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第二章 コーチング開始
26.遥か遠き理想郷
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「今日は夕方くらいまで話をして、そこからダンジョンに行きたいと思ってる。今がヒトサンマルゴー、13:05だから大体16時くらいを目安に考えておいてくれ」
「「「はいっ」」」
「僕は遠慮~」
「俺はいつでもいいぞお!」
その後は時間まで三人のレベルや適正ダンジョン、マジックアイテムや装備、フォーメーションや役割分担などの話をしていった。
会話の中でやはりとなったのが、回復を多めに持ち、マジックアイテムやスクロールなどは使わずに自分達より10~20下のレベルのダンジョンで活動していたようだ。
そして次のライブ収録は難易度を上げ、マジックアイテムも予算内で使っていくとのこと。
「ど、どうでしょうか」
佐藤さんが三人の話をある程度話した所で、様子を窺うように訪ねてきた。
「うーん。僕はマジックアイテムや装備メインの専門家だから何とも言い難いけれど、せめてステータス向上のタブレットや、スキル補助効果のある装備とかを揃えていった方が安全マージンもより取りやすくなると思うよ?」
「は、はい……!」
「ふん。隼人が言う事はもっともだ。だがそんな細かい事よりもっと短絡的でかつ効率的な方法がある」
「はっはぁ? コノが言いたい事が分かったぞ」
「えと、それは一体……」
相槌を打つ風吹さんはニタリと悪い笑みを浮かべており、俺は大きく頷いた。
そして飲みかけのほうじ茶ラテを一気に喉に流し込み、マントをばさりと広げて立ち上がった。
「それは! レベルだ!」
「レベル……ですか?」
「そうだ、レ・ヴェールだ。レベルが高ければ高いほど高難易度のダンジョンに挑む事が出来、かつ高品質なアイテムや装備がドロップする。そして高難易度のダンジョン素材は高く売れる! なんならそこの天才ボンボン青年が色を付けて買ってくれるやもしれん!」
「誰がボンボンか」
「で、でも私達はその……戦闘しながら歌って踊るので……高難易度なんてとても挑めません……」
「それはライブの時の話だろう? それに貴様らはまだ固有スキルに目覚めていない」
「こゆう……何の話ですか?」
俺の出したワードを聞き、ガールズ三人はそろって首を傾げた。
ただそれだけで周囲に花弁が待っているように錯覚してしまう美少女っぷり。
他のお客さん(男)達がチラチラ見て鼻の下伸ばしてるんだが……仕方あるまいて。
この子達の可愛さはそれだけ人を惹きつける素晴らしさがある。
「そうかぁ嬢ちゃん達はまだ知らんよなぁ」
「固有スキルはまぁ後で話そう。収録の時だけダンジョンに入るわけでもないだろう? レベリングだってするはずだ」
「それはそう、ですけど……」
「適正レベルより下のダンジョンでレベリングをしても効率は落ちる、しかし安全面を考えると――という所だろう?」
「はい。そうです」
「だがもっと強くなりたい、とそう言いたいんだろう?」
「……はい。我儘ですみません、ヴォイドさんなら、って思って……」
佐藤さんは申し訳なさそうに俯いてしまった。
「……ふん。頼られるのは悪くない。だからこそ! 今日は徹底的に付き合う、というより付き合わせるつもりだ。そしてそれが終わり、実を結んだのなら今日話した事を実践していけばいい」
「わ……わかりました」
「そろそろ時間だ。出るぞ。ベイビーヴァルキュリア達よ」
こうしてファミレスを出た俺達はそのまま目的のダンジョンへと向かったのだった。
「「「はいっ」」」
「僕は遠慮~」
「俺はいつでもいいぞお!」
その後は時間まで三人のレベルや適正ダンジョン、マジックアイテムや装備、フォーメーションや役割分担などの話をしていった。
会話の中でやはりとなったのが、回復を多めに持ち、マジックアイテムやスクロールなどは使わずに自分達より10~20下のレベルのダンジョンで活動していたようだ。
そして次のライブ収録は難易度を上げ、マジックアイテムも予算内で使っていくとのこと。
「ど、どうでしょうか」
佐藤さんが三人の話をある程度話した所で、様子を窺うように訪ねてきた。
「うーん。僕はマジックアイテムや装備メインの専門家だから何とも言い難いけれど、せめてステータス向上のタブレットや、スキル補助効果のある装備とかを揃えていった方が安全マージンもより取りやすくなると思うよ?」
「は、はい……!」
「ふん。隼人が言う事はもっともだ。だがそんな細かい事よりもっと短絡的でかつ効率的な方法がある」
「はっはぁ? コノが言いたい事が分かったぞ」
「えと、それは一体……」
相槌を打つ風吹さんはニタリと悪い笑みを浮かべており、俺は大きく頷いた。
そして飲みかけのほうじ茶ラテを一気に喉に流し込み、マントをばさりと広げて立ち上がった。
「それは! レベルだ!」
「レベル……ですか?」
「そうだ、レ・ヴェールだ。レベルが高ければ高いほど高難易度のダンジョンに挑む事が出来、かつ高品質なアイテムや装備がドロップする。そして高難易度のダンジョン素材は高く売れる! なんならそこの天才ボンボン青年が色を付けて買ってくれるやもしれん!」
「誰がボンボンか」
「で、でも私達はその……戦闘しながら歌って踊るので……高難易度なんてとても挑めません……」
「それはライブの時の話だろう? それに貴様らはまだ固有スキルに目覚めていない」
「こゆう……何の話ですか?」
俺の出したワードを聞き、ガールズ三人はそろって首を傾げた。
ただそれだけで周囲に花弁が待っているように錯覚してしまう美少女っぷり。
他のお客さん(男)達がチラチラ見て鼻の下伸ばしてるんだが……仕方あるまいて。
この子達の可愛さはそれだけ人を惹きつける素晴らしさがある。
「そうかぁ嬢ちゃん達はまだ知らんよなぁ」
「固有スキルはまぁ後で話そう。収録の時だけダンジョンに入るわけでもないだろう? レベリングだってするはずだ」
「それはそう、ですけど……」
「適正レベルより下のダンジョンでレベリングをしても効率は落ちる、しかし安全面を考えると――という所だろう?」
「はい。そうです」
「だがもっと強くなりたい、とそう言いたいんだろう?」
「……はい。我儘ですみません、ヴォイドさんなら、って思って……」
佐藤さんは申し訳なさそうに俯いてしまった。
「……ふん。頼られるのは悪くない。だからこそ! 今日は徹底的に付き合う、というより付き合わせるつもりだ。そしてそれが終わり、実を結んだのなら今日話した事を実践していけばいい」
「わ……わかりました」
「そろそろ時間だ。出るぞ。ベイビーヴァルキュリア達よ」
こうしてファミレスを出た俺達はそのまま目的のダンジョンへと向かったのだった。
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