レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第四章 世界中が敵

第166話 将軍への尋問①

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「今1つのスキルを奪いました。
 わかりますか?」

「………!!」

将軍が驚いたような、絶望したような目をしている。

「一度お返しします。
 
 …これでスキルを奪ったり返したりすることができることは理解できましたか?」


力なく首を縦に振る将軍。


「【真実の眼】を使うことに同意してもらえますか?」

将軍は肯定する素振りを見せず、ロックを睨みつけている。

「…では、スキルを奪います。
 大人しく【真実の眼】の前で話をしてもらえるなら、頷いてください。」

将軍は頷かない。

「1つ目。」

1つ目のスキルを奪う。

将軍は頷かない。

「2つ目。」

この時点で、1つ目のスキルは消滅する。

しかし、そのことを将軍は知らない。

まだ将軍は頷かない。

「…3つ目。
 これで最後ですね。」

将軍は3つのスキルを持っていた。

その全てを奪われ、将軍の目から力が失われていくが…、それでも頷かない。


「…スキルを失くすよりも、真実を語る方が嫌なんですね。
 それとも、あとからスキルは奪い返せると思ってますか?」

将軍は弱々しくなった目で、それでもただロックを睨み続けている。

「…ジョセ大臣。
 実は、同意してもらわなくても【真実の眼】を使える可能性があります。」

「…なんじゃ?」

「将軍から奪ったスキルの中に、【魔力50%UP】がありました。
 これを大臣に渡せば、将軍の魔力を超えることができないでしょうか?」

「…微妙なところじゃな。
 …本当にそんなことができるのか?」

「はい。
 とりあえず、お渡ししますね。」


「…おぉ。
 こんなことが本当に…。

 入れ替えればいいんじゃな…。
 
 …できちまったぞい。」

「…どうでしょうか?」

「やってみよう。
 【魔力50%UP】
 【真実の眼】!」

「どうですか?」

「…まだ及ばんらしい。」

「そうですか…。」

「じゃが、大丈夫じゃ。
 わしは【中級特殊魔法】を使えるでな。
 [ミドルフォース]。」

ジョセ大臣を淡い光が包み込む。

「【真実の眼】。」

そして、再び【真実の眼】を発動する。

「…できたぞい。」

将軍が忌々しそうな目でロックと大臣を睨む。

「肯定なら頷け、否定なら何もせんでいい。」

どうやら【真実の眼】は言葉じゃなくても反応するらしい。

この方法なら強制的に真実がわかる。


「~~~~っ!!」

再び抵抗しようとする将軍。

どうやら、本当にスキルを失う以上に真実を知られる方が嫌らしい。


「じゃあまずスキル持ちの子どもたちのことから聞くぞい。
 スキルをたくさん持っていて帝国で保護した子どもたちを処分していたのは、お主の指示か?」

将軍は頷かない。

すると、将軍の身体を黒っぽい光が包み込む。

「…嘘じゃな…。
 やはり、こやつの指示だったらしい。」

「将軍…!」

怒りが込み上げるロック。

将軍はもう睨むことをやめ、目を伏せている。

「それをお主は誰かから指示されてやっておるのか?」

将軍は微動だにしない。

今度は白い光。

ーーNOだ。

「皇帝が指示したわけではなく、完全にこやつの独断か。」

「なぜそんなことをしたんじゃ…。
 …抵抗しても無駄なのはわかってるじゃろう。
 大人しく話す気はあるか?」

将軍は弱々しく頷いた。

分裂体が口を塞いでいた手を離す。


「…っはぁ!
 
 …くそ!」

悪態はつくが、大声を出して助けを呼んでも無駄だと観念しているようだ。

大臣のスキルは城にいるものはみんな知っている。

増えたところで、自分の悪事がバレる人数が増えるだけなのだ。

「なぜ子どもたちを処分したのじゃ?」

「…自分の評価が下がるからだ。
 保護される子どもにかかる経費は全て軍持ちだからな…。
 使えんやつにまわす金はない。」

「…勝手に連れてきておいて、養うお金を減らすために殺したというのか…!」

ロックの拳に力が入る。

将軍は、ロックの言葉には答えない。

「保護する子どもがいる町や村を襲ったことはあるか?
 魔物の仕業と見せかけて。」

「…い、いや…。」

しかし、将軍の身体は黒っぽく光った。

「…そんなことまでしておったのか…。
 それは誰かの指示か?」

「……。」

返事をしないが、頷かないということはNO。

身体が白く光ったので、NO、つまり将軍の意思ということだ。

「スキルを4つ以上もつ子どもを帝国が囲うのは、皇帝の指示か?」

「…そうだ。」

ーー白い光。

「なんのためじゃ?」

「…優秀な人材を魔物から守るためと…、育てるためだ…。」

ーー白い光。

「つまり、皇帝は善意でやろうとしていたわけじゃ…。
 それを任せる人材を間違えてしまったんじゃな…。」

「…大臣、魔王について聞いてみてください…。」
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