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転生しそうな夏祭り

缶切りとスローライフ転生

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「なんかよく分からんけど、とりま行くわw」

「草 ありがとー」


 そして、ハレがやってきた。

 ハレはもう一人連れてきた。

 それはテルミの妹のクロエだった。

 クロエはある道具を持ってきた。

 
「これは?」

 アメはクロエから手渡されたそれを、観察した。

「なるほど、先端に刃がついている。これでどうにかして缶を開けるのか」

 アメは、試しに缶にその道具の刃をあててみたが、どうにも力の入れようがわからない。

 クロエが助け船を寄越す。

「それは、引っ掻けるとこがあるんだよ、そ、そこを缶のフチに引っ掻けて。あとー、左手で缶を押さえてね、あとはテコの力で。ケガしないでね」

 クロエのいうとおりにしてみたら、刃先が缶のフタにざくっと刺さった。
 あとは、その道具を缶を回しながら前に倒して切っていくだけ。
 
「やった!開いた!早朝からお騒がせしました!ありがとうございます!」

 せっかくなので缶詰の鯖は、三人で分けた。

 
 アメから連絡がいったとき、ハレの部屋の窓から、早朝ジョギングをするクロエの姿がみえたので、質問してみたのだ。

「缶詰の開け方ってしってますか?」

 すると、クロエは自宅のキッチンから缶切りを持ってきてくれたのだ。


 昔は今より不便だった。道具の使い方にもコツがいるため、使い方を身近な人から教わる必要があったのだ。

 昔といえば、こんな話もある。

 スローライフ転生と言われるものだ。

 アメはネットでこんな転生話を見つけ注目していた。

 異世界でゆっくり暮らす人々の村。

 その村では、現代でいうところのアナログな暮らしが営まれているらしい。
 しかも、村人には魔法使いやドワーフ族に転生したものもいるが、あくまで生活のためにその力を使いゆったり暮らしているみたいだ。

 この話によると複数の死者が同じ世界に集結しているようだ。

 前回の転生したコンビニ店長の話との関連性を調べることで、異世界というものが、共通したひとつの世界なのかどうかもわかりそうだ。

「ところでその村の住人はなぜ転生したの?」

 ハレが問うた。 

「村の住人は全部で一〇八人。この人たちは、九年前の大震災の犠牲者みたい」  
 
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