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第二章 コーチング開始
21.込み上げる熱いパトス
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唐突だが世界には序列というものが存在している。
俗に言うワールドランキングだが、これは総合的なものから職業的なものまで幅広く分割されている。
ダンジョンを攻略していく上で、探索者にもっとも重要なファクターである癒し。
回復ポーションであったり回復ハーブであったり。
生傷や疲労を癒す事は何よりも大事な事だ。
ダンジョンを攻略する職業構成として、大体は近距離中距離遠距離と大まかに分かれている。
遠距離職であるヒーラー、治療術師は圧倒的に数が少ない。
魔法やスキルというものは、基本的にその人が強く望んだ形が現れるとされている。
しかし世の中の皆々はどうやら血の気が多い方が多いらしく、攻撃魔法や攻撃スキルばかり会得していく傾向がある。
そんな中で他人を癒したい、他人の助けになりたい、支えになりたい、という想いが強い人というのは中々に少ない傾向がある。
さらにそういった想いを持つ人は大概が女性であるため、色々な所から引っ張りだことなる。
それを踏まえた上で、風吹剛三郎という人物について少し触れたい。
俺は16歳の頃、半年ほどとあるパーティに所属していた事がある。
異端黙示録というパーティで、俺を含めて6人。
近接が3人タンクと剣士、斧戦士、中距離で俺、遠距離で魔法使いとヒーラー。
その中のヒーラーを請け負っていたのが風吹さんだった。
今では世界12英癒師の1人に数えられる程の人だ。
この人がいればダンジョン内で死んでも死なないとまで言われており、現に致命傷を負おうが腕を切り落とされようが頭を潰されようが、風吹さんの治癒能力があれば即座に完治してしまう。
それほどの傑物だった。
俺がどうして風吹さんにコンタクトを取ったかと言うと、それは勿論佐藤さん含め、平凡Dガールズを強化するためだ。
早計とは思わない。
なぜならばきっと佐藤さんはイエスの返事をくれると、俺は信じているからだ。
「というわけなんですが……」
『おぉ、その子達なら俺もよく知ってるぞ。可愛いよなぁ! いいぜ!』
「ありがとうございます。細かい事は後ほど、えぇ、はい。よろしくお願いします」
風吹さんに快諾してもらい、そのまま通話を切った。
結局今日は一度もダンジョンに潜っていない。
こんな事は初めてだった。
目的の為に毎日ダンジョンに潜って来た俺がだ。
「そういえば……人から頼られるのって隼人以外では無かったな」
意識していたわけじゃあないけれど、人との関係性は極めて希薄だった。
昨日のカレーは濃厚で、他人の事を考える余裕すら与えてくれた。
実に滋味深く、それでいて体の奥底から煮えたぎるマグマのようなパトスが沸いてきたのだ。
自分でも何を言っているのか分からないけれど、今であれば色々な事に精力的になれそうな気がするのだ。
昨日全く眠れなかったというのに今も目がギンギンに冴え、思考も鋭くなっている。
これが佐藤さんのカレーパワーだとするなら、あの子はとんでもなく料理上手だという事だ。
俗に言うワールドランキングだが、これは総合的なものから職業的なものまで幅広く分割されている。
ダンジョンを攻略していく上で、探索者にもっとも重要なファクターである癒し。
回復ポーションであったり回復ハーブであったり。
生傷や疲労を癒す事は何よりも大事な事だ。
ダンジョンを攻略する職業構成として、大体は近距離中距離遠距離と大まかに分かれている。
遠距離職であるヒーラー、治療術師は圧倒的に数が少ない。
魔法やスキルというものは、基本的にその人が強く望んだ形が現れるとされている。
しかし世の中の皆々はどうやら血の気が多い方が多いらしく、攻撃魔法や攻撃スキルばかり会得していく傾向がある。
そんな中で他人を癒したい、他人の助けになりたい、支えになりたい、という想いが強い人というのは中々に少ない傾向がある。
さらにそういった想いを持つ人は大概が女性であるため、色々な所から引っ張りだことなる。
それを踏まえた上で、風吹剛三郎という人物について少し触れたい。
俺は16歳の頃、半年ほどとあるパーティに所属していた事がある。
異端黙示録というパーティで、俺を含めて6人。
近接が3人タンクと剣士、斧戦士、中距離で俺、遠距離で魔法使いとヒーラー。
その中のヒーラーを請け負っていたのが風吹さんだった。
今では世界12英癒師の1人に数えられる程の人だ。
この人がいればダンジョン内で死んでも死なないとまで言われており、現に致命傷を負おうが腕を切り落とされようが頭を潰されようが、風吹さんの治癒能力があれば即座に完治してしまう。
それほどの傑物だった。
俺がどうして風吹さんにコンタクトを取ったかと言うと、それは勿論佐藤さん含め、平凡Dガールズを強化するためだ。
早計とは思わない。
なぜならばきっと佐藤さんはイエスの返事をくれると、俺は信じているからだ。
「というわけなんですが……」
『おぉ、その子達なら俺もよく知ってるぞ。可愛いよなぁ! いいぜ!』
「ありがとうございます。細かい事は後ほど、えぇ、はい。よろしくお願いします」
風吹さんに快諾してもらい、そのまま通話を切った。
結局今日は一度もダンジョンに潜っていない。
こんな事は初めてだった。
目的の為に毎日ダンジョンに潜って来た俺がだ。
「そういえば……人から頼られるのって隼人以外では無かったな」
意識していたわけじゃあないけれど、人との関係性は極めて希薄だった。
昨日のカレーは濃厚で、他人の事を考える余裕すら与えてくれた。
実に滋味深く、それでいて体の奥底から煮えたぎるマグマのようなパトスが沸いてきたのだ。
自分でも何を言っているのか分からないけれど、今であれば色々な事に精力的になれそうな気がするのだ。
昨日全く眠れなかったというのに今も目がギンギンに冴え、思考も鋭くなっている。
これが佐藤さんのカレーパワーだとするなら、あの子はとんでもなく料理上手だという事だ。
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