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第四章 世界中が敵
第237話 凶斧のリベリウス
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「あれが不死鳥、フェニックス…。」
神々しい姿に、思わず見惚れてしまう。
「ボスモンスターとはいえ、あくまでフェニックスは回復役。
攻撃役を倒してしまえば、何もできなくなるでしょう。」
ロヴェルの言葉に頷く一同。
「…問題は、その攻撃役だな…。」
「間違いなくいるね。
S級魔族が。」
フェニックスの周りにはたくさんの鳥モンスター、そして10人の魔族がいた。
その中の1人が、一際異様な雰囲気を醸し出していた。
「…あいつだな。」
「きたキタァ…。
スキルがなくなったカスでも、道案内くれえはできたようだなァ。」
その1人が口を開いた。
「なんだ、あいつ?
なんか様子がおかしいね?」
「…あれはもしかして…、『凶斧』!?」
感情を出さないアッサールが珍しく大きな声を出した。
「アッサールさん、知ってる人ですか?」
「…おそらく。
あの精神に異常をきたしたような話し方、そして背負っている大きな斧。
『凶斧』のリベリウス…だろう。」
「おぉ?
俺様のこと知ってるのかァ…?」
「…S級冒険者でありながら数々の凶行を犯したことで有名だからな…。」
それはアッサールがまだ少年の頃の話。
同じ斧を使う冒険者で有名だったのがウルバーノとこのリベリウス。
人格者で憧れる者が多かったウルバーノに反して、リベリウスは恐怖の象徴であった。
「…悪いことをすれば『凶斧がくるぞ』と、脅されたもんだ。」
「あいつがリベリウス…?
話には聞いたことあるけど、あんなやつだったのかい…。」
「正気じゃなさそうですね。」
「…一度斧使い最強を決める試合があったんだ。
斧使いを目指していた俺は、無理を言って観戦に連れて行ってもらった。
その一度しか見ていないが、間違いない。」
「どっちが勝ったんですか?」
「…ウルバーノだ。」
「…。
胸糞わりィ話してんなァ…。
あんなママゴトみてえな試合で、何がわかるってんだよぉぉおおお!!!」
突然発狂するリベリウス。
フェニックスは侮蔑するような視線を一度だけ向け、あとは無関心かのようにそっぽを向いている。
「ふぅざけんじゃぁネェぇえええ!!!
今を見てみろォ…!
あいつはただの道案内ィ。
俺様はお前らを皆殺しにするゥ…主役だァぁアア!!」
「いえ、違います。
ウルバーノさんは今まで戦った中でも飛び抜けて強かった。
それに、彼のおかげで、あなたたちを倒すことができるんです。」
「あァァああ!?
俺様を倒すだとォぉぉお!?
……フヒャヒャハヘへ……!!」
「…ウルバーノがスキルを失ったことを知ってるなら、この男がボスモンスターを何体も倒していることも知ってるのだろう?
何がそんなにおかしい?」
「ヒャへへ……。
そんな他の雑魚とォ…、一緒にすんじゃァねえよォ。」
「…ウルバーノに負けたくせに、えらく大きな口を叩くもんだな。」
アッサールがいつになく感情的になっている。
挑発の言葉にまた発狂するかと思ったが、リベリウスはまだ笑っている。
「あいつは魔王に負けて魔族に成り下がったァ……。
そしてお前らに負けたんだろォ…?
フヒョヘハハヘェ…!!」
「く、狂ってる…。」
「待って。
あいつ今、『魔王』って呼び捨てに…!?」
魔族になった以上、記憶が戻って命令を無視することができても、『魔王様』という呼び方は変わらなかった。
(リベリウスは父さんややウルバーノさん以上に魔王を追い詰めたということ…?)
そんな考えもよぎったが、どうも腑に落ちない。
「フヘヘェ…。
俺様は…魔族じゃねえよォ…。
あんな負け犬どもと一緒にすんじゃぁねぇ…!」
「「「「な!?」」」」
ロックたちに衝撃が走る。
「じゃあなんであんたはモンスターと一緒にいるんだい!?」
「あぁ?
そんなのォ…、人間をたくさん殺せるからにィ…決まってるだろォ…?」
リベリウスがニィ…と粘ついた笑いをこぼす。
「じゃ、じゃあ、あんたは自分の意思で魔王に従ってるということ!?」
「従っちゃあいねえェ!
いわばァ、同盟、だなァ…。
ここにいるのもォ、俺様の希望だァ…。」
「こんな人が来ないとこじゃ、殺しもできないじゃないか。」
「普段は別のところだがなァ…。
やべえやつがボスモンスター狩りしてるってんで、一番安全なところを選んだのさァ…。」
「自分の安全を確保するために、回復魔法の最上級スキルを持つフェニックスの近くを選んだということか…。
そんなに恐ければ安全なところで震えておけばよかったものを。」
ロヴェルもリベリウスに対して嫌悪感や怒りを隠さずにぶつける。
「ばぁか…。
俺様は殺しを楽しみたいって言ってるじゃねえかァ…。
舐めた口を聞いてるお前らをズタズタにしてやるよォ…!
…なァ?
ウルバーノォ?」
いつの間にかロックたちの後方に立っていたウルバーノを、リベリウスは指さした。
神々しい姿に、思わず見惚れてしまう。
「ボスモンスターとはいえ、あくまでフェニックスは回復役。
攻撃役を倒してしまえば、何もできなくなるでしょう。」
ロヴェルの言葉に頷く一同。
「…問題は、その攻撃役だな…。」
「間違いなくいるね。
S級魔族が。」
フェニックスの周りにはたくさんの鳥モンスター、そして10人の魔族がいた。
その中の1人が、一際異様な雰囲気を醸し出していた。
「…あいつだな。」
「きたキタァ…。
スキルがなくなったカスでも、道案内くれえはできたようだなァ。」
その1人が口を開いた。
「なんだ、あいつ?
なんか様子がおかしいね?」
「…あれはもしかして…、『凶斧』!?」
感情を出さないアッサールが珍しく大きな声を出した。
「アッサールさん、知ってる人ですか?」
「…おそらく。
あの精神に異常をきたしたような話し方、そして背負っている大きな斧。
『凶斧』のリベリウス…だろう。」
「おぉ?
俺様のこと知ってるのかァ…?」
「…S級冒険者でありながら数々の凶行を犯したことで有名だからな…。」
それはアッサールがまだ少年の頃の話。
同じ斧を使う冒険者で有名だったのがウルバーノとこのリベリウス。
人格者で憧れる者が多かったウルバーノに反して、リベリウスは恐怖の象徴であった。
「…悪いことをすれば『凶斧がくるぞ』と、脅されたもんだ。」
「あいつがリベリウス…?
話には聞いたことあるけど、あんなやつだったのかい…。」
「正気じゃなさそうですね。」
「…一度斧使い最強を決める試合があったんだ。
斧使いを目指していた俺は、無理を言って観戦に連れて行ってもらった。
その一度しか見ていないが、間違いない。」
「どっちが勝ったんですか?」
「…ウルバーノだ。」
「…。
胸糞わりィ話してんなァ…。
あんなママゴトみてえな試合で、何がわかるってんだよぉぉおおお!!!」
突然発狂するリベリウス。
フェニックスは侮蔑するような視線を一度だけ向け、あとは無関心かのようにそっぽを向いている。
「ふぅざけんじゃぁネェぇえええ!!!
今を見てみろォ…!
あいつはただの道案内ィ。
俺様はお前らを皆殺しにするゥ…主役だァぁアア!!」
「いえ、違います。
ウルバーノさんは今まで戦った中でも飛び抜けて強かった。
それに、彼のおかげで、あなたたちを倒すことができるんです。」
「あァァああ!?
俺様を倒すだとォぉぉお!?
……フヒャヒャハヘへ……!!」
「…ウルバーノがスキルを失ったことを知ってるなら、この男がボスモンスターを何体も倒していることも知ってるのだろう?
何がそんなにおかしい?」
「ヒャへへ……。
そんな他の雑魚とォ…、一緒にすんじゃァねえよォ。」
「…ウルバーノに負けたくせに、えらく大きな口を叩くもんだな。」
アッサールがいつになく感情的になっている。
挑発の言葉にまた発狂するかと思ったが、リベリウスはまだ笑っている。
「あいつは魔王に負けて魔族に成り下がったァ……。
そしてお前らに負けたんだろォ…?
フヒョヘハハヘェ…!!」
「く、狂ってる…。」
「待って。
あいつ今、『魔王』って呼び捨てに…!?」
魔族になった以上、記憶が戻って命令を無視することができても、『魔王様』という呼び方は変わらなかった。
(リベリウスは父さんややウルバーノさん以上に魔王を追い詰めたということ…?)
そんな考えもよぎったが、どうも腑に落ちない。
「フヘヘェ…。
俺様は…魔族じゃねえよォ…。
あんな負け犬どもと一緒にすんじゃぁねぇ…!」
「「「「な!?」」」」
ロックたちに衝撃が走る。
「じゃあなんであんたはモンスターと一緒にいるんだい!?」
「あぁ?
そんなのォ…、人間をたくさん殺せるからにィ…決まってるだろォ…?」
リベリウスがニィ…と粘ついた笑いをこぼす。
「じゃ、じゃあ、あんたは自分の意思で魔王に従ってるということ!?」
「従っちゃあいねえェ!
いわばァ、同盟、だなァ…。
ここにいるのもォ、俺様の希望だァ…。」
「こんな人が来ないとこじゃ、殺しもできないじゃないか。」
「普段は別のところだがなァ…。
やべえやつがボスモンスター狩りしてるってんで、一番安全なところを選んだのさァ…。」
「自分の安全を確保するために、回復魔法の最上級スキルを持つフェニックスの近くを選んだということか…。
そんなに恐ければ安全なところで震えておけばよかったものを。」
ロヴェルもリベリウスに対して嫌悪感や怒りを隠さずにぶつける。
「ばぁか…。
俺様は殺しを楽しみたいって言ってるじゃねえかァ…。
舐めた口を聞いてるお前らをズタズタにしてやるよォ…!
…なァ?
ウルバーノォ?」
いつの間にかロックたちの後方に立っていたウルバーノを、リベリウスは指さした。
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