279 / 283
第五章 最後の決戦
第275話 ロックの死
しおりを挟む
炎に包まれたロックを見ながら魔皇帝はため息をついた。
ピクッ
「む!?」
死んだと思っていたロックが、起き上がりざま魔皇帝に[武技]を放つ。
虚をつかれた魔皇帝は躱しきれず、頬から出血した。
「これが繋がりの力とでも言うつもりか?
煩わしい…。」
魔皇帝が空を睨むと、そこには1匹のドラゴンが飛んでいた。
「「ロックーーーーー!!!!」」
【豪龍化】でフォースドラゴンとなったファルクに乗ってやってきたティナとミラだ。
ミラの【気配察知】を頼りにロックを追って来たのだ。
間に合った【光輝の壁】がロックの命を救った。
さらに、ミラが【大魔術士】で[シールド]を張り、ティナは【大聖者】でロックの傷を癒す。
「みんな…!!」
魔皇帝があまりに強力なため、1人で戦うことを選んだロック。
だが、それを許す仲間達ではなかった。
他の冒険者たちも残った魔族を殺さずに無力化するよう奮闘している。
ロックたちの勝利を信じて。
「まあ、手間が省けるだけだ。
【魔神化】!!」
「しまった…!」
魔皇帝が纏う魔法がさらに凶悪になる。
近づいただけで死んでしまうだろう。
だが、ロックたちに諦める選択肢はなかった。
ロックはティナたちに目で伝え、ティナたちはそれを理解した。
「はっ!」
剣を持つ手に力を込め、魔皇帝へと立ち向かうロック。
魔皇帝の纏う魔法に触れ、[シールド]が一瞬で壊れた。
しかし、それ相応の力を魔法から削いでいる。
残った魔法の威力を、【守護神の加護】と【光輝の壁】で1/4まで落とす。
それでもなお、ロックの命に届きうる威力がある魔皇帝の魔法。
それに耐えられることを信じて、[武技]を発動するロック。
魔皇帝も身構えている。
ロックはギリギリまでタイミングを見極め、【神速】を発動し、魔皇帝の虚をつこうとする。
魔皇帝の死角から放つ[武技]。
この一撃に全てを込めたロック。
それでも。
無情にも魔皇帝には届かなかった。
魔皇帝は自分自身の強さを悟られないため、必要最低限の動きしかしていなかった。
抑制した力で動いていたのだ。
本気の魔皇帝は全てのステータスが今のロックの2倍近い。
[武技]を躱され無防備になったロックの胸を、魔皇帝の手刀が貫いていた。
「「ろ、ロックーーー!!!!!!」」
ドラゴンとなったファルクが魔皇帝へと襲いかかる。
ティナやミラもロックへ魔法をかける。
しかし、[シールド]も回復魔法もうまく発動しない。
なぜなら、死んだ者には効果を及ぼさないからだ。
「ふん。」
魔皇帝がファルクに魔法を放つ。
死なない程度に。
「まあ待て。
1匹ずつだ。
魔王の【従属化】スキルもちゃんと引き継いでるからな。
お前らも立派な魔族にしてやるよ。」
魔族を生み出すユニークスキル【従属化】。
これだけ圧倒的な戦いで魔族にされれば記憶はほとんど失うだろう。
そしてそれを防げるものはもう、誰もいない。
回復魔法を3人に施すティナ。
3人で魔皇帝に立ち向かう。
しかし、その度に手加減された魔法で殺されかける。
ロックが死んだことが信じられず、ロックの名前を呼びながら、何度も、何度も。
【神の恩寵】がないとはいえ、何時間繰り返したとしても魔皇帝のMPは尽きない。
【魔神化】が切れても、ロックのいない今、近づけるものすらいない。
「しつこいな…。
もうこいつはとっくに死んでいる。
ほら。」
自分の腕に刺さっているロックの遺体を、ティナたちの方へ投げ飛ばす魔皇帝。
「ロック!!!」
駆け寄る3人。
もちろん、もう動かない。
ロックの手を握るティナ。
そして、覚悟を決めた顔でファルクとミラを見た。
「ロックを…お願いね。」
ピクッ
「む!?」
死んだと思っていたロックが、起き上がりざま魔皇帝に[武技]を放つ。
虚をつかれた魔皇帝は躱しきれず、頬から出血した。
「これが繋がりの力とでも言うつもりか?
煩わしい…。」
魔皇帝が空を睨むと、そこには1匹のドラゴンが飛んでいた。
「「ロックーーーーー!!!!」」
【豪龍化】でフォースドラゴンとなったファルクに乗ってやってきたティナとミラだ。
ミラの【気配察知】を頼りにロックを追って来たのだ。
間に合った【光輝の壁】がロックの命を救った。
さらに、ミラが【大魔術士】で[シールド]を張り、ティナは【大聖者】でロックの傷を癒す。
「みんな…!!」
魔皇帝があまりに強力なため、1人で戦うことを選んだロック。
だが、それを許す仲間達ではなかった。
他の冒険者たちも残った魔族を殺さずに無力化するよう奮闘している。
ロックたちの勝利を信じて。
「まあ、手間が省けるだけだ。
【魔神化】!!」
「しまった…!」
魔皇帝が纏う魔法がさらに凶悪になる。
近づいただけで死んでしまうだろう。
だが、ロックたちに諦める選択肢はなかった。
ロックはティナたちに目で伝え、ティナたちはそれを理解した。
「はっ!」
剣を持つ手に力を込め、魔皇帝へと立ち向かうロック。
魔皇帝の纏う魔法に触れ、[シールド]が一瞬で壊れた。
しかし、それ相応の力を魔法から削いでいる。
残った魔法の威力を、【守護神の加護】と【光輝の壁】で1/4まで落とす。
それでもなお、ロックの命に届きうる威力がある魔皇帝の魔法。
それに耐えられることを信じて、[武技]を発動するロック。
魔皇帝も身構えている。
ロックはギリギリまでタイミングを見極め、【神速】を発動し、魔皇帝の虚をつこうとする。
魔皇帝の死角から放つ[武技]。
この一撃に全てを込めたロック。
それでも。
無情にも魔皇帝には届かなかった。
魔皇帝は自分自身の強さを悟られないため、必要最低限の動きしかしていなかった。
抑制した力で動いていたのだ。
本気の魔皇帝は全てのステータスが今のロックの2倍近い。
[武技]を躱され無防備になったロックの胸を、魔皇帝の手刀が貫いていた。
「「ろ、ロックーーー!!!!!!」」
ドラゴンとなったファルクが魔皇帝へと襲いかかる。
ティナやミラもロックへ魔法をかける。
しかし、[シールド]も回復魔法もうまく発動しない。
なぜなら、死んだ者には効果を及ぼさないからだ。
「ふん。」
魔皇帝がファルクに魔法を放つ。
死なない程度に。
「まあ待て。
1匹ずつだ。
魔王の【従属化】スキルもちゃんと引き継いでるからな。
お前らも立派な魔族にしてやるよ。」
魔族を生み出すユニークスキル【従属化】。
これだけ圧倒的な戦いで魔族にされれば記憶はほとんど失うだろう。
そしてそれを防げるものはもう、誰もいない。
回復魔法を3人に施すティナ。
3人で魔皇帝に立ち向かう。
しかし、その度に手加減された魔法で殺されかける。
ロックが死んだことが信じられず、ロックの名前を呼びながら、何度も、何度も。
【神の恩寵】がないとはいえ、何時間繰り返したとしても魔皇帝のMPは尽きない。
【魔神化】が切れても、ロックのいない今、近づけるものすらいない。
「しつこいな…。
もうこいつはとっくに死んでいる。
ほら。」
自分の腕に刺さっているロックの遺体を、ティナたちの方へ投げ飛ばす魔皇帝。
「ロック!!!」
駆け寄る3人。
もちろん、もう動かない。
ロックの手を握るティナ。
そして、覚悟を決めた顔でファルクとミラを見た。
「ロックを…お願いね。」
4
お気に入りに追加
176
あなたにおすすめの小説

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います
長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。
しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。
途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。
しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。
「ミストルティン。アブソープション!」
『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』
「やった! これでまた便利になるな」
これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。
~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる