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第四章 世界中が敵
第179話 交渉
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「…すみません!」
ロックがハンナに向かってスキルを発動する。
「あっ!?」
ハンナは急に弓が扱いにくくなり、武技を発動できなくなった。
「な、なんだ!?
何をしたんだ!?」
「ロックのスキルまでは伝わってなかったみたいだな。」
「ハンナさんの【弓聖】スキルを奪わせていただきました。
後で必ずお返ししますから、どうか話を聞いていただけませんか?」
「いや、あんたの眼はなんかやましいことがある眼だった…!」
「ハンナさん、ロックの眼に邪念があったのは、悪意じゃありません。
ただの…、いやらしい眼だと思います。
…彼は、むっつりスケベなので…。」
「「「「は?」」」」
「ティナ!?」
ティナが真面目な顔して、ロックをディスる。
だが、事実だった。
ロックが必要以上に挙動不審だったのには訳があった。
ハンナのパーティメンバーの1人がビキニアーマーだったのだ。
防具屋のことがあって、過剰に意識してしまっていたのだった…。
「そうそう!
ロックはビキニアーマー大好きだから!」
ミラがロックをさらに追い詰める。
「うぅ…。」
初対面の女性たちの前で辱めを受けて、ロックは反論する気力も無くなったようだ。
「…ぷっ。」
「ふふっ…。」
ハンナたちから失笑が聞こえる。
「いいよ。
話を聞こうじゃないか。
本当にスキルは元に戻してもらえるんだろうね?」
「ありがとうございます!
もちろんです!」
「その代わり、あんまりイヤらしい眼で見ないでくれよ?」
「くく…。
は、腹いてえ…。」
「ファルクさん!?
元はと言えばファルクさんが丸投げするから…!」
「結果オーライだろ。
それより話をしろよ。」
「もう…。」
ロックたちはアルカトルでファルクと合流してから今に至るまでの経緯を話した。
ハンナたちは驚きの表情で聞いていた。
半信半疑といった感じだ。
「…にわかには信じられないね。」
「そうですよね…。」
信じてもらえないことに、ロックたちは落胆の色を見せる。
しかし、予想できていたことではある。
ロックがハンナたちを見据えてしっかりとした口調で問いかけた。
もう、イヤらしい眼はしていない。
「みなさんはエスの守護神と呼ばれてるとお聞きしています。
エスに住む方々や、仲間を大切に思っているんですよね?」
「…当然だ。」
「守護神と言われているのは私たち、というよりハンナ姐だけどな!」
ビキニアーマーの女性が喋ると、やっぱりちょっとロックが動揺する。
「え、えーと。
じゃあですね、今は僕たちのことを信じてもらわなくても構いません。」
「ロック?」
ティナたちが首をかしげる。
「僕たちの目的は、僕らの無罪を証明することじゃないよね。
イーザさんやリッチェルさんを助けること、そしてあいつらのせいで生まれる悲しみをなくすことだ。」
「…そうだな。」
「この人たちは人望もあるし信頼できると思う。
ちょっと僕に任せてもらってもいいかな?」
3人とも頷く。
「ありがとう。
みなさん、すでにお分かりいただけたかと思いますが、僕はスキルを奪ったり与えたりすることができます。
モンスターから強力なスキルを奪ってあなた方に与えることも可能です。」
「バカみたいな話だけど…、信じざるをえないね。」
「与えることもできるとわかってもらうために、ハンナさんの【弓聖】をお返ししますね。」
ロックは【スキルギフト】で【弓聖】をハンナへ返した。
「こんなスキル…、反則じゃないか…。」
ロックのスキルを実際に目の当たりにしても、信じられないという気持ちが抑えきれないようだ。
それだけ規格外のスキルなのだ。
「それで?
私たちに何を望むんだい?」
「僕のスキルであなたたちを強化しますので、ここのボスモンスターを一緒に倒してもらえませんか?」
ロックがハンナに向かってスキルを発動する。
「あっ!?」
ハンナは急に弓が扱いにくくなり、武技を発動できなくなった。
「な、なんだ!?
何をしたんだ!?」
「ロックのスキルまでは伝わってなかったみたいだな。」
「ハンナさんの【弓聖】スキルを奪わせていただきました。
後で必ずお返ししますから、どうか話を聞いていただけませんか?」
「いや、あんたの眼はなんかやましいことがある眼だった…!」
「ハンナさん、ロックの眼に邪念があったのは、悪意じゃありません。
ただの…、いやらしい眼だと思います。
…彼は、むっつりスケベなので…。」
「「「「は?」」」」
「ティナ!?」
ティナが真面目な顔して、ロックをディスる。
だが、事実だった。
ロックが必要以上に挙動不審だったのには訳があった。
ハンナのパーティメンバーの1人がビキニアーマーだったのだ。
防具屋のことがあって、過剰に意識してしまっていたのだった…。
「そうそう!
ロックはビキニアーマー大好きだから!」
ミラがロックをさらに追い詰める。
「うぅ…。」
初対面の女性たちの前で辱めを受けて、ロックは反論する気力も無くなったようだ。
「…ぷっ。」
「ふふっ…。」
ハンナたちから失笑が聞こえる。
「いいよ。
話を聞こうじゃないか。
本当にスキルは元に戻してもらえるんだろうね?」
「ありがとうございます!
もちろんです!」
「その代わり、あんまりイヤらしい眼で見ないでくれよ?」
「くく…。
は、腹いてえ…。」
「ファルクさん!?
元はと言えばファルクさんが丸投げするから…!」
「結果オーライだろ。
それより話をしろよ。」
「もう…。」
ロックたちはアルカトルでファルクと合流してから今に至るまでの経緯を話した。
ハンナたちは驚きの表情で聞いていた。
半信半疑といった感じだ。
「…にわかには信じられないね。」
「そうですよね…。」
信じてもらえないことに、ロックたちは落胆の色を見せる。
しかし、予想できていたことではある。
ロックがハンナたちを見据えてしっかりとした口調で問いかけた。
もう、イヤらしい眼はしていない。
「みなさんはエスの守護神と呼ばれてるとお聞きしています。
エスに住む方々や、仲間を大切に思っているんですよね?」
「…当然だ。」
「守護神と言われているのは私たち、というよりハンナ姐だけどな!」
ビキニアーマーの女性が喋ると、やっぱりちょっとロックが動揺する。
「え、えーと。
じゃあですね、今は僕たちのことを信じてもらわなくても構いません。」
「ロック?」
ティナたちが首をかしげる。
「僕たちの目的は、僕らの無罪を証明することじゃないよね。
イーザさんやリッチェルさんを助けること、そしてあいつらのせいで生まれる悲しみをなくすことだ。」
「…そうだな。」
「この人たちは人望もあるし信頼できると思う。
ちょっと僕に任せてもらってもいいかな?」
3人とも頷く。
「ありがとう。
みなさん、すでにお分かりいただけたかと思いますが、僕はスキルを奪ったり与えたりすることができます。
モンスターから強力なスキルを奪ってあなた方に与えることも可能です。」
「バカみたいな話だけど…、信じざるをえないね。」
「与えることもできるとわかってもらうために、ハンナさんの【弓聖】をお返ししますね。」
ロックは【スキルギフト】で【弓聖】をハンナへ返した。
「こんなスキル…、反則じゃないか…。」
ロックのスキルを実際に目の当たりにしても、信じられないという気持ちが抑えきれないようだ。
それだけ規格外のスキルなのだ。
「それで?
私たちに何を望むんだい?」
「僕のスキルであなたたちを強化しますので、ここのボスモンスターを一緒に倒してもらえませんか?」
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