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第一章 始まりのハジマリ
7.アイドルの平凡で強烈な恋
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平凡Dガールズ。
キャッチフレーズは歌ってバトって踊れるアイドル。
ステージに上がってキャピキャピする既存のアイドルではなく、ネット活動をメインにしている、どこにでもいそうな平凡な女の子達によるアイドルグループ。
ライブは全て配信で行っており、そのステージはダンジョンの探索中であったり、ボスフロアでの戦闘中である。
命を懸けた戦闘中に歌い、踊りながら敵を撃破していく、その姿に賛否両論はあるけれど、疾走感に満ち溢れたライブは人気があった。
そして結成から二年が経った今、トゥイッターやチックタック、ドマチューブなどの動画配信サイトで見ない日は無く、フォロワー2000万人を超える超大物アイドルとして成長を遂げた。
メンバーは三人、平凡Dガールズ発案者にして創設者、永遠のリーダー佐藤祈、赤色担当、リボンの付いたヘアバンドが特徴的な元気娘で武器は双剣。
青色担当、高橋瑠璃、いつでもクールな表情を崩さないクールビューティ、武器はショートソードとバックラー。
ツインテールのロングヘアー、蝶のリボンがチャームポイント。
緑色担当、田中翆、おっとりふんわりキャラだが戦闘になるとキレのあるダンスと槍術でオーディエンスを魅了する。
腰まであるシルクのように滑らかな金髪が特徴的。
三人はいつも仲良しで、意見の衝突もあるがそれはダンジョン攻略やダンス、歌に関してだけだ。
プライベートでも三人はよく遊んでいて、レベル上げや素材集めの為のダンジョン探索も一緒だった。
あの事件の時は本当にたまたまソロで探索していたのだ。
「はぁ……困ったな」
いつもは中級ダンジョンの中難易度の場所に行く。
しかしあの時はソロという事もあって安全マージンを多く取って、ソロでも無難に踏破出来る陰陽ダンジョンを選んだ。
そこまではいい、問題はそこから。
陰陽ダンジョンは比較的初級探索者が多く、そこにソロでいたもんだからきっとPKに目を付けられたのだ。
そして――あの事件だ。
「かっこよかったなぁ……」
もう駄目だ、人生終了だ、と絶望に飲み込まれそうになった時、颯爽と現れた私のヒーロー。
どうにかしてもう一度会いたい、一度と言わず何度でも会いたい。
高鳴る胸の鼓動は抑えきれず、あのシーンを思い出すだけで顔が熱くなってしまう。
「これは、やられたかなぁ」
佐藤祈、彼氏無し歴17年。
最後の恋は小学生。
しかしそれも淡い恋心であり、まだ好きという概念がはっきり理解出来ていなかった時の事だ。
それを考えればこれが初恋というものではないだろうか。
私は胸のあたりをきゅっと握り、深くため息を吐いた。
「は! めっちゃいい事思いついたよ私! 私凄い! でもどうやって見つければいいのぉ~~~」
テンションが上がったと思えば急降下、こんなに気分がジェットコースターなのは生まれて初めての事。
ベッドに体を投げ出し、壁にかかっているズボンを見詰める。
「ヴォイドさん、って言ったっけ。確かツナ缶が好きなんだよね? たくさんツナ缶持って行ったら喜んでくれるかな? でもいきなりそんな事したら押しかけ女房みたいで……きゃー! 押しかけ女房だって! って……何言ってるの私……はぁ……」
ヴォイドさんに助けられてからの私は殆どこんなんである。
(恋なんてしない! 彼氏がいなくても、ファンのみんながいてくれたら私はそれでいい! とか言ってた私どこいった~!!!)
キャッチフレーズは歌ってバトって踊れるアイドル。
ステージに上がってキャピキャピする既存のアイドルではなく、ネット活動をメインにしている、どこにでもいそうな平凡な女の子達によるアイドルグループ。
ライブは全て配信で行っており、そのステージはダンジョンの探索中であったり、ボスフロアでの戦闘中である。
命を懸けた戦闘中に歌い、踊りながら敵を撃破していく、その姿に賛否両論はあるけれど、疾走感に満ち溢れたライブは人気があった。
そして結成から二年が経った今、トゥイッターやチックタック、ドマチューブなどの動画配信サイトで見ない日は無く、フォロワー2000万人を超える超大物アイドルとして成長を遂げた。
メンバーは三人、平凡Dガールズ発案者にして創設者、永遠のリーダー佐藤祈、赤色担当、リボンの付いたヘアバンドが特徴的な元気娘で武器は双剣。
青色担当、高橋瑠璃、いつでもクールな表情を崩さないクールビューティ、武器はショートソードとバックラー。
ツインテールのロングヘアー、蝶のリボンがチャームポイント。
緑色担当、田中翆、おっとりふんわりキャラだが戦闘になるとキレのあるダンスと槍術でオーディエンスを魅了する。
腰まであるシルクのように滑らかな金髪が特徴的。
三人はいつも仲良しで、意見の衝突もあるがそれはダンジョン攻略やダンス、歌に関してだけだ。
プライベートでも三人はよく遊んでいて、レベル上げや素材集めの為のダンジョン探索も一緒だった。
あの事件の時は本当にたまたまソロで探索していたのだ。
「はぁ……困ったな」
いつもは中級ダンジョンの中難易度の場所に行く。
しかしあの時はソロという事もあって安全マージンを多く取って、ソロでも無難に踏破出来る陰陽ダンジョンを選んだ。
そこまではいい、問題はそこから。
陰陽ダンジョンは比較的初級探索者が多く、そこにソロでいたもんだからきっとPKに目を付けられたのだ。
そして――あの事件だ。
「かっこよかったなぁ……」
もう駄目だ、人生終了だ、と絶望に飲み込まれそうになった時、颯爽と現れた私のヒーロー。
どうにかしてもう一度会いたい、一度と言わず何度でも会いたい。
高鳴る胸の鼓動は抑えきれず、あのシーンを思い出すだけで顔が熱くなってしまう。
「これは、やられたかなぁ」
佐藤祈、彼氏無し歴17年。
最後の恋は小学生。
しかしそれも淡い恋心であり、まだ好きという概念がはっきり理解出来ていなかった時の事だ。
それを考えればこれが初恋というものではないだろうか。
私は胸のあたりをきゅっと握り、深くため息を吐いた。
「は! めっちゃいい事思いついたよ私! 私凄い! でもどうやって見つければいいのぉ~~~」
テンションが上がったと思えば急降下、こんなに気分がジェットコースターなのは生まれて初めての事。
ベッドに体を投げ出し、壁にかかっているズボンを見詰める。
「ヴォイドさん、って言ったっけ。確かツナ缶が好きなんだよね? たくさんツナ缶持って行ったら喜んでくれるかな? でもいきなりそんな事したら押しかけ女房みたいで……きゃー! 押しかけ女房だって! って……何言ってるの私……はぁ……」
ヴォイドさんに助けられてからの私は殆どこんなんである。
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