122 / 283
第三章 魔王の真実
第120話 アルカトル防衛戦⑥
しおりを挟む
A級モンスター マンティコア3体に進路を阻まれたA級冒険者3人。
グリゴリーを軸とした構成のパーティであり、剣を使うA級冒険者のオーバンとMPがほぼ尽きている後衛2人ではこの状況を打開することは、不可能。
回復役のティアミーは【光輝の壁】を使い続けている上、必要に応じて回復魔法を使っているため、もうMPが限界に近い。
「グゥォォオオ!!」
人の胴体ほどもありそうな太い足で大地を蹴り、一足飛びに襲いかかってくる1体のマンティコア。
「おらぁ!!」
オーバンが迎撃する。
マンティコアは合成獣の中では珍しく、純粋な戦闘の強さが特徴のモンスター。
通常時でも簡単な相手ではないが、それが同時に3体と周りに無数のB級モンスターがいる。
ただ、向かってきたマンティコアはグリフォンによるバフ効果がなかったようで、【光輝の壁】とバフがかかっているオーバンの方が優勢でまともに[武技]が炸裂した。
その様子を見ても残り2体は怯む様子がなく、突撃してくる。
周りのモンスターも含めて範囲攻撃の[武技]で牽制するオーバン。
「ぐあっ!!」
マンティコアへ繰り出した攻撃は空を切った。
それと同時にマンティコアは陽炎のように消えてしまった。
【影分身】スキルによる分身体だったのだ。
そこに実体であるマンティコアが隙をついて噛み付いてきた。
攻撃力と素早さが1.5倍となる【噛み砕き】のスキルだ。
さらに【吸血】により、オーバンのHPを吸い取る。
そして、ここぞとばかりに他のモンスターも攻撃を仕掛けてくる。
後衛2人は自分の周りのB級モンスターを相手するので精一杯。
マンティコアがオーバンの首を食いちぎろうと、口を大きく開けた。
「誰かーーー!!」
マーチの悲痛な叫びが響き渡る…。
…グラッ……、ドス…ン…
その時、マンティコアが力なく倒れた。
「悪い!
大丈夫だったか!?」
駆けつけたのは…、グリゴリー。
再びエキドナに【魔獣化】している。
「はっ!!」
槍の範囲攻撃で周囲の敵を薙ぎ払う。
【全能力50%UP】を発動しているため、A級モンスターも含めた敵をほぼ一撃で倒していく。
(【全能力50%UP】をもらっててよかったぜ…。
なかったらマンティコア1体でも少し手こずるからな。)
「アッサールが暴れて、俺の乗り移ってたモンスターがやられたみてえだ!
あいつはまだ乗り移られてて、魅了もそのうち解けるだろうから、今のうちになるべく離れるぞ!
距離が遠くなれば【乗り移り】は使えねえ!」
【乗り移り】を使用したものは動けなくなる。
そして、距離が離れると【乗り移り】は使えない。
オーバンが瀕死となってしまったため、庇いながら戦闘をするグリゴリー。
ティアミーはもう回復魔法を使うことができなくなり、【光輝の壁】も消えてしまっている。
なかなかアッサールから距離をとることができない。
追い討ちをかけるようにA級モンスターが4人を囲む。
S級冒険者であるグリゴリーに【全能力50%UP】とバフがかかっている状態なら、A級モンスターも敵ではない。
しかし、それを覆すことができるのが、スキル。
A級モンスターの数体にもバフや【光輝の壁】がかけられており、そうなると1体を仕留めるのにかなり手こずる上、ダメージをもらう。
その中でも【深淵の闇】を持つアモンが厄介な相手であった。
【深淵の闇】はダメージを吸収し、それを闇の魔力球、闇球(ダークボール)として放出し攻撃することができる。
使用者の最大HPの2倍まで吸収することができ、倒すにはそれ以上のダメージを与える必要がある。
闇球を放出すると蓄積したダメージはリセットされるため、2倍以上の強烈な一撃を叩き込むか、連撃で畳み込むしかない。
1対1ならまだしも、複数の敵に囲まれた状態、しかも【光輝の壁】やバフがかかっている個体もおり、そもそもアモンは【HP50%UP】のスキルを持っている。
そうなると与えられるダメージが激減するため、倒すのが非常に難しい状況となってしまった。
他のモンスターを優先して戦いたいところだが、アモンが庇うように前に出てくる。
(他のモンスターに【魔獣化】して3人を回復したいところだが、攻撃の手を緩めたら一気にやられちまいそうだ…。)
グリゴリーは他のモンスターからの被弾覚悟で、アモン1体に照準を絞る。
単体攻撃の[武技]を発動し、アモンへ強烈な槍の刺突を繰り出す。
それだけでは倒せないため、連撃を繰り出す。
「グリゴリー!!
上!!」
ガギィィ…ン…
「アッサール…!」
そこに恐れていた相手、乗り移られたアッサールが追いついてきて、飛び上がりながら激しく斧を振り下ろしてきた。
アッサールの一撃を後退りながらもなんとか受け止めたグリゴリーだが、ダメージをたっぷり吸収したアモンの闇球が放たれた。
「や、べっ…!」
今直撃すれば命はない。
しかし、アッサールと競り合っているこの状況では躱すことができない。
その時。
目の前に迫る闇球とグリゴリーの間に、なにかが割り込んだ。
グリゴリーを軸とした構成のパーティであり、剣を使うA級冒険者のオーバンとMPがほぼ尽きている後衛2人ではこの状況を打開することは、不可能。
回復役のティアミーは【光輝の壁】を使い続けている上、必要に応じて回復魔法を使っているため、もうMPが限界に近い。
「グゥォォオオ!!」
人の胴体ほどもありそうな太い足で大地を蹴り、一足飛びに襲いかかってくる1体のマンティコア。
「おらぁ!!」
オーバンが迎撃する。
マンティコアは合成獣の中では珍しく、純粋な戦闘の強さが特徴のモンスター。
通常時でも簡単な相手ではないが、それが同時に3体と周りに無数のB級モンスターがいる。
ただ、向かってきたマンティコアはグリフォンによるバフ効果がなかったようで、【光輝の壁】とバフがかかっているオーバンの方が優勢でまともに[武技]が炸裂した。
その様子を見ても残り2体は怯む様子がなく、突撃してくる。
周りのモンスターも含めて範囲攻撃の[武技]で牽制するオーバン。
「ぐあっ!!」
マンティコアへ繰り出した攻撃は空を切った。
それと同時にマンティコアは陽炎のように消えてしまった。
【影分身】スキルによる分身体だったのだ。
そこに実体であるマンティコアが隙をついて噛み付いてきた。
攻撃力と素早さが1.5倍となる【噛み砕き】のスキルだ。
さらに【吸血】により、オーバンのHPを吸い取る。
そして、ここぞとばかりに他のモンスターも攻撃を仕掛けてくる。
後衛2人は自分の周りのB級モンスターを相手するので精一杯。
マンティコアがオーバンの首を食いちぎろうと、口を大きく開けた。
「誰かーーー!!」
マーチの悲痛な叫びが響き渡る…。
…グラッ……、ドス…ン…
その時、マンティコアが力なく倒れた。
「悪い!
大丈夫だったか!?」
駆けつけたのは…、グリゴリー。
再びエキドナに【魔獣化】している。
「はっ!!」
槍の範囲攻撃で周囲の敵を薙ぎ払う。
【全能力50%UP】を発動しているため、A級モンスターも含めた敵をほぼ一撃で倒していく。
(【全能力50%UP】をもらっててよかったぜ…。
なかったらマンティコア1体でも少し手こずるからな。)
「アッサールが暴れて、俺の乗り移ってたモンスターがやられたみてえだ!
あいつはまだ乗り移られてて、魅了もそのうち解けるだろうから、今のうちになるべく離れるぞ!
距離が遠くなれば【乗り移り】は使えねえ!」
【乗り移り】を使用したものは動けなくなる。
そして、距離が離れると【乗り移り】は使えない。
オーバンが瀕死となってしまったため、庇いながら戦闘をするグリゴリー。
ティアミーはもう回復魔法を使うことができなくなり、【光輝の壁】も消えてしまっている。
なかなかアッサールから距離をとることができない。
追い討ちをかけるようにA級モンスターが4人を囲む。
S級冒険者であるグリゴリーに【全能力50%UP】とバフがかかっている状態なら、A級モンスターも敵ではない。
しかし、それを覆すことができるのが、スキル。
A級モンスターの数体にもバフや【光輝の壁】がかけられており、そうなると1体を仕留めるのにかなり手こずる上、ダメージをもらう。
その中でも【深淵の闇】を持つアモンが厄介な相手であった。
【深淵の闇】はダメージを吸収し、それを闇の魔力球、闇球(ダークボール)として放出し攻撃することができる。
使用者の最大HPの2倍まで吸収することができ、倒すにはそれ以上のダメージを与える必要がある。
闇球を放出すると蓄積したダメージはリセットされるため、2倍以上の強烈な一撃を叩き込むか、連撃で畳み込むしかない。
1対1ならまだしも、複数の敵に囲まれた状態、しかも【光輝の壁】やバフがかかっている個体もおり、そもそもアモンは【HP50%UP】のスキルを持っている。
そうなると与えられるダメージが激減するため、倒すのが非常に難しい状況となってしまった。
他のモンスターを優先して戦いたいところだが、アモンが庇うように前に出てくる。
(他のモンスターに【魔獣化】して3人を回復したいところだが、攻撃の手を緩めたら一気にやられちまいそうだ…。)
グリゴリーは他のモンスターからの被弾覚悟で、アモン1体に照準を絞る。
単体攻撃の[武技]を発動し、アモンへ強烈な槍の刺突を繰り出す。
それだけでは倒せないため、連撃を繰り出す。
「グリゴリー!!
上!!」
ガギィィ…ン…
「アッサール…!」
そこに恐れていた相手、乗り移られたアッサールが追いついてきて、飛び上がりながら激しく斧を振り下ろしてきた。
アッサールの一撃を後退りながらもなんとか受け止めたグリゴリーだが、ダメージをたっぷり吸収したアモンの闇球が放たれた。
「や、べっ…!」
今直撃すれば命はない。
しかし、アッサールと競り合っているこの状況では躱すことができない。
その時。
目の前に迫る闇球とグリゴリーの間に、なにかが割り込んだ。
6
お気に入りに追加
172
あなたにおすすめの小説

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

S級冒険者の子どもが進む道
干支猫
ファンタジー
【12/26完結】
とある小さな村、元冒険者の両親の下に生まれた子、ヨハン。
父親譲りの剣の才能に母親譲りの魔法の才能は両親の想定の遥か上をいく。
そうして王都の冒険者学校に入学を決め、出会った仲間と様々な学生生活を送っていった。
その中で魔族の存在にエルフの歴史を知る。そして魔王の復活を聞いた。
魔王とはいったい?
※感想に盛大なネタバレがあるので閲覧の際はご注意ください。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました
ぽとりひょん
ファンタジー
熱中症で死んだ俺は、勇者が召喚される16年前へ転生させられる。16年で宮廷魔法士になって、アレな勇者を導かなくてはならない。俺はチートスキルを隠して魔法士に成り上がって行く。勇者が召喚されたら、魔法士としてパーティーに入り彼を導き魔王を倒すのだ。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる