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第四章 世界中が敵
第195話 力に溺れる者
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キニアの握った涅槃珠から大きな光が溢れ、彼女の体の中に吸い込まれていった。
光が収まると、キニアがゆっくりと目を開いた。
「…バカたれ……。」
ハンナが悲しそうにボソッと呟いた。
それが聞こえているのか聞こえていないのか、キニアは気にした素振りも見せない。
どうやら自分のステータスを確認しているようだ。
「…くく……。」
「キニア…!」
ランとスーが鋭い目でキニアを睨みつける。
「くっくっく……。
ははははははははははははははははは!!!!
なんだいこれ!?
真面目にレベル上げするのが馬鹿みたいじゃないか!!」
「キニア、もう冗談じゃすまないよ?」
「あ?
ハンナ姐、いや、ハンナ!
何偉そうな口聞いてるんだい!?」
「あんた!
ハンナさんになんて口の聞き方を!」
「雑魚は黙っとけ!」
スーに対して強い口調で怒鳴りつけるキニア。
「ハンナ、あんたが偉そうにしてたのは国で一番強かったからだろう?
あたいのレベルを教えてあげようか?
…76だよ?
76!!!
68から一気に!!
これであたいもS級じゃないか!
ハンナ?
あんたのレベルはなんだっけ?
確か~、73だったよね~?」
「それがなんだい?」
「はははは!!
悔しくて負け惜しみかい!?
あたいは!!
あんたのレベルを超えて!
スキルも強いスキルが4つ!!
この国で一番強いのはあたいだ!!!」
「だからなんなの?
ハンナさんは、一番強いからって威張ったことも理不尽なことをしたこともない!
みんなを守ろうとがんばってた!
だからみんなに認められてたんだよ?」
スーがハンナを庇うように、でも辛そうに言葉を吐き出す。
「そうだよ。
全部ロックさんたちのおかげで強くなれたのに、その恩をあだで返すような真似して恥ずかしくないの?」
ランも続く。
しかし…
「だ~か~ら~!
雑魚は喋るんじゃないよ!
ねえ、あんたたち!」
キニアはロックたちに向かって話し出した。
「あんたたちの頼みを聞いて一緒に戦ってやったんだ。
素材ももらう権利はあるよね~~??」
「あ、あん……」
暴走を続けるキニアを怒鳴ろうとするハンナを制して、ロックが答えた。
「キニアさん、あなたに渡す素材は……ありません。」
「は!?
なんだって!?
なんでだ!?
理由を言え理由を!!」
「最初にお話しした通り、僕たちが求めているのはただ力をもっただけの冒険者じゃありません。
自分の利益のために人から何かを奪うような人は、魔王と変わらない。
そんな人に、渡すものは…ない。」
「…偉そうに……!
あ!
そういうことか!」
「?
なんですか?」
「あんたいやらしい目であたいの身体見てたもんね~?
おっぱい見せてやったらくれるかい?
特別に触らせてやってもいいよ??」
「な、な、なな何言ってるんですか!?
見てませんよ!」
「嘘つけ!
…なんなら一晩付き合ってやるよ?」
「キニアさん?
いい加減にしてもらえます?」
「あんたみたいなアバズレ、ロックは好みじゃないよ?」
ティナとミラがキレた。
ハンナが慌てて仲介に入る。
「すまない!
涅槃珠はきっとどうにかして返す!
私から言って聞かすから、勘弁して欲しい!!」
散々暴言を吐かれた相手を庇うハンナ。
「……うざいんだよ!!」
「うあっ…!」
そのハンナの背中を、キニアの斧が切り裂いた。
光が収まると、キニアがゆっくりと目を開いた。
「…バカたれ……。」
ハンナが悲しそうにボソッと呟いた。
それが聞こえているのか聞こえていないのか、キニアは気にした素振りも見せない。
どうやら自分のステータスを確認しているようだ。
「…くく……。」
「キニア…!」
ランとスーが鋭い目でキニアを睨みつける。
「くっくっく……。
ははははははははははははははははは!!!!
なんだいこれ!?
真面目にレベル上げするのが馬鹿みたいじゃないか!!」
「キニア、もう冗談じゃすまないよ?」
「あ?
ハンナ姐、いや、ハンナ!
何偉そうな口聞いてるんだい!?」
「あんた!
ハンナさんになんて口の聞き方を!」
「雑魚は黙っとけ!」
スーに対して強い口調で怒鳴りつけるキニア。
「ハンナ、あんたが偉そうにしてたのは国で一番強かったからだろう?
あたいのレベルを教えてあげようか?
…76だよ?
76!!!
68から一気に!!
これであたいもS級じゃないか!
ハンナ?
あんたのレベルはなんだっけ?
確か~、73だったよね~?」
「それがなんだい?」
「はははは!!
悔しくて負け惜しみかい!?
あたいは!!
あんたのレベルを超えて!
スキルも強いスキルが4つ!!
この国で一番強いのはあたいだ!!!」
「だからなんなの?
ハンナさんは、一番強いからって威張ったことも理不尽なことをしたこともない!
みんなを守ろうとがんばってた!
だからみんなに認められてたんだよ?」
スーがハンナを庇うように、でも辛そうに言葉を吐き出す。
「そうだよ。
全部ロックさんたちのおかげで強くなれたのに、その恩をあだで返すような真似して恥ずかしくないの?」
ランも続く。
しかし…
「だ~か~ら~!
雑魚は喋るんじゃないよ!
ねえ、あんたたち!」
キニアはロックたちに向かって話し出した。
「あんたたちの頼みを聞いて一緒に戦ってやったんだ。
素材ももらう権利はあるよね~~??」
「あ、あん……」
暴走を続けるキニアを怒鳴ろうとするハンナを制して、ロックが答えた。
「キニアさん、あなたに渡す素材は……ありません。」
「は!?
なんだって!?
なんでだ!?
理由を言え理由を!!」
「最初にお話しした通り、僕たちが求めているのはただ力をもっただけの冒険者じゃありません。
自分の利益のために人から何かを奪うような人は、魔王と変わらない。
そんな人に、渡すものは…ない。」
「…偉そうに……!
あ!
そういうことか!」
「?
なんですか?」
「あんたいやらしい目であたいの身体見てたもんね~?
おっぱい見せてやったらくれるかい?
特別に触らせてやってもいいよ??」
「な、な、なな何言ってるんですか!?
見てませんよ!」
「嘘つけ!
…なんなら一晩付き合ってやるよ?」
「キニアさん?
いい加減にしてもらえます?」
「あんたみたいなアバズレ、ロックは好みじゃないよ?」
ティナとミラがキレた。
ハンナが慌てて仲介に入る。
「すまない!
涅槃珠はきっとどうにかして返す!
私から言って聞かすから、勘弁して欲しい!!」
散々暴言を吐かれた相手を庇うハンナ。
「……うざいんだよ!!」
「うあっ…!」
そのハンナの背中を、キニアの斧が切り裂いた。
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