レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第四章 世界中が敵

第177話 ナンパ?

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「じゃあ、どう動くか決めよう。」

4人で集まった情報を整理していく。


・指名手配犯が張り出された掲示板にロックたちの情報はなかった


大陸間の移動手段が事実上ないためであろう。

さすがにギルドに行けばバレてしまうだろうが、【気配察知】でS級冒険者だと認識されなければ騒ぎにはならなそうだ。


・エスの防衛の要はハンナで国民の信頼が厚い
・現国王になってからサンジャータ・エスの国民の不満が溜まっている


サンジャータ国王よりもハンナの方が立場だけでなく、人格的にもアプローチしやすそう。


・ハンナはパーティメンバーと頻繁にモンスター生息域の奥地にレベル上げに行っている


この大陸にモンスター生息域は2ヶ所。

エス国内にあるのは “ヌビレティア森林” だけだ。

街中で接触を図るより、パーティメンバーだけでいるレベル上げのときの方が確実に話を聞いてもらえるのではないか。

そう考えた4人は、物資を購入し、宿で1泊してからヌビレティア森林に向かうことにした。


なお、ロックがスケベ顔になった件は誤魔化しきれておらず、確認のために防具屋に全員で行く羽目になった。

哀れロックは、ティナとミラから軽蔑の眼差しを受けた。

悪いことしてないのにね…。


ヌビレティア森林のエリア上空に入ったロックたちは、スピードを落としてミラの【気配察知】でS級冒険者の気配を探りながら進んだ。

モンスター生息域は入り口付近から奥地に進むにつれ敵の強さが上がっていく。

ざっと見る限り、ホーンラビットやブラッドベアなどの獣系のモンスターが生息しているようだ。


S級冒険者を要するパーティのレベル上げであれば、最低でもA級モンスターのエリアで戦うはず。

ヌビレティア森林の奥地の方へ進むが、S級冒険者の気配はまだない。

ミラの魔力はかなり高くなっているため広範囲を【気配察知】で探れる。

効率よく探すことができるため、ほぼ全域を探ったが、結局レベル上げには来ていないようだった。


「そんなに都合よくは見つからないか。」

「わたしたちもレベル上げしながら待つ!?」

「う~ん。
 A級以上のモンスターがいる高レベル帯もかなり広かったからな~。
 ミラの【気配察知】の範囲に入ってこないこともありえるよね。」

「そうね。
 じゃあ、エスの街の出口をギリギリ感知できる場所で待っていたらどうかしら?」

「そうだね。
 なんかストーカーみたい…、じゃないよね??」

「そう言われてみれば…、怪しいわね…。」

「き、気にしたら負けよ!
 その作戦で行こーー!!」


ロックたちはエスの街にあるヌビレティア森林方面の出口側で待つことにした。


待つこと1日…。


「来たよ…!」

ミラがS級冒険者の気配を察知した。

「S級冒険者1人に、A級が3人だよ!」

「思ったより早く来てくれたわね。」

「おし。
 俺らも出発しよう。」


変身したファルクに乗り、ロックたちはミラの感知範囲ギリギリになるようにして後をつけた。

完全にストーカーであった。

相手は馬車に乗っているようで、半日ほどで生息域の入り口に到着した。

ハンナたちが馬車から降りて徒歩移動となったため、ロックたちも地上におり、歩いて追うことにした。

入り口付近では他の冒険者とも遭遇する可能性があるため、しばらくしてから接触することにした。


「ねえ。」

「なに?」

「なんて声かけるの~?」

「え~と…、「今お暇ですか?ちょっとお話を…。」とか?」

「ナンパじゃねえか。」

「ロック。」

「すみません。
 ファルクさん、どうしたらいいですかね?」

「俺に振るなよ。」


冗談はさておき、逆で考えるとかなり怖い案件である。

モンスター生息域で知らないS級冒険者4人組、しかも指名手配犯に声をかけられたら…。


「ファルクさんが【龍化】して襲うところを助けるとか~?」

「お、ミラそれいいね。」

「よくねえよ!
 すぐバレるだろうが!」


誰も具体的なアプローチ方法を考えておらず、暗礁に乗り上げる。

とりあえず見つけたらなんとかなるだろうと思っていたが…、なんともならなかった。

みんなが頭を悩ませる中、ファルクが思い立ったように声を発した。


「しょうがねえ、これでいくか!」
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