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惑星動乱
権力のタワー 二
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ヤミとヒカリは反権力主義者ではない。立場から言えば、体制寄りではある。しかしその体制は新しい惑星で人々が望むべくして作った体制で、平時ならそれ自体が大いに守るに値するものと思われた。
さらに言うと虹の管理体制がコンピュータ制御によるもので、"うざい権力者"を目の上のたんこぶと思う必要もなかった。
ミラグロスは少し違った。陽の権力は古典的な"コンピュータ付きブルドーザ"でモノを動かす力は強いがノイジーでダーティだ。いくつかのボタンの掛け違いからミラグロスは権力の敵である疑いをかけられて拘束されてしまった。
ミラグロスは連行されていく車のなかで、悟りきったように黙っていた。せめて関係者の一人として事件の真相解明に協力的であろうと、彼女は腹に決めていたのだ。
さて二階での乱闘にヤミが参入。
ホールの四方の壁には鏡がかけてあり、鏡に大人数の乱闘の様子が万華鏡のように写し出されていた。
チョコは宙に浮く靴に加えエネルギー盾で完全防御。ネオンがさらにチョコについて回る。ネオンは二丁拳銃を構えていて迂闊に近づけば命とりだ。
グフタムはチョコたちから距離を置き単独で数人の兵と応戦中だ。
グフタムから攻めるのが堅実だろうが、グフタムもモーニングスターを振り回していて、接近をするのは容易ではなかった。
ヤミはポシェットからサイバー吹き矢を取り出した。
そしてジグザグに走って人垣を避けてグフタムに数メートルほど近づきつつサイバー吹き矢を発射する。
その気配をグフタムは瞬時に察知して、モーニングスターを八の字に振り回す。その勢いで高価な花瓶がいくつか破裂した。
サイバー吹き矢からのレーザー矢もろとも吹き飛ばされ攻撃は無効に終わった。
それでもヤミはスライド移動しながら、平行にレーザー矢を連続発射した。
連続発射された矢のいくつかは壁に当たって火花を散らした。
「もう少し」
「サイバー吹き矢など、多少当たったところで蚊に刺されたようなもんだわい。それより……」
サイバー吹き矢をものともしないグフタムは余裕綽々で手近にいる敵を数人好き飛した。
そこから数秒後、グフタムは金縛りにかかったように動かなくなった。
「ウゥ、身体が動かない!」
「そんなの振り回してないで、少し落ち着いてよ」
グフタムの背後の鏡に反射したレーザー矢が彼の後頭部に命中していた。しかもそれは単なるレーザー矢ではなく、神経を麻痺させる特殊な電磁成分を含むものだった。
まだ戦えるこちらの兵は十人ほどになっていたた。
さあ、次はネオンとチョコだ!
そう意気込んだのも束の間、ネオンの二丁拳銃がフルパワーで発射された。
その瞬間、なんとも哀れなことにネオンの近くにいた三人の兵が二丁拳銃からのレーザー弾に串刺しに貫かれ絶命した。吹き出す血液も瞬時に蒸発するほどの高温のエネルギーがホールを振動させた。
「チョコさまに危害を加えるなら、他の連中もあのように業火に焼かれるぞ」
ネオンが金切り声で吠える。
「キケンすぎるぞ、あの二丁拳銃は」
兵たちは怯える。
「業火?自分でそんなふうに言っちゃうなんてなんか不信心ね」
とは言え、ヤミにも算段はなかった。
「あのエネルギーを無効化するには?」
ホールの中央に飾られた木製のオブジェが二丁拳銃から発射されたエネルギー弾の熱で発火した。
炎は強い熱と光を発し、影を濃くした。
その時だった。
「ガマズミちゃん?ついてきてたの?」
実体化して影から姿を表したガマズミがヤミの左腕にしがみついた。
さらに言うと虹の管理体制がコンピュータ制御によるもので、"うざい権力者"を目の上のたんこぶと思う必要もなかった。
ミラグロスは少し違った。陽の権力は古典的な"コンピュータ付きブルドーザ"でモノを動かす力は強いがノイジーでダーティだ。いくつかのボタンの掛け違いからミラグロスは権力の敵である疑いをかけられて拘束されてしまった。
ミラグロスは連行されていく車のなかで、悟りきったように黙っていた。せめて関係者の一人として事件の真相解明に協力的であろうと、彼女は腹に決めていたのだ。
さて二階での乱闘にヤミが参入。
ホールの四方の壁には鏡がかけてあり、鏡に大人数の乱闘の様子が万華鏡のように写し出されていた。
チョコは宙に浮く靴に加えエネルギー盾で完全防御。ネオンがさらにチョコについて回る。ネオンは二丁拳銃を構えていて迂闊に近づけば命とりだ。
グフタムはチョコたちから距離を置き単独で数人の兵と応戦中だ。
グフタムから攻めるのが堅実だろうが、グフタムもモーニングスターを振り回していて、接近をするのは容易ではなかった。
ヤミはポシェットからサイバー吹き矢を取り出した。
そしてジグザグに走って人垣を避けてグフタムに数メートルほど近づきつつサイバー吹き矢を発射する。
その気配をグフタムは瞬時に察知して、モーニングスターを八の字に振り回す。その勢いで高価な花瓶がいくつか破裂した。
サイバー吹き矢からのレーザー矢もろとも吹き飛ばされ攻撃は無効に終わった。
それでもヤミはスライド移動しながら、平行にレーザー矢を連続発射した。
連続発射された矢のいくつかは壁に当たって火花を散らした。
「もう少し」
「サイバー吹き矢など、多少当たったところで蚊に刺されたようなもんだわい。それより……」
サイバー吹き矢をものともしないグフタムは余裕綽々で手近にいる敵を数人好き飛した。
そこから数秒後、グフタムは金縛りにかかったように動かなくなった。
「ウゥ、身体が動かない!」
「そんなの振り回してないで、少し落ち着いてよ」
グフタムの背後の鏡に反射したレーザー矢が彼の後頭部に命中していた。しかもそれは単なるレーザー矢ではなく、神経を麻痺させる特殊な電磁成分を含むものだった。
まだ戦えるこちらの兵は十人ほどになっていたた。
さあ、次はネオンとチョコだ!
そう意気込んだのも束の間、ネオンの二丁拳銃がフルパワーで発射された。
その瞬間、なんとも哀れなことにネオンの近くにいた三人の兵が二丁拳銃からのレーザー弾に串刺しに貫かれ絶命した。吹き出す血液も瞬時に蒸発するほどの高温のエネルギーがホールを振動させた。
「チョコさまに危害を加えるなら、他の連中もあのように業火に焼かれるぞ」
ネオンが金切り声で吠える。
「キケンすぎるぞ、あの二丁拳銃は」
兵たちは怯える。
「業火?自分でそんなふうに言っちゃうなんてなんか不信心ね」
とは言え、ヤミにも算段はなかった。
「あのエネルギーを無効化するには?」
ホールの中央に飾られた木製のオブジェが二丁拳銃から発射されたエネルギー弾の熱で発火した。
炎は強い熱と光を発し、影を濃くした。
その時だった。
「ガマズミちゃん?ついてきてたの?」
実体化して影から姿を表したガマズミがヤミの左腕にしがみついた。
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