若いうちからお酒の限度は覚えた方がいいですからね」
「そのようです」
と、今日も今日とてマスターと酒を酌み交わし、その日の夜は更けていったのだった。
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