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第四章 世界中が敵
第156話 ファルクとイーザの育った場所
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翌朝、再びファルクの背中に乗ってバルキアへ向かった。
「ロック、このことはミラには内緒ね?
…きっと彼女、傷つくと思うから…。」
ティナは昨夜そう言って部屋に戻っていった。
そして、何事もなかったようにふるまっている。
ロックはというと…、思い切り挙動不審であった。
「ロック?
なんかおかしいけど、どうかしたの?」
「え!?
いや、な、なんでもないよ。」
「なんか怪しいな…?」
さすがにいつもの元気がなく、ロックが落ち込んでいることも感じていたミラは不審には思ったが、それ以上追求することはなかった。
そしてその日の夕方、バルキアに到着した。
ファルクが降り立ったのは、彼がイーザとともに育った孤児院。
「ここだ。」
夕方ということもあり、外で遊んでいる子どもはいない。
ガチャリ
ドアを開けて孤児院の中に入るファルク。
ロックたちも後に続く。
「おぉ、ファルクじゃないか。」
白髪で高齢の、優しい目をした女性がファルクにそう声をかけた。
「…ただいま。」
「おかえり。
…どうしたんだい?」
「…実は、院長先生に…、お話が…。」
「ファルク…?
…その前に、そちらの方々は?」
「こいつらは、世話になってる冒険者たちだ。」
「そうなんだね。
これはこれは、ようこそおいでくださいましたね。
ゆっくりおもてなししたいところだけど、この子と話す間、ここでくつろいでてもらえるかい?
チビたちがいて、落ち着かないかもしれないけど。」
院長はファルクの雰囲気からただならぬ事情を察し、話を聞くことを優先した。
「突然お邪魔してすみません。
ゆっくりさせていただきます。」
「ありがとねぇ。
ファルク、奥の部屋で話そうか。」
「ああ…。」
バタン
ファルクと院長がそう言って奥の部屋にひっこむと同時に、孤児院の子どもたちがロックたちに群がった。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!
あそぼ~!!」
「お姉ちゃん、おっぱいでけ~!」
「ねえねえ、どっちかと付き合ってるの!?」
「この兄ちゃん、なんかスケベそうな顔してる~!」
孤児であるはずの子どもたちは、みんな明るく元気な子ばかり。
院長が大事に育ててくれているのが伝わってきた。
元気すぎる子どもたちにもみくちゃにされる3人であった。
「さて、話を聞こうか。」
「…。」
「ファルク、どうしたんだい?」
「…すまねえ、院長先生…。」
「ん?」
「…イーザを…、守れなかった…。」
「イーザがどうかしたのかい!?」
「…魔族に連れ去られて…、イーザも…、魔族にされちまった…!」
「なんだって!?」
「俺が…、守るって…、約束したのに…!」
「…ファルク…。」
「…すまねえ。
…俺は…、…イーザ…。」
「…ファルク…。
…それは…、辛かったね…。」
ファルクの頭を優しく撫でる院長。
ファルクの目から涙がとめどなく溢れてくる。
「…うっ、……ぐっ…。」
部屋のなかに、ファルクの嗚咽が響く。
「ファルク、あれだけイーザのことを大事にしてたあんたのことだ。
精一杯頑張ったんだろ?」
「…でも…、助け…られな…かった…。」
「…イーザはまだ、生きてるんだろ?」
「…生きてるけど…、魔族に……。」
「魔族になったら…もうどうしようもないのかい?」
「…たぶん…。」
「たぶんって!
少しでも可能性があったら助けに行くのが、ファルクじゃないのかい?」
「ロック、このことはミラには内緒ね?
…きっと彼女、傷つくと思うから…。」
ティナは昨夜そう言って部屋に戻っていった。
そして、何事もなかったようにふるまっている。
ロックはというと…、思い切り挙動不審であった。
「ロック?
なんかおかしいけど、どうかしたの?」
「え!?
いや、な、なんでもないよ。」
「なんか怪しいな…?」
さすがにいつもの元気がなく、ロックが落ち込んでいることも感じていたミラは不審には思ったが、それ以上追求することはなかった。
そしてその日の夕方、バルキアに到着した。
ファルクが降り立ったのは、彼がイーザとともに育った孤児院。
「ここだ。」
夕方ということもあり、外で遊んでいる子どもはいない。
ガチャリ
ドアを開けて孤児院の中に入るファルク。
ロックたちも後に続く。
「おぉ、ファルクじゃないか。」
白髪で高齢の、優しい目をした女性がファルクにそう声をかけた。
「…ただいま。」
「おかえり。
…どうしたんだい?」
「…実は、院長先生に…、お話が…。」
「ファルク…?
…その前に、そちらの方々は?」
「こいつらは、世話になってる冒険者たちだ。」
「そうなんだね。
これはこれは、ようこそおいでくださいましたね。
ゆっくりおもてなししたいところだけど、この子と話す間、ここでくつろいでてもらえるかい?
チビたちがいて、落ち着かないかもしれないけど。」
院長はファルクの雰囲気からただならぬ事情を察し、話を聞くことを優先した。
「突然お邪魔してすみません。
ゆっくりさせていただきます。」
「ありがとねぇ。
ファルク、奥の部屋で話そうか。」
「ああ…。」
バタン
ファルクと院長がそう言って奥の部屋にひっこむと同時に、孤児院の子どもたちがロックたちに群がった。
「お兄ちゃん、お姉ちゃん!
あそぼ~!!」
「お姉ちゃん、おっぱいでけ~!」
「ねえねえ、どっちかと付き合ってるの!?」
「この兄ちゃん、なんかスケベそうな顔してる~!」
孤児であるはずの子どもたちは、みんな明るく元気な子ばかり。
院長が大事に育ててくれているのが伝わってきた。
元気すぎる子どもたちにもみくちゃにされる3人であった。
「さて、話を聞こうか。」
「…。」
「ファルク、どうしたんだい?」
「…すまねえ、院長先生…。」
「ん?」
「…イーザを…、守れなかった…。」
「イーザがどうかしたのかい!?」
「…魔族に連れ去られて…、イーザも…、魔族にされちまった…!」
「なんだって!?」
「俺が…、守るって…、約束したのに…!」
「…ファルク…。」
「…すまねえ。
…俺は…、…イーザ…。」
「…ファルク…。
…それは…、辛かったね…。」
ファルクの頭を優しく撫でる院長。
ファルクの目から涙がとめどなく溢れてくる。
「…うっ、……ぐっ…。」
部屋のなかに、ファルクの嗚咽が響く。
「ファルク、あれだけイーザのことを大事にしてたあんたのことだ。
精一杯頑張ったんだろ?」
「…でも…、助け…られな…かった…。」
「…イーザはまだ、生きてるんだろ?」
「…生きてるけど…、魔族に……。」
「魔族になったら…もうどうしようもないのかい?」
「…たぶん…。」
「たぶんって!
少しでも可能性があったら助けに行くのが、ファルクじゃないのかい?」
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