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第二章 コーチング開始
31.初心者支援ギルド
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「おい。どうだ?」
「はい、とりあえず画像解析は終わりましたが……いかんせん画質が悪くて」
「構わねぇ。ククク……見てやがれ。吠え面かかせてやる」
眠らない町東京、昼夜問わず光に溢れ、また光が生み出す影に潜む者も数多くいる大都会。
今は使われなくなった雑居ビルの一室で、数人の男がほくそ笑んでいた。
初心者支援ギルド【アルカディア】、構成人数35名。
しかしその実態はPK集団であり、初心者狩りをメインに活動している団体だ。
複数の初級ダンジョンを狩場としており、装備や立ち振る舞いから初心者かどうかを判別して声をかける。
声をかける8割は女性であり、それが何を意味するのかは言わずもがなだろう。
悪辣なPK集団は多くないが、1つの町に必ず1集団はいると考えていいだろう。
雑に言えばどこの町にも不良やガラの悪い連中がいるという事だ。
そんなPK集団にはPK集団なりのネットワークがあり、様々な所で情報交換が行われている。
互いの利益の為に行う情報交換だが、ヤクザやチーマーのように抗争を行い縄張りを広げる場合もあるが――。
陰に潜み、闇を抱き、黒く染まった卑劣な心を持つ者達は今、一つの目的の為に手を組んでいた。
その目的とは勿論、PKの邪魔をし楽しむかのように仲間を蹂躙する謎のPKK。
重賀虎能充の特定と報復である。
関東圏の中でとりわけ目撃報告、被害報告が多い場所を縄張りとするPK達は互いに情報を出し合い、虎能充粛清計画を進めていた。
「被害にあったのは俺達だけじゃあねぇ。【ランドリック】も【ブレイキングセイバー】もやられてる。これ以上舐められるわけにゃあいかねぇんだよ」
アルカディアギルドマスターである男、後藤茂樹はプリントアウトされた写真をぐしゃりと握りしめた。
虎能充の顔の部分だけを引き延ばした写真の画像は荒いものの、ある程度は判別出来る物だった。
「今回はデカイバックも付いてるし、なんなら報奨金だってあるんだ。やってやろうじゃねぇか。テメェら気合入れろよ!」
「「「押忍!」」」
後藤率いる34名プラス、関東圏にいるPKK被害にあった者達は徒党を組み、見えない脅威が膨らんでいくのであった。
しかしながらそんな事は露も知らない本人は、幼きヴァルキリー達をヴァルハラの高みへ連れて行くため、今日も最上級ダンジョンの深層にて地獄とも思えるパワーレベリングを行っていた。
「ぶふぇああくっしょい!」
「む? 風邪か?」
「いや? 大方俺にやられたPK達が噂してるんだろ」
「かっかっか! モテる男はつらいな!」
「ゴミ虫共に噂されても嬉しくもなんともないね」
ダンジョンのセーフティゾーンにて、相変わらず真っ白に果てている祈達三人とは対照的に、風吹が入れたコーヒーを飲みながら二人は笑っていた。
「はい、とりあえず画像解析は終わりましたが……いかんせん画質が悪くて」
「構わねぇ。ククク……見てやがれ。吠え面かかせてやる」
眠らない町東京、昼夜問わず光に溢れ、また光が生み出す影に潜む者も数多くいる大都会。
今は使われなくなった雑居ビルの一室で、数人の男がほくそ笑んでいた。
初心者支援ギルド【アルカディア】、構成人数35名。
しかしその実態はPK集団であり、初心者狩りをメインに活動している団体だ。
複数の初級ダンジョンを狩場としており、装備や立ち振る舞いから初心者かどうかを判別して声をかける。
声をかける8割は女性であり、それが何を意味するのかは言わずもがなだろう。
悪辣なPK集団は多くないが、1つの町に必ず1集団はいると考えていいだろう。
雑に言えばどこの町にも不良やガラの悪い連中がいるという事だ。
そんなPK集団にはPK集団なりのネットワークがあり、様々な所で情報交換が行われている。
互いの利益の為に行う情報交換だが、ヤクザやチーマーのように抗争を行い縄張りを広げる場合もあるが――。
陰に潜み、闇を抱き、黒く染まった卑劣な心を持つ者達は今、一つの目的の為に手を組んでいた。
その目的とは勿論、PKの邪魔をし楽しむかのように仲間を蹂躙する謎のPKK。
重賀虎能充の特定と報復である。
関東圏の中でとりわけ目撃報告、被害報告が多い場所を縄張りとするPK達は互いに情報を出し合い、虎能充粛清計画を進めていた。
「被害にあったのは俺達だけじゃあねぇ。【ランドリック】も【ブレイキングセイバー】もやられてる。これ以上舐められるわけにゃあいかねぇんだよ」
アルカディアギルドマスターである男、後藤茂樹はプリントアウトされた写真をぐしゃりと握りしめた。
虎能充の顔の部分だけを引き延ばした写真の画像は荒いものの、ある程度は判別出来る物だった。
「今回はデカイバックも付いてるし、なんなら報奨金だってあるんだ。やってやろうじゃねぇか。テメェら気合入れろよ!」
「「「押忍!」」」
後藤率いる34名プラス、関東圏にいるPKK被害にあった者達は徒党を組み、見えない脅威が膨らんでいくのであった。
しかしながらそんな事は露も知らない本人は、幼きヴァルキリー達をヴァルハラの高みへ連れて行くため、今日も最上級ダンジョンの深層にて地獄とも思えるパワーレベリングを行っていた。
「ぶふぇああくっしょい!」
「む? 風邪か?」
「いや? 大方俺にやられたPK達が噂してるんだろ」
「かっかっか! モテる男はつらいな!」
「ゴミ虫共に噂されても嬉しくもなんともないね」
ダンジョンのセーフティゾーンにて、相変わらず真っ白に果てている祈達三人とは対照的に、風吹が入れたコーヒーを飲みながら二人は笑っていた。
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