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コンビニ転生はあるのか?

店長はつらいよ

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 昨今話題の異世界転生現象に見られるリンカーネーション的性質。
  
 生まれ変わり魂は進化するという仮説。
 
 しかしそうだとしてもだ。異世界転生現象をどう評価すべきかはまだ議論が分かれるだろう。

 第一に、異世界に転生した魂が本当に進化していると言えるのか?
 
 チートで楽勝というのは、現世的な古い考えからすればむしろ退行であるとすらいえるかもしれない。
 いや、むしろこちら側が異世界的な価値観に無理解すぎるのか?

 今日は、研究所にテルミ姉さんが来てくれるという。

 テルミは幼い頃からハレと遊んでくれた存在で、ダウジング技術の伝授者でもある。 
 血のつながりはないが、家族より尊敬する間柄である。

 
「ハロー。ハレ、アメ」

「ハロー、テルミ姉さん」 

「ハロー、はじめまして」

 テルミは社会人だが、一般的な日本の社会人と違って夏休みをとったという。

「うちらも夏休みまでまだ一週間もあるのに、テルミ姉さんもう夏休みっすかー。いいな」


「さてさっそくですが異世界転生の話行きますか」

 三人は流行りのタピオカミルクティーを飲みつつ、資料に目を通した。

 テルミは、自身の仮説に関して確信を得た。

「ふむふむ、やはりこのコンビニ店長の事例はリンカーネーション型の転生とみて間違いないようね」  

 アメとハレは、もっと詳しくテルミの話を聞きたくなって好奇心の色をその瞳に浮かべた。

「例えば店長の新たな勤め先である異世界コンビニは、現世のコンビニなんかよりはるかに進化しているわ。今はコンビニオーナーの激務も社会問題になっているなかで、異世界コンビニでは時間的にも余裕を持って働けてるみたい。これぞほんとうの働き方改革じゃないかしら?」

 まだ社会人経験のないアメとハレはきょとんとした。

「あ、あの、テルミさん。コンビニの店長ってそんなにキツい仕事なんですか?」 

「そうよ。人手不足で深夜に自分で店にでたり、いろろ大変みたいだわ。コンビニって色んなサービスがあって便利だけどその分だけサービスを提供してくれる人の仕事は複雑になるってもんよ」

「テルミさんも、社会人としてそんな経験あったりするんですか?」

「いい質問ね、アメちゃん。昔ピザ屋でバイトしてたわ。配達担当ね。そういうのってお客さんにしてみたら電話ひとつでピザが頼めるから便利よね?ある日さ、台風が来てる最中に注文がきてさ
信じられる?町なんか洪水はするわ、強風でいろいろ飛び交ってるなかだよ?
それで営業するほうもだし、客もよく頼めるよなって
それでやめちゃったのよね、バイト」 

 思わずふたりは黙ってしまった。
 
 テルミが小さく呟く。

「異世界に転生したっていう店長さん。きっと過労死ね。それにしても、リンカーネーションは何によってもたらされたのか?彼自身の意志?それとも大いなるなにかの導きかしら?」
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