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第一章 始まりのハジマリ

20.決意

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 翌日、『カレーありがとうございました、美味しかったです。動画も見ました。アドバイスがあります。もしよければお返事ください』という内容のメモを洗った鍋に入れ、隣の部屋の前に置いておいた。



 返事が来なければそれでいいし、もし来たらきちんと俺なりにアドバイスをさせて頂こう。

 向こうは有名人だし、変な事は教えられないしな。

 

「なんかそう考えると萎縮するわな」



 大人気アイドルグループのセンターとか、俺からしたら雲の上のような存在だしな。

 隼人に茶化された時は素知らぬフリをしていたけど、実際ここまで関わってしまうとどうにも割り切れない。



「待てよ……?」



 佐藤さんからカレーを貰った時に言っていた言葉。



『運命ですね! 大好きです! 今度一緒にダンジョン行きましょう!』



 あれはもしや俺の強さを見抜き、ダンジョンに行って自分達を鍛えてくれというメッセージだったのではないのか?



 その強さが大好き、これもクロノスの導いた運命である、ゆえに盟友として自分達を高みへ連れていってはくれまいか、という魂の訴えだったのではないのか?



 自らの弱さを認め、他者を認め、他者の力を利用してまでも力を貪欲に求める。

 

「なんてこった……」



 佐藤さんがそこまで力を求めているとは思わなかった。

 だがまだその事を恥じているように見える、だからこそあの時異様に顔を赤くして照れていたのだ。



 よし、佐藤さん、君のその貪欲な覚悟受け取った。

 もし君が俺の誘いに乗ってくれるのなら、俺は絶対に君達を高みへ連れていこう。



 俺は拳をぐっと握り、己の心にそう誓った。



「ママー、あの人一人でブツブツ言ってるよー?」

「しっ! 見ちゃいけません!」



 などという声が聞こえたが俺の事ではないだろう。

 そうと決まればまずやる事がある。



 ポケットから携帯を取り出し、とある人物に電話をかける。

 数回のコール音の後、携帯越しに野太く野性的な声が聞こえてきた。



『おぉー! 久しぶりだなぁコノ! どうした!』

「お久しぶりですおやっさん。ちょっと相談がありまして」

『なんだなんだ? 恋と金の相談には乗れねぇぞ?』

「そんなんじゃないですよ。少しお力をお借りしたくて」

『いいぞぉ! 他ならぬコノの頼みだ、聞かないわけがないだろう』

「ありがとうございます。実は――」



 電話の相手は風吹剛三郎さん、一時期しばらくパーティを組んでいた人だ。
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