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二章 旅立ちの日
24.男と女と平手打ち
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「あぁ!? 何でもねぇ! 消えろ!」
「あ、あぁ……た、たす、たすけ……!」
「てめぇは黙ってろ!」
と再びパァン! という破裂音。
今度は男が助けを求めようとした女の頬を平手打ち。
けしからん。
「あの、ご婦人に手をあげるのはよろしくありませんよ、男としての器の小ささを見せつけているようなものですからして、はい」
「はぁ? てめぇ舐めてんのか!」
男は僕の言葉に対し、口をワナワナと振るわせ、女の胸に当てていたナイフをこちらに向ける。
赤い顔を見ると、どうやら少し酒に酔っているようだ。
「いえ、そんなつもりはありませんよ。ただ無抵抗なご婦人をナイフで脅し、あまつさえ平手打ちなど、男として終わってるなぁと思っただけでして……」
「てめぇ! ぶっ殺す!」
僕の言葉を最後まで聞いたか聞かずか、男はナイフを振り上げて僕に襲いかかってきた。
「いけない!」
焦った様子の女の声が聞こえるが、酔った人間の振り上げたナイフなど脅威でもなんでもない。
アリエスとの組手に明け暮れていた僕からすれば、赤子の手を捻るようなものだ。
ナイフの切先が僕に届く前に、男の手首を掴み、その足を払ってしまえばいい。
「ぐえっ!」
掴んだ手首を捻り、倒れた男の背中を押さえ付けて肩と手首の関節を決める。
倒れた拍子に頭をぶつけないようにと、気遣いまでしてあげた。
「酔っ払ってナイフを使うなんて、下手をすれば転んで自分を傷付けてしまう事だってある。とっても危ないですよ」
男は関節を決められ、手から持っていたナイフが地面に落ちた。
僕はそれを空いている方の手で取り、男の手の届かない所に投げ捨てた。
「いででで! くそ! 離せ!」
「わかりました」
申し出に従い男を解放する。
「くそ! いきなりなんなんだテメェは!」
解放するなり男はふらつきながら立ち上がり、とんでもない事を言い出す始末。
「いきなり切り掛かってきたのは貴方の方ですよ?」
「うるせぇ!」
「なんでしょうか、まだやりますか? 貴方がどの程度の強さかは存じ上げませんが、酔っ払っている状態で勝てるほど僕は弱くないつもりですが」
「く……! 覚えてやがれ!」
男は吐き捨てるように言うと、ふらつきながら街中に消えて行った。
「あ、あぁ……た、たす、たすけ……!」
「てめぇは黙ってろ!」
と再びパァン! という破裂音。
今度は男が助けを求めようとした女の頬を平手打ち。
けしからん。
「あの、ご婦人に手をあげるのはよろしくありませんよ、男としての器の小ささを見せつけているようなものですからして、はい」
「はぁ? てめぇ舐めてんのか!」
男は僕の言葉に対し、口をワナワナと振るわせ、女の胸に当てていたナイフをこちらに向ける。
赤い顔を見ると、どうやら少し酒に酔っているようだ。
「いえ、そんなつもりはありませんよ。ただ無抵抗なご婦人をナイフで脅し、あまつさえ平手打ちなど、男として終わってるなぁと思っただけでして……」
「てめぇ! ぶっ殺す!」
僕の言葉を最後まで聞いたか聞かずか、男はナイフを振り上げて僕に襲いかかってきた。
「いけない!」
焦った様子の女の声が聞こえるが、酔った人間の振り上げたナイフなど脅威でもなんでもない。
アリエスとの組手に明け暮れていた僕からすれば、赤子の手を捻るようなものだ。
ナイフの切先が僕に届く前に、男の手首を掴み、その足を払ってしまえばいい。
「ぐえっ!」
掴んだ手首を捻り、倒れた男の背中を押さえ付けて肩と手首の関節を決める。
倒れた拍子に頭をぶつけないようにと、気遣いまでしてあげた。
「酔っ払ってナイフを使うなんて、下手をすれば転んで自分を傷付けてしまう事だってある。とっても危ないですよ」
男は関節を決められ、手から持っていたナイフが地面に落ちた。
僕はそれを空いている方の手で取り、男の手の届かない所に投げ捨てた。
「いででで! くそ! 離せ!」
「わかりました」
申し出に従い男を解放する。
「くそ! いきなりなんなんだテメェは!」
解放するなり男はふらつきながら立ち上がり、とんでもない事を言い出す始末。
「いきなり切り掛かってきたのは貴方の方ですよ?」
「うるせぇ!」
「なんでしょうか、まだやりますか? 貴方がどの程度の強さかは存じ上げませんが、酔っ払っている状態で勝てるほど僕は弱くないつもりですが」
「く……! 覚えてやがれ!」
男は吐き捨てるように言うと、ふらつきながら街中に消えて行った。
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