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二章 旅立ちの日
36.応急処置
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「どうしたんだい? そんなに慌てて」
「あ、あの! この猫……っぽいのがぐったりして倒れてたんです」
僕はそう言いながら振り返ると、そこには温和な顔をした老婆が立っていた。
「猫っぽい……?」
「この子です」
僕は老婆の目の前に猫っぽいのを突き出した。
「な……」
老婆は猫っぽいのを見ると、一瞬言葉に詰まって目を見開いた。
そして眉根を寄せて言った。
「けったいな猫だね。ついておいで」
「え?」
「助けたいんだろう? ならアタシについておいで」
「は、はい! ありがとうございます!」
僕は踵を返して歩き出す老婆の後を追った。
しばらく歩き、辿り着いたのは小さな小屋のような家だった。
「ここは?」
「アタシんちさ。ここにあるもので何とかなるといいんだけれどね」
老婆はそう言って扉を開け、中へ入り、僕もそれに続いた。
「随分と衰弱してるね……それに怪我もしてる……動物は専門外だけど、やるだけやるさ。助けられなくても文句は言わないでおくれよ?」
「言いません。絶対に」
「それじゃ、アンタも手伝っておくれ。名前は?」
「僕はガイアスといいます。旅の者です」
「そうかい。アタシはスコレス。薬師だ」
「よろしくお願いします、スコレスさん」
スコレスは棚から、色々な器具や薬らしきものを取り出して並べていった。
僕も指示に従いあれやこれやと、スコレスを手伝った。
時間にしては数十分といった所だろうか、猫っぽい動物の治療が終わり、その口にはチューブが入れられていた。
「このチューブの先のコレはなんですか?」
口から伸びるチューブの先には、薄い緑色の液体が詰められたパックが付いていた。
「これは栄養剤だよ。体力回復やら疲労回復やら、造血やら、いろんな効能があってかつ即効性も高い、ちなみに値段も高い」
「へぇ……凄いですね」
「だがこれは人間用だ。かなり希釈して使っているけど、こんなけったいな生物に効くかはわからないよ」
「効くといいんですけど……」
「そうさねぇ……助かるといいねぇ」
「はい」
僕はそう言った後、ぐったりと台に横たわっている猫らしき生物の頭を撫でた。
紫色の体毛は汚れでべったりとしていたが、撫でた時にピクリと少しだけ反応があったのが嬉しかった。
「あ、あの! この猫……っぽいのがぐったりして倒れてたんです」
僕はそう言いながら振り返ると、そこには温和な顔をした老婆が立っていた。
「猫っぽい……?」
「この子です」
僕は老婆の目の前に猫っぽいのを突き出した。
「な……」
老婆は猫っぽいのを見ると、一瞬言葉に詰まって目を見開いた。
そして眉根を寄せて言った。
「けったいな猫だね。ついておいで」
「え?」
「助けたいんだろう? ならアタシについておいで」
「は、はい! ありがとうございます!」
僕は踵を返して歩き出す老婆の後を追った。
しばらく歩き、辿り着いたのは小さな小屋のような家だった。
「ここは?」
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「言いません。絶対に」
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時間にしては数十分といった所だろうか、猫っぽい動物の治療が終わり、その口にはチューブが入れられていた。
「このチューブの先のコレはなんですか?」
口から伸びるチューブの先には、薄い緑色の液体が詰められたパックが付いていた。
「これは栄養剤だよ。体力回復やら疲労回復やら、造血やら、いろんな効能があってかつ即効性も高い、ちなみに値段も高い」
「へぇ……凄いですね」
「だがこれは人間用だ。かなり希釈して使っているけど、こんなけったいな生物に効くかはわからないよ」
「効くといいんですけど……」
「そうさねぇ……助かるといいねぇ」
「はい」
僕はそう言った後、ぐったりと台に横たわっている猫らしき生物の頭を撫でた。
紫色の体毛は汚れでべったりとしていたが、撫でた時にピクリと少しだけ反応があったのが嬉しかった。
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