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第三章 波乱

48.ギルティ

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「う、嘘だろ……?」



「ふん」



 俺の横腹にぶち当たったバールが、ガラランと音を立てて地面に転がった。

 俺は勿論無傷。

 呆気に取られている男を鼻で笑い飛ばし、俺は腕を横に振り抜いた。



「ぎゃっ!」



 男はそのまま横に倒れ、頭を押さえて悶えていた。

 俺の腕の外側には、トンファー型の武器が取り付けられており、素材は勿論ダンジョンで獲れた高品質な物。



 カーボンや鋼よりも硬く、それでいて軽い。

 手元のスイッチを押せば、300万ボルトの電流を流してスタンバトンのように運用する事も出来る。



 そしてなぜ、大の大人にバールで殴りつけられても平気だったのかというと、今着ているボディスーツは特殊仕様であり、心臓や肝臓、脇腹など体の要所に外部からのショックを吸収してくれるプレートが使われている。

 

「ダンジョン内では散々言ったが……忘れているならもう一度言ってやる。狩られる気分はどうだ? ゴミ虫共」



「く……! 一斉にかかれ!」



「「「おお!」」」



「ふん、そうでなくてはな!」



 見える範囲にいる敵はざっと15人。

 全員手にはバットやバール、木刀などの武器が握られていた。



 それらを一瞥した俺は腰のホルスターから二丁の拳銃を取り出し、素早く発射していく。

 これは本物の拳銃ではなく、玩具屋で購入した電動ガンを隼人が改造したものだ。

 

 本来はBB弾を装填して使用する物だが、BB弾と言えど電動ガンから発射された弾丸は結構痛い。

 目に当たれば失明するし、服の上からでも痣が残る。



 そんな電動ガンを隼人が改造すれば――性能はお察しの通りえげつないものとなる。

 弾丸はBB弾ではなく、暴徒鎮圧用のゴム弾が発射されるようになっている。



 気になる電動ガンのモデルはデザートイーグル.50AE、色々なゲームに登場する有名な大口径のハンドガンである。

 本物のデザートイーグルはライフル並みの威力を誇るが、電動ガンにはそんな威力は無い。

 

 俺がこれを選んだのは勿論、格好良いからだ。

 コルトガバメントやリボルバーのスミス&ウエスンとも悩んだが、やはり両手持ちロマン武器としてはこれ以外無いだろう、という結論に至って購入した、



 まぁそんな話は置いといて。



 タンタンタンタン! とリズミカルな射撃音が鳴り、撃ち出された弾は男達の眉間や肩、胸に直撃していく。

 ダンジョンで鍛え上げた俺の射撃力はこちら側、リアルサイドでも通用する。

 体が覚えている、というヤツだな。



「がっ!」



「いってぇ!」



「ぶべっっ!」



 弾倉が空になるまで撃ち続け、態勢を崩した敵に一気に詰め寄って鳩尾目がけてトンファーの先を繰り出す。



 先端が綺麗にめり込んだ所で放電のスイッチをオン。

 バヂバヂバヂ! とスパークが光って昏倒。



「どうだ? 罪人の雷槌ギルティトールの味は」



「ガキのくせに……」



「安心しろ。撃ったのはゴム弾だ」



「うぐ……」



「いてぇ、いてぇよ……!」



「多少威力は強いがな。命がある分マシだろう?」

 

 数人を残して昏倒させた後、地面を転がっている男の1人の額に銃口を押し当てる。

 ゴム弾とはいえ、痛いものは痛い。

 

「ひ、ひひ……」



「何がおかしい」



「お前はもう終わりだ」



「ふざけた事言って――」

 

 額に銃口を押し当てていた男が急に引き攣った笑みを浮かべ、俺が口を開いた瞬間。

 パァン! という聞き慣れた乾いた音が後ろから聞こえ、背中に衝撃が走った。
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