虹のアジール ～ある姉妹の惑星移住物語～

赤道直下のドタバタ

疾走するクイーン 二

　ミラグロスはさっそくねずみを発見した。市場の外れあたり、まばらな人波をなかば強引にかき分けながら部品屋に逃げ込もうとするねずみに水鉄砲を喰らわせた。
　炎と同じ体温を持つねずみは冷水に体温を奪われ活動停止した。
　火事は未然に防がれたかのように見えた。
　応援として駆けつけたニューラーから無線連絡が入った。
「B通りとC公園にも例のねずみが発生しました。B通りでは数件の小火騒ぎも発生した模様です」　
　なんと！ねずみは複数いたようだ。
「おっけー。私は直近のB通りへ向かう。ニューラー氏はヒカリとともにC公園へ」
　ミラグロスは馬の向きを反転させるとB通りへ続くメインストリートを全速で駆けた。
　混乱は人から人に伝染し街は五月蝿くなってきた。
　事態はいよいよゴダイヴァの伝説のような様相を呈してきた。

「あの長身のお姉さん、かっこいいね。さすがにゴダイヴァのように裸ヌードを見せてくれはしないだろうけど」
　ビルの屋上、謎のピーピング・トムは望遠鏡を覗きながら独語した。
「さて、あのねずみは誰が操っているんだろうねえ」