レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

文字の大きさ
上 下
239 / 283
第四章 世界中が敵

第236話 四死龍

しおりを挟む
四死龍と戦うティナ・ミラ・ファルク・デイジーの4人。

空を自在に飛べる相手との戦いは、それだけで不利を強いられる。

それに加えて、[シールド]が不自然なまでに強力だった。

【大魔術士】というユニークスキルを持つミラと同等の頑強さだ。


「くっ。
 硬いな…!」

その様子を見てバハムートが愉快そうに笑う。

「ふははっ!
 苦戦してるようだな。
 だがそれは四死龍も同じ。
 お主らやるな。」

「ふんっ。
 余裕こきやがって。」

「我らドラゴンの強みはステータスの強さであることは知ってるだろう。
 しかし、その点で言えばお主らの方が上のようだ。
 なぜ優勢になれないか不思議だろう?」

「うん、おかしいよ!
 なんでなの!?」

「おお、元気な小娘だな。
 教えてやろう。
 四死龍はそのステータスの高さに加えて、異常な耐久力を持っている。
 簡単に言えば、体力が全快した時に鱗が、特殊魔法の[シールド]のような防御膜をはるのだ。
 もちろん、特殊魔法の[シールド]も使ってるから、実質二重の[シールド]が使えるようなもんだな。」

「え!?
 そんなスキルがあるの!?」

「いや、これはスキルではない。
 最上位のドラゴンの『特性』だな。」

「まじか…。」

「ただ、MPに限りがあるからな。
 今のまま持久戦に持ち込めばお主らに軍配が上がるだろう。
 …そんなつまらん勝ち方をしようとするなら、ワシも参戦してすぐに戦いを終わらせてやるがな。」

実際、特殊魔法の[シールド]だけならファルクとデイジーは一撃で破壊可能であった。

何度も破壊しているが、それでもダメージをすぐには与えられず、与えてもあっという間に回復する。

そうすると、また[シールド]が発生しているように感じていた。

これだけ[シールド]を連発できるということは【神の恩寵】を持っているかと思ったが、バハムートの言葉を信じるなら、ドラゴンの特性だったらしい。

「なんでそんなこと教えるの?」

ティナが疑問を投げかける。

「ん?
 楽しい戦いをしたいからだが?」

バハムートは使命感や主への忠誠などではなく、純粋に戦いが好きらしい。

「ふっ。
 嫌いじゃねえ。
 みんな、ちょっと無理するが、フォロー頼む。」

「え?
 ファルクさん?」

「【豪龍化】!」

ファルクがその姿をフォースドラゴンへと変えた。

「おお。
 ここまできたからには持ってると思っておったが。」

ファルクは空に飛び上がり、攻撃魔法を使うドラゴン、ファフニールへ飛びかかった。

極炎がファルクを襲う。

それでもファルクは怯まずにファフニールに喰らいつく。

ティナの【光輝の壁】とミラの[シールド]が守ってくれているのを知っていたから。

「グギャァァアア!!」

【全能の権化】に【大魔術士】のバフで強化されたファルクのステータスは四死龍の倍以上。

距離を潰して肉弾戦になれば、フォースドラゴンとなり力や体力がさらに倍増したファルクが圧倒的に有利。

ファフニールが鱗にまとっていた[シールド]も防御膜もあっという間に破られる。

フォースドラゴンに変身すると魔力が半減するため、攻撃魔法に弱くなる。

だが、ファフニールはファルクに襲われていて魔法を放つことができない。

他の3匹がファフニールを助けに行く。

【噛み砕き】を持つリンドブルムをはじめ、他の2匹の攻撃も強力だ。

「ファルクさん!!」

4匹のドラゴンに完全に囲まれてしまったファルクを見て焦るティナ、ミラ、デイジー。

【光輝の壁】は届くが、回復魔法や特殊魔法は届かない。

ミラが施した[シールド]もすでに破壊されている。


苦悶の表情を浮かべたファルクがちらりとデイジーを見て、目を合わせる。

その直後、強引に地面へと急降下してきた。

あまりの勢いに噛み付いていた3匹は途中で離脱。

だが、ファフニールだけはファルクが離さなかったため、離脱できなかった。


…ッドォォォオン……。


ものすごい衝撃と爆音。

ファルクとファフニールが隕石かのように地面に激突した。


「「ファルクさん!」」

土埃で安否を確認できない中、ファルクの名を叫ぶティナとミラ。

そんな中、デイジーは1人、落下した地点へと駆け寄った。


「…ファルクさん!」

ファルクはフラつきながらも、意図を理解してくれたデイジーを見てニヤリと笑った。

「…合わせてください!」

デイジーがユニークスキル【剣神】による[武技]を放つ。

それに合わせてファルクがファフニールへ渾身の噛みつき。

四死龍たちは【再生】の速度もかなり速かった。

これも特性なのかもしれないが、少々ダメージを与えてもすぐに回復し、逆に防御膜を発生させてしまうだけ。

それをさせないために、ファルクが身を挺して、デイジーとの同時攻撃をファフニールにくらわせたのだ。

四死龍とはいえ、流石にこの攻撃には耐えきれず、力尽きた。

4匹の中で唯一遠距離攻撃ができたファフニール。

空中から絶妙なタイミングで攻撃魔法を放ってくるファフニールのせいで、四死龍へ致命的なダメージを与えることができていなかった。

他の3匹は攻撃するために接近せざるを得ない。


ファフニールを倒したことで、他の3匹はファルクとデイジーの攻撃を捌くことができなくなり、その場にいる敵はとうとう、バハムート1匹だけとなった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

S級冒険者の子どもが進む道

干支猫
ファンタジー
【12/26完結】 とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。 父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。 そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。 その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。 魔王とはいったい? ※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。

荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明

まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。 そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。 その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

無能な勇者はいらないと辺境へ追放されたのでチートアイテム【ミストルティン】を使って辺境をゆるりと開拓しようと思います

長尾 隆生
ファンタジー
仕事帰りに怪しげな占い師に『この先不幸に見舞われるが、これを持っていれば幸せになれる』と、小枝を500円で押し売りされた直後、異世界へ召喚されてしまうリュウジ。 しかし勇者として召喚されたのに、彼にはチート能力も何もないことが鑑定によって判明する。 途端に手のひらを返され『無能勇者』というレッテルを貼られずさんな扱いを受けた上に、一方的にリュウジは凶悪な魔物が住む地へ追放されてしまう。 しかしリュウジは知る。あの胡散臭い占い師に押し売りされた小枝が【ミストルティン】という様々なアイテムを吸収し、その力を自由自在に振るうことが可能で、更に経験を積めばレベルアップしてさらなる強力な能力を手に入れることが出来るチートアイテムだったことに。 「ミストルティン。アブソープション!」 『了解しましたマスター。レベルアップして新しいスキルを覚えました』 「やった! これでまた便利になるな」   これはワンコインで押し売りされた小枝を手に異世界へ突然召喚され無能とレッテルを貼られた男が幸せを掴む物語。 ~ワンコインで買った万能アイテムで幸せな人生を目指します~

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

竜騎士の俺は勇者達によって無能者とされて王国から追放されました、俺にこんな事をしてきた勇者達はしっかりお返しをしてやります

しまうま弁当
ファンタジー
ホルキス王家に仕えていた竜騎士のジャンはある日大勇者クレシーと大賢者ラズバーによって追放を言い渡されたのだった。 納得できないジャンは必死に勇者クレシーに訴えたが、ジャンの意見は聞き入れられずにそのまま国外追放となってしまう。 ジャンは必ずクレシーとラズバーにこのお返しをすると誓ったのだった。 そしてジャンは国外にでるために国境の町カリーナに向かったのだが、国境の町カリーナが攻撃されてジャンも巻き込まれてしまったのだった。 竜騎士ジャンの無双活劇が今始まります。

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...