レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第三章 魔王の真実

第104話 崖っぷち

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「アメリアさん!!
 戻ってきてくれたんですね!!
 助かりました!!」

「飛龍に乗った魔族がダートの方に飛んで行ったのを見たものだから、急いで追いかけてきたの。
 魔力が切れるギリギリまで頑張ったけど、ちょっと遅れちゃったわ。」

「あの、危ないところを助けていただいてありがとうございました。」


ティナがアメリアにお礼を言う。


「当然のことだから礼はいらないわ。
 見ない顔だけど、どこからきたの?」

「バルキアから旅をしていて、たまたま立ち寄りました。
 もしかして、S級冒険者さんですか?」

「そうよ。
 ダートを守ってくれてありがとうね。
 ここで少しMPを回復したら、あいつらやっつけちゃいましょう!!」

「「おおおーーー!!!」」


ダートの冒険者達の士気が一気に上がった。

アメリアへの信頼度がよくわかる。

さすがS級冒険者、といったところか。


モンスターと戦いながらティナの無事を確認したロックは胸を撫で下ろした。

(よかった…。)

助けが入った瞬間にファラクを倒すため方向転換をしていた。


アメリアの参戦により鳥のモンスターは全滅。

岩山の冒険者達は下側の援護に回ることができるようになった。

弓使いは冒険者がいないところにいるモンスターへ攻撃。

攻撃魔法使いと回復魔法使いは岩山を降りていき、下で戦う仲間に合流した。

少しだが盛り返し始めた。


しかし、状況はまだまだ劣勢。


A級モンスターに対応しているのはA級冒険者が1人ずついるパーティが6組、B級冒険者だけのパーティが8組。

残りのA級モンスターは11匹。

B級・C級モンスターもまだまだ200体以上はいる。


回復班が機能しているためまだ死者は出ていないが、モンスターも減らなくなった。

モンスター側は蟻の分裂体がダメージを気にせず突っ込んでいける分、回復の頻度が少ない。

ファラクもA級だけあって、【光輝の壁】を発動するタイミングをしっかり見極めて使っているようだ。

もともと数が圧倒的に劣っている冒険者側の方が持久戦は不利なのだ。


アメリアがMPを回復している間、ロックはファラクとキングスコーピオンを1匹ずつ倒した。


しかし、ミラにかけてもらったバフが切れてしまった。

かけ直してもらいたいところだが、そんな暇はない。


それに気づいた近くのB級冒険者が、声をかけてくれた。

「もしかして、バフ切れたのか?
 中級だから[ミドルフォース]だけど、かけとくぞ!」

「あ、ありがとうございます!」

「みんな仲間なんだ!
 遠慮せずに声をかけてくれ!」

「…はい!!
 じゃあもう1匹のファラクのところに向かいます!」

「任せた!
 こっちは他のパーティを手伝う!」


ファラクが残り1体となった。


数が減ったことで、冒険者側がまた少し勢いずく。

ナマハゲワシがかけていただろうモンスター側のバフも解けてきた。

冒険者側は主力を温存できていたため、まだバフの恩恵を受けられている。


それでも。


A級モンスターの強さは脅威。

特に、ミルメコレオの流砂に足を取られてしまったら為す術がない。


【気配察知】でミルメコレオやサンドワームの攻撃をなんとか避けていた冒険者達。

サンドワームは素早さがあるため避け切れないこともあったが、即死にはならないため回復することで死なずに済んでいた。


ファラクが減ったことで、少しずつダメージも与えられている。


だが、蟻たちの動きにより、1組のパーティがとうとう流砂に捕まってしまった。


ミルメコレオのいる中心まで落ち切る前に倒そうと攻撃する冒険者達。

しかし、ミルメコレオのスキルや一緒に落ちている蟻に邪魔されて思うように攻撃できない。

攻撃できても、まるでそこにいないかのように、ミルメコレオには届かない。


連鎖するように、残り2体のミルメコレオも冒険者達を飲み込み始める。

サンドワームと戦う冒険者達は回復が追いつかなくなってきた。
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