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赤道直下のドタバタ
不吉な花言葉
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「ガマズミのとこに行く」
ヤミは口をとがらせた。
ガマズミは本部に飼育スペースを設けて交替で面倒を見ることにしていた。
ヒカリがミラグロスとの目隠しゲームに興じているのが、ヤミにはなぜか面白くないのだ。
モデスタはミラグロスとヒカリにうまいこと取り繕ってハイヤーをつかまえ本部までヤミを送り届けた。
本部の空き部屋を(ちょっとだけ)改造した部屋がガマズミの住み処。彼は暇をもて余して床に顎をつけてぼんやりしていた。
ヤミの姿を見つけると、一ミリだけ顎を浮かしてみせた。
ヤミはガマズミの部屋のとびらを閉めて鍵を閉めて人の視線を遮断するとガマズミの体を抱き寄せた。
灯りもつけずカーテンも閉めた薄暗い部屋で、まるで無視された子が好きなぬいぐるみにそうするようにぶつぶつと語りかけた。
「ガマズミ、わたし淋しいよぅ」
「ウフフ、ウフフ」
すると、どうだろう誰もいないはずの部屋に声が聞こえた。
なんと!本棚の影から人が。声の主はその人らしい。
「あなたは、メフィストフェレス気取りのあの女!」
「お久しぶりね。闇色のお嬢ちゃん」
「……!」
「それにしてもガマズミだなんて、ペットちゃんにずいぶんな名前をつけたわね」
「意味なんてしらない。好きな映画のタイトルからつけただけ」
「ガマズミの花の花言葉。不吉な花言葉。今のあなたにぴったりかも」
メフィストフェレス気取りの女はおどかすような口調でそう言うと姿を消した。鍵をかけた密室なのに跡形もなくどこかへ消えてしまったのだ。
「あの女は幽霊なの?それとも幻覚?」
ヤミは口をとがらせた。
ガマズミは本部に飼育スペースを設けて交替で面倒を見ることにしていた。
ヒカリがミラグロスとの目隠しゲームに興じているのが、ヤミにはなぜか面白くないのだ。
モデスタはミラグロスとヒカリにうまいこと取り繕ってハイヤーをつかまえ本部までヤミを送り届けた。
本部の空き部屋を(ちょっとだけ)改造した部屋がガマズミの住み処。彼は暇をもて余して床に顎をつけてぼんやりしていた。
ヤミの姿を見つけると、一ミリだけ顎を浮かしてみせた。
ヤミはガマズミの部屋のとびらを閉めて鍵を閉めて人の視線を遮断するとガマズミの体を抱き寄せた。
灯りもつけずカーテンも閉めた薄暗い部屋で、まるで無視された子が好きなぬいぐるみにそうするようにぶつぶつと語りかけた。
「ガマズミ、わたし淋しいよぅ」
「ウフフ、ウフフ」
すると、どうだろう誰もいないはずの部屋に声が聞こえた。
なんと!本棚の影から人が。声の主はその人らしい。
「あなたは、メフィストフェレス気取りのあの女!」
「お久しぶりね。闇色のお嬢ちゃん」
「……!」
「それにしてもガマズミだなんて、ペットちゃんにずいぶんな名前をつけたわね」
「意味なんてしらない。好きな映画のタイトルからつけただけ」
「ガマズミの花の花言葉。不吉な花言葉。今のあなたにぴったりかも」
メフィストフェレス気取りの女はおどかすような口調でそう言うと姿を消した。鍵をかけた密室なのに跡形もなくどこかへ消えてしまったのだ。
「あの女は幽霊なの?それとも幻覚?」
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