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惑星動乱

来訪者

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 憎しみに導かれし来訪者はドアが開かれた途端にパンチしてきた。
 そのパンチをヒカリはがっしりと受け止めた。
「あ、あんたは……」
「久しぶりですね。あの時はすれ違ってしまいましたが」
「チョコちゃん!あんた逃亡したテロリストとして指名手配されているじゃない!」
「そうです。わざわざリスクをおかして来てあげたのですよ……」
 ヒカリは電子手錠を持参していないことに気づいた。ならば柔道の技で目の前のテロリストを拘束すべきか?
 柔道?どこで習ったかな?でもなぜかできる気がする。
「ところで」 
 チョコがヒカリを刺すように睨み付ける。
 ヒカリは警戒した。
「レーゲンボーケンは誰が設計したかご存知ですか?」
「!」
「そうです。あの完璧なシステムは私が設計したんですよ」
「なに?自慢話でもしにきたの?味音痴のシステム設計者のせいで供給される食糧の不味さといったら。あれは完璧な不味さだわ」
 ヒカリがバカにしたような表情を作ったので、チョコは少し不機嫌になったが、すぐ冷静になった。
「さいきんレーゲンボーケンに何者かがアクセスしているようですね」
 チョコはヒカリがレーゲンボーケンにアクセスしているのを既に知っていてあえて鎌をかけてきた。
「そうなのよ。あのポンコツ管理システムのせいでみんな腹ペコよ。せめて私たちで調整ぐらいできないかしら?」
 ヒカリは挑発してみた。なにか情報を引き出せるかもしれない。
「うふふ。さすがみんながお腹を空かせるのは可哀想。それで大麻を仕入れて紛らわすしかできないなんてね」
 ヒカリは直感的に「こいつ、かなり事情を知っているな」と感じた。
 チョコを放置すれば、こちらにも何か良くないことがあるかもしれない。早く捕まえて身柄を陽に引き渡すべきか。
 チョコはとつぜん神妙な表情になった。
「私はあのシステムを作ったとき、全自動で管理された町こそが理想だと思った。それで手間が省けたらもっと平和になると思った。でも現実は違ったの。みんな遊び呆けてるだけ。だからノリオさんと一緒にある仕掛けをしたの」
「ある仕掛けとは?」
「バグスターよ。それでも誰も目覚めなかった。善く生きるための会も大失敗。もううんざりですよ。虹はあなたたちの好きにすればいい。レーゲンボーゲンもあげる」
 チョコはうつ向いた。下を向いた長いまつげが悲しい影を作った。
「チョコちゃん?」
 ヒカリは半分だけ同情した。あるいは、これも何か罠を仕掛けるための演技かもしれないが。
「ヒカリ。あなたは身技体のバランスがとれていて優秀だと思う。素晴らしいできだ。あなたにすべてを話して私は自首したいと思います。一緒に来てくれますか」
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