レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。

玉ねぎサーモン

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第二章 美少女とはじめる、むっつりスケベの冒険

第51話 世界唯一の港町へ

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バルキア帝国首都を出発して、約130日。

馬車は隣の国に入っていた。


世界で唯一港がある国、シーク。

人口規模や面積はバルキア帝国とは比べ物にならないが、活気がある。

船は首都から出ており、海の香りが街中に漂っている。


「これが海か~!」

「とっても広いわね!」

海のない土地で生まれ育った2人にとって、初めての海。

「市場もすごい活気だね!」

「そうね。
 フォーレン王国との交易があるから、いろんなものが入ってくるのかもね。」


バルキア帝国の皇帝のおかげで世界の国々の関係は安定してる。

当然国間の交易はあるが、別の大陸の国と直接やりとりしているのはシークとフォーレンだけ。

大陸が違うと特産品も変わってくる。

2つの大陸の物資が集うため、これだけの賑わいがある。


「でも…、海の食べ物ってほとんどないね。」

「そうね…。
 やっぱりモンスターの影響かしら…?」

海峡を船で行き来してるとはいえ、漁をできるほど安全ではないらしい。


「お金にもまだ余裕があるし、このままフォーレンまで行きましょうか。」

「そうだね。
 船旅と馬車であと1ヶ月はかかるみたいだし。」

2人は船が出港する港に向かった。

「よかった!
 今日の船に間に合ったね。」

海峡を行き来する船は3日に1航海。

毎日出てると思った2人は少し焦ったが、ちょうど今日出港する船に間に合った。

「あ、イーザさん!」

船に乗り込む前の待合室にいるイーザを発見。

「ロックにティナ!
 港町は珍しいからもうちょっとゆっくりすると思ったよ。
 もう行くのかい?」

「はい。
 そんなにのんびりできる旅でもないので。」

「そうかい。
 2人がバルキアの首都に戻るのは、あと7ヶ月後くらいだったね。
 帰りの時間を考えると、確かにそんなに時間がないね。」


ロックの幼馴染、ミラが15歳になりスキル覚醒をするのがその頃。

自分たちにあったことを考えると、もしミラが不遇のスキルだった時に心配。

バルキア帝国に様子を見に行くので、その時に貸したお金を返済してもらうと話していた。

ギルド経由で送金することができるらしい。


「そうなんです。
 イーザさん、早くフォルクさんと会えるといいですね。」

「戦場にいるから、すぐには会えないかもしれないが…、見つけてみせるよ。
 ありがとう。」

フォーレンへ出兵した彼氏、フォルクに会うためにバルキア首都からやってきたイーザ。

C級冒険者である彼女に出兵要請はない。

しかし、現地にいるC級冒険者は魔族との防衛戦には参加する。

冒険者は国間を自由に移動できるため、フォーレンまで行ってしまえばフォルクのいる戦場で戦うことは可能なのだ。

「でも、フォルクさんは反対してたんですよね…。」

「まあね。
 危険だから待っててくれって。

 でも、何年になるかわからないのに待ってるなんて、性に合わないよ。」

フォルクの出兵時、イーザも行くと言い喧嘩になった。

魔族の戦いは危険だからと、フォルクは絶対に譲らなかった。

だから、イーザはお金がなくてもフォルクに頼れなかったのだ。

「いつになるかわからないのは辛いですよね…。
 フォルクさんと喧嘩しないでくださいね。」

「喧嘩はいつものことだからね!
 まあ、尻でも触らしてやりゃー、すぐ許してくれるさ!」

そう言って豪快に笑うイーザ。

(し、尻って…!
 確かにいいおし…、いやいや!
 人様の彼女さんになんてことを!)

むっつりが暴走したことは、言うまでもない。

「…ロック?」

ロックのむっつりに敏感な、ティナの目線が痛い。

「な、なに?
 
 あ!乗船開始したみたいだよ!!」

話を逸らすのに素晴らしいタイミングで船への乗り込みが始まった。

「船旅、楽しみだな~!」

「ハハ!
 ティナの彼氏は面白いな!」

「か、彼氏じゃないですよ?
 パーティメンバーです!」

「そ、そうですよ!
 さあ、乗りましょう!」

「そうね。
 イーザさん、行きましょう?」

「ハハハ!
 よし!行こう!」


世界で唯一の客船へ3人は乗り込んでいった。
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