レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第五章 最後の決戦

第247話 未曾有の侵攻

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「大変だヨムじいさん!!
 モンスター達が……!!!」

「どうしたんじゃ!?」

「モンスター達が、みんな首都の方に向かってる!!」

「な!?
 なんじゃと!?」

「まさか…。
 モンスターの侵攻!?」

「しかし…、魔族が飛んでいったという情報はないはずじゃ…。」

モンスターが侵攻する前は、ドラゴンに乗った魔族がモンスター生息域に飛んでいくことが確認されている。

どの国もモンスターの侵攻には厳戒な体制を敷いているため、見逃すことはない。

魔族が発見されたら、ヨムじいさんがいる村にもすぐ連絡が来るようにしてある。


「まあ、バルキアなら防衛に問題はないじゃろうがな。」

「そうなんですか?」

「バルキアは魔王が攻めてきて以来、数回のモンスター侵攻があったが、問題なく防衛しておる。
 バルキアは魔王城から一番遠く、侵攻の回数が少ない上にS級冒険者の数、冒険者全体の数も世界一じゃ。
 もちろん多少の被害は出るが、他の国に比べれば圧倒的に少ない。
 魔王としても、攻めるメリットは少ないじゃろう。」

「ではなぜこのタイミングで…。
 指名手配している僕たちを探す人員も削られるし、ボスモンスター防衛のための戦力も減っちゃうのに…。」

「何かありそうじゃの…。
 ともかく、モンスターの動向に気をつけようかの。
 B級魔族が来たなら侵攻するモンスターはD~B級。
 移動するときにこの村を通過するかもしれん。」

「い、いえ、それが…。
 G級・F級・E級のモンスターが侵攻しているんです!
 ものすごい数です…!」

「G級!?
 そんなモンスターまで!?
 数が多くても、そんな弱いモンスターじゃバルキアをどうにかできるとは思えない…。
 魔王は一体…!?」


そこに、別の村人が戻ってきた。

「ヨムじいさん、大変だ!
 『メインシャの洞窟』と『バルキア大森林』のモンスターがバルキアに向かっているらしい!!」

「な!?」

「3ヶ所同時に!?」

「それは…やばいぞい…。
 バルキアはどう対応しようとしてるんじゃ!?」

「それが…ギルマスが不在らしく…。
 皇帝自らが指揮を取って防衛するようです。」

「ギルマスであるフィデルアがこんな時に不在?
 まあこの侵攻を指示しているのはあやつじゃろうからな。
 皇帝とはいえ、急に冒険者達の指揮を取れるじゃろうか…。」


「ロック、助けに行くのよね?」

「犠牲者が出るようなら…放っておけないね。」

「さっすがロック!」

「しかし、お主らは指名手配中じゃろう?」

「離れたところで数を減らすくらいならできるかと。」

「お人好しだね。
 自分を冤罪で指名手配している大元の国を救おうだなんて。」

「住んでいる人たちやほとんどの冒険者は、無関係ですから。
 その人達が犠牲になるのは防ぎたいんです。」

「でもこれは完全に罠だろ。」

「そうじゃろうな…。
 ボスモンスターを倒されたら困る相手側が、お主らを誘き寄せるために考えた策じゃろう。」

「魔族が侵攻の時に誘導できるモンスターに限りがあるのはわかってる。
 ランクを落として数を増やそうってとこだな。
 それでも、街から離れたところで移動しながら数を減らせばこっちの場所を特定されるのはある程度防げるはず。
 向こうもそれはわかってるはずなんだけどな…。」

「なにか意図がありそうですね…。」

「どちらにしろ、無関係な人たちを盾にされてしまった以上、助けないという選択肢はないわ。」

「ハンナさんとデイジーさんはどうしますか?」

「…愚問。」

「ここまできて降りると思うかい?」

「…ありがとうございます。
 心強いです!」

「気をつけるんじゃぞ…。
 バルキアの防衛に参加したことのある者はおるのか?」

「俺だけかな?」

バルキアのS級冒険者だったファルクは当然防衛戦を経験していた。

「3ヶ所からの侵攻は初じゃろうが、それぞれ別々に侵攻されたことはあるじゃろう?」

「ああ。
 それぞれ防衛拠点がある。
 今回は冒険者3分割してその拠点で守る形をとるだろうな。」

「じゃあ僕たちは生息域に直接乗り込んで、モンスターの数を減らせばいいですね?」

「そうだな。
 場所を悟られないよう、移動しながらがいいな。」

「扇動してる魔族を見つけることができれば、侵攻を止められるんだけどね。」

「そうだね。
 でもなにか裏があるはずだから、深追いはしないで行こう。」

「うし。
 じゃあ行くぜ!」





「……様。
 バルキアへの侵攻、開始されました。」

「ああ…。
 準備にもう少し日数がかかる…。
 それまでちゃんと時間を稼がせろ。」

「はっ。
 かしこまりました。」

黒いローブを羽織った男は、そう指示を出した。

冷静を装っていたが、その言葉の端々からは、隠しきれない苛立ちが滲み出ていた。
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