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ファヌーン戦争

惑星ファヌーン

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 惑星ファヌーンは、地球によく似た惑星である。
 水を湛えたこの惑星に、移住民は地球の生物と植物を放し、より地球に近い空間を作り上げた。
 地球における第二次デンバガス革命に失敗したデンバガス革命軍は、惑星ファヌーンに逃げ込み、これを占拠した。
 デンバガス革命軍司令官である越中健太は、惑星ファヌーンの都市ゲンバランドに置かれた軍の本拠地にいた。彼は彼の理想を達成するため、もう一度作戦を立て直さねばならない。
 越中健太は三三歳、素顔は白塗りのメイキャップで隠されている。好物はサーモンサンド。今日も好物のそれを頬張りながら、次なる革命の進路を探る。
「あそこで、連邦のやつらに気付かれなければ地球の最重要地点である鳥取県庁を占拠できたのに…」
 愚痴をこぼす司令官の姿を、翡翠の眼が見つめる。その目線には淡々としながらも柔らかい情がある。
「いつの間にそこにいた?破壊ハッカーくん」
 忍び足の破壊ハッカーは改めて敬礼した。革命軍における正式な役職は参謀である。 
「おはようございます。越中さん。サンドウィッチを喉につまらせぬよう、飲み物を」
 朝食中の司令官にコーヒーを淹れる小柄な破壊ハッカーの名前は増田みきや。翡翠の眼を持つ美少年だ。
「ありがとう。一日も早く、くそみたいな地球に民主主義の鉄槌を喰らわせねばな」
 司令官はコーヒーをすすりながらほくそ笑みを浮かべた。
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