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第三章 魔王の真実
第111話 S級冒険者の拒絶
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リッチェルが去った後に声をかけたS級冒険者はアルカトル唯一のSランク、セアラ。
アメリアと同じくらいの歳だろうか?
ちなみにアメリアは29歳らしい。
「…バルキアから来てくれたそうね。
ありがとう。」
言葉とは裏腹に、態度はそっけない。
「A級が指揮をとって活躍できるほどここの戦場は甘くないわ。
好き勝手に動いて他の冒険者の邪魔をしないようにね。」
今度は辛辣な言葉を直接浴びせてくる。
「足手まといにならないように気をつけます。
よろしくお願いします。」
他のA級冒険者と同じ扱いをしてもらうようにお願いすることも考えたが、犠牲を抑えるためにはダートの時と同じように強い敵のスキルを奪っていったほうがいい。
そう考えたロックたちはあえて遊撃隊の案を拒否しなかった。
他の会議参加者からすると、思い上がった若者に見えたのかもしれない。
なにせ、ロックたちは若い。
ティナが18歳、ロックが16歳、ミラに至ってはまだ15歳なのだ。
この年齢でA級冒険者になるというのは異例であるし、唯一貫禄のあるゴルドはB級冒険者。
受け入れられないのはしょうがないと言えるだろう。
大した会話もできず、次のS級冒険者に。
3人目はバルキアのグリゴリー。
見るからに怖そうな、ガラの悪い細身の男だった。
「なんだ?
将軍にどんなゴマすりしたか知らねえが、背伸びして戦場にきても得しねえぞ?」
完全に喧嘩を売ってきている。
性格も見たまんまのようだ。
「がんばります…。」
またまた大した話もできなかった。
最後のS級冒険者に至っては、会話すらできなかった。
ボルドー国のS級冒険者、アッサール。
寡黙そうながっしりとした体格の大男だ。
「…俺に近づくな。」
それだけ言って立ち去ってしまった。
「すまんな。」
その様子を見ていたアルカトルのギルドマスターが声をかけてきた。
「S級冒険者はクセの強いのが多くてな。」
「場を乱してしまってすみません。」
「いや、将軍だけでなく信頼のおける職員のお墨付きだからな。
俺は期待しているぞ。」
「その職員って…?」
「レイカという者だ。」
(やっぱり…!
レイカさん、ありがとう…。)
レイカに感謝しつつ、先行きに不安を感じながら、ロックたちは作戦会議をしていた議場を後にした。
「レイカさんってすごい人よね…。
どこに行っても一目置かれてるわ。」
ティナがしみじみと呟く。
「おかげで少なくともギルドマスターの印象はよくなったね。」
「他の人は感じ悪かった!」
ミラがぷりぷり怒っている。
「命がかかっでる戦場のこどだからな。
神経質になるのはしょうがねえべ。」
「そうですね。
僕たちは自分たちにできることをして、被害を少しでも抑えましょう。」
「んだ。
一緒に戦えば、すぐおめえだちのすごさがわかるべ。
ただ、もうすぐS級は交替の時期のはずだ。」
S級冒険者は半年ごとに入れ替わる。
アメリアがアルカトルに移動していたのは交替のためだったのだ。
もし今のメンバーが認めてくれても、また同じリアクションをされる可能性は高い…。
「まあ、なんとかなるよー!」
「そうね。」
前向きなミラとそれを微笑ましく見ながら同意するティナ。
ロックとゴルドも頷いた。
それから4人はゴルドの案内で戦場となる要塞周辺を下見に行ったり、襲ってくるモンスターについて勉強したりした。
アルカトルは娯楽のお店も充実しているということで、街の中を探索したりもした。
歓楽街を見かけた時、ロックは気になってしょうがなかったが、必死でなんともないふりをしていた。
もちろん、他の3人にはバレバレだったが…。
どんな店があるか後でコッソリ教えてあげようと、ゴルドがほくそ笑んでいた。
楽しい時間も過ごしながら、4人はモンスターとの戦いに備えた。
そして数日後、その時はやってきた。
アメリアと同じくらいの歳だろうか?
ちなみにアメリアは29歳らしい。
「…バルキアから来てくれたそうね。
ありがとう。」
言葉とは裏腹に、態度はそっけない。
「A級が指揮をとって活躍できるほどここの戦場は甘くないわ。
好き勝手に動いて他の冒険者の邪魔をしないようにね。」
今度は辛辣な言葉を直接浴びせてくる。
「足手まといにならないように気をつけます。
よろしくお願いします。」
他のA級冒険者と同じ扱いをしてもらうようにお願いすることも考えたが、犠牲を抑えるためにはダートの時と同じように強い敵のスキルを奪っていったほうがいい。
そう考えたロックたちはあえて遊撃隊の案を拒否しなかった。
他の会議参加者からすると、思い上がった若者に見えたのかもしれない。
なにせ、ロックたちは若い。
ティナが18歳、ロックが16歳、ミラに至ってはまだ15歳なのだ。
この年齢でA級冒険者になるというのは異例であるし、唯一貫禄のあるゴルドはB級冒険者。
受け入れられないのはしょうがないと言えるだろう。
大した会話もできず、次のS級冒険者に。
3人目はバルキアのグリゴリー。
見るからに怖そうな、ガラの悪い細身の男だった。
「なんだ?
将軍にどんなゴマすりしたか知らねえが、背伸びして戦場にきても得しねえぞ?」
完全に喧嘩を売ってきている。
性格も見たまんまのようだ。
「がんばります…。」
またまた大した話もできなかった。
最後のS級冒険者に至っては、会話すらできなかった。
ボルドー国のS級冒険者、アッサール。
寡黙そうながっしりとした体格の大男だ。
「…俺に近づくな。」
それだけ言って立ち去ってしまった。
「すまんな。」
その様子を見ていたアルカトルのギルドマスターが声をかけてきた。
「S級冒険者はクセの強いのが多くてな。」
「場を乱してしまってすみません。」
「いや、将軍だけでなく信頼のおける職員のお墨付きだからな。
俺は期待しているぞ。」
「その職員って…?」
「レイカという者だ。」
(やっぱり…!
レイカさん、ありがとう…。)
レイカに感謝しつつ、先行きに不安を感じながら、ロックたちは作戦会議をしていた議場を後にした。
「レイカさんってすごい人よね…。
どこに行っても一目置かれてるわ。」
ティナがしみじみと呟く。
「おかげで少なくともギルドマスターの印象はよくなったね。」
「他の人は感じ悪かった!」
ミラがぷりぷり怒っている。
「命がかかっでる戦場のこどだからな。
神経質になるのはしょうがねえべ。」
「そうですね。
僕たちは自分たちにできることをして、被害を少しでも抑えましょう。」
「んだ。
一緒に戦えば、すぐおめえだちのすごさがわかるべ。
ただ、もうすぐS級は交替の時期のはずだ。」
S級冒険者は半年ごとに入れ替わる。
アメリアがアルカトルに移動していたのは交替のためだったのだ。
もし今のメンバーが認めてくれても、また同じリアクションをされる可能性は高い…。
「まあ、なんとかなるよー!」
「そうね。」
前向きなミラとそれを微笑ましく見ながら同意するティナ。
ロックとゴルドも頷いた。
それから4人はゴルドの案内で戦場となる要塞周辺を下見に行ったり、襲ってくるモンスターについて勉強したりした。
アルカトルは娯楽のお店も充実しているということで、街の中を探索したりもした。
歓楽街を見かけた時、ロックは気になってしょうがなかったが、必死でなんともないふりをしていた。
もちろん、他の3人にはバレバレだったが…。
どんな店があるか後でコッソリ教えてあげようと、ゴルドがほくそ笑んでいた。
楽しい時間も過ごしながら、4人はモンスターとの戦いに備えた。
そして数日後、その時はやってきた。
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