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葵ちゃんと貧民街まであと一歩
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柚奈が怜と旭を叩き起こす事、数分。やっと、怜と旭が目覚めた。二人は、あくびをし、目を擦っていた。辺りは少し、寒気があり、日が登りかけていた。
柚奈は腕を組み、話した。
「二人とも、任務への危機感が足りません。早くいきますよ」
(柚奈ちゃん、鬼だ)
怜は心のなかで、いきをつくのであった。旭は、気温の低さと服の生地の薄さに寒気が止まらなかった。
「お、おい柚奈。上着着たらダメか」
「ダメです。その上着は一発で軍の関係者だとバレます。だからこそのこの、服装なんです。我慢してください」
「へーい」
旭は渋々、上着をリュックにしまうと、リュックを背負った。これで、四人出発準備が整った。柚奈はマップを広げ話した。
「とりあえず、貧民街へは真西に進む感じですね。ここから五時間、到着予定時刻は九時くらいでしょうか」
「なな、長い道のりです」
「そんじゃ柚奈ちゃん、進むか」
「そうですね」
四人は中部エリア・第二軍事基地の駐車場から出ると、誰も歩いていない道路を歩き始めた。道路などはアスファルトだが、周りは草木が生い茂っていた。関東エリア・中央区とは真逆の存在だった。
四人は知らない道をどんどん進んでいった。しかし、徒歩で五時間は二十キロの距離だった。日差しはなく、気温はやや低めだったが、四人はだんだん汗をかいてきた。
そして、一時間が経過し、一番早く泣きをあげたのは旭だった。
「あぁもう疲れたー。なぁ怜、私をおぶってくれ」
「はぁ!? 無理無理、俺だって疲れてるんだぞ」
「いいじゃん、そんな私思うないよ? まぁ胸のせいで少し重くなってるのは勘弁してくれ」
「な!?」
怜が旭の方を向いて、話している時に旭が胸のことを話すと怜は揺れる旭の胸を見てしまい、顔を赤くした。
すると、進行方向と逆を向いていた怜は旭の胸を見ると同時に電柱に激突した。
「い、いてぇ……」
「先輩、よそ見してるからですよ」
「だだ、大丈夫ですか」
「あはは、私の胸見てるからだよ」
怜はぶつかった痛みで旭の言葉を聞いていなかったが、柚奈が胸を見ていたという言葉に食いついた。
「先輩、それは本当ですか」
「な、何が!?」
「旭ちゃんの胸です!」
「そ、そんなの見てない! 神に誓う!」
怜はややこしくなると思い、咄嗟に嘘をついた。その二人のやり取りを見た旭が手を叩き笑った。
「冗談だよ柚奈。言ってみただけ」
「そ、そうですか」
「ほら、言ったろ」
柚奈は怜が胸を見ていたという事実がなくなり、心の中で安堵したのであった。
そして、他愛もない会話が続き、歩いていると日の出が終わり、あたりはすっかり太陽に照らされた。
時刻は六時になると四人はコンビニを見つけた。いち早く声をあげたのは、旭と葵だった。
「よっしゃー、コンビニ行くぞ!」
「葵もいく~」
「勝手に出てくんなって」
「仕方ないです。寄りましょう」
四人と葵ちゃんはコンビニに入ると朝ごはんを選んだ。このコンビニも全自動型で怜の近くのアパートのコンビニと全く同じだった。中には誰もおらず、車も一台も停まってなかった。
柚奈と麦は水だけを購入し、外の駐車場で座って飲んでいた。怜はおにぎりと水を持つと、葵の元へ行った。
「おいおい、葵ちゃん。これは任務だから一つだけだぞ」
「えぇ! 葵、それじゃ頑張れない~」
「ダメだ。その代わり任務が終わったらあそこのコーヒー屋さんのフラッペをご馳走しよう」
すると葵はその言葉を聞くと目を輝かせ、安い板チョコを渡した。いつもと比べて信じられない行動で怜は驚いた。
「え? 本当にこれでいいの?」
「フラッペフラッペ」
(うん、絶対に任務終わったらご馳走してあげよう)
怜は心の中で絶対買ってあげようと誓ったのであった。
一方、旭は大盛りパスタとコーラを買っていた。怜と旭は外に出ると朝ごはんを食べ始めた。柚奈は旭の朝ごはんを見て、不快な表情で話した。
「え、えーと……旭ちゃん? それが朝ごはんでしょうか」
「うん? あ、そうそう。朝はモリモリ食べないとやっていけないんだよ」
(いつもモリモリ食べてますが)
いつも大食いな旭だが、そのモデル並みのスリムな体型に柚奈は嫉妬したのであった。
そして二人が朝ごはんを済ますと、四人は歩き始めた。西に向かって道路を歩いているが、車とは一切、すれ違うことはなかった。
二時間が経過し、時刻は八時を迎えた。残り数キロというところで怜は目を疑うところにたどり着いた。
「!? は、はぁ!? 嘘だろ、砂漠じゃないか!」
そう、四人は目の前に砂の海が広がっていた。そしてその先には巨大な廃工場が聳えていた。工場は錆びれており、数キロ離れた怜達のところにも異様な臭いが流れてきた。思わず、三人は鼻をつまみ話した。
「く、臭いです」
「うっ、臭すぎ……なんかの燃料の臭いか?」
「臭い、帰ろ」
「旭ちゃん、ここからが本番ですよ」
三人はこれからこの臭いに慣れていかなくてはいけないのだ。三人はつまむのをやめ、臭いに慣れようとした。麦が臭いに抵抗があることに柚奈が気づき、話した。
「麦ちゃんは平気なんですね」
「わ、私、臭い系は平気でして」
「では、皆さん。残り数キロ、貧民街まで頑張りましょう」
柚奈は腕を組み、話した。
「二人とも、任務への危機感が足りません。早くいきますよ」
(柚奈ちゃん、鬼だ)
怜は心のなかで、いきをつくのであった。旭は、気温の低さと服の生地の薄さに寒気が止まらなかった。
「お、おい柚奈。上着着たらダメか」
「ダメです。その上着は一発で軍の関係者だとバレます。だからこそのこの、服装なんです。我慢してください」
「へーい」
旭は渋々、上着をリュックにしまうと、リュックを背負った。これで、四人出発準備が整った。柚奈はマップを広げ話した。
「とりあえず、貧民街へは真西に進む感じですね。ここから五時間、到着予定時刻は九時くらいでしょうか」
「なな、長い道のりです」
「そんじゃ柚奈ちゃん、進むか」
「そうですね」
四人は中部エリア・第二軍事基地の駐車場から出ると、誰も歩いていない道路を歩き始めた。道路などはアスファルトだが、周りは草木が生い茂っていた。関東エリア・中央区とは真逆の存在だった。
四人は知らない道をどんどん進んでいった。しかし、徒歩で五時間は二十キロの距離だった。日差しはなく、気温はやや低めだったが、四人はだんだん汗をかいてきた。
そして、一時間が経過し、一番早く泣きをあげたのは旭だった。
「あぁもう疲れたー。なぁ怜、私をおぶってくれ」
「はぁ!? 無理無理、俺だって疲れてるんだぞ」
「いいじゃん、そんな私思うないよ? まぁ胸のせいで少し重くなってるのは勘弁してくれ」
「な!?」
怜が旭の方を向いて、話している時に旭が胸のことを話すと怜は揺れる旭の胸を見てしまい、顔を赤くした。
すると、進行方向と逆を向いていた怜は旭の胸を見ると同時に電柱に激突した。
「い、いてぇ……」
「先輩、よそ見してるからですよ」
「だだ、大丈夫ですか」
「あはは、私の胸見てるからだよ」
怜はぶつかった痛みで旭の言葉を聞いていなかったが、柚奈が胸を見ていたという言葉に食いついた。
「先輩、それは本当ですか」
「な、何が!?」
「旭ちゃんの胸です!」
「そ、そんなの見てない! 神に誓う!」
怜はややこしくなると思い、咄嗟に嘘をついた。その二人のやり取りを見た旭が手を叩き笑った。
「冗談だよ柚奈。言ってみただけ」
「そ、そうですか」
「ほら、言ったろ」
柚奈は怜が胸を見ていたという事実がなくなり、心の中で安堵したのであった。
そして、他愛もない会話が続き、歩いていると日の出が終わり、あたりはすっかり太陽に照らされた。
時刻は六時になると四人はコンビニを見つけた。いち早く声をあげたのは、旭と葵だった。
「よっしゃー、コンビニ行くぞ!」
「葵もいく~」
「勝手に出てくんなって」
「仕方ないです。寄りましょう」
四人と葵ちゃんはコンビニに入ると朝ごはんを選んだ。このコンビニも全自動型で怜の近くのアパートのコンビニと全く同じだった。中には誰もおらず、車も一台も停まってなかった。
柚奈と麦は水だけを購入し、外の駐車場で座って飲んでいた。怜はおにぎりと水を持つと、葵の元へ行った。
「おいおい、葵ちゃん。これは任務だから一つだけだぞ」
「えぇ! 葵、それじゃ頑張れない~」
「ダメだ。その代わり任務が終わったらあそこのコーヒー屋さんのフラッペをご馳走しよう」
すると葵はその言葉を聞くと目を輝かせ、安い板チョコを渡した。いつもと比べて信じられない行動で怜は驚いた。
「え? 本当にこれでいいの?」
「フラッペフラッペ」
(うん、絶対に任務終わったらご馳走してあげよう)
怜は心の中で絶対買ってあげようと誓ったのであった。
一方、旭は大盛りパスタとコーラを買っていた。怜と旭は外に出ると朝ごはんを食べ始めた。柚奈は旭の朝ごはんを見て、不快な表情で話した。
「え、えーと……旭ちゃん? それが朝ごはんでしょうか」
「うん? あ、そうそう。朝はモリモリ食べないとやっていけないんだよ」
(いつもモリモリ食べてますが)
いつも大食いな旭だが、そのモデル並みのスリムな体型に柚奈は嫉妬したのであった。
そして二人が朝ごはんを済ますと、四人は歩き始めた。西に向かって道路を歩いているが、車とは一切、すれ違うことはなかった。
二時間が経過し、時刻は八時を迎えた。残り数キロというところで怜は目を疑うところにたどり着いた。
「!? は、はぁ!? 嘘だろ、砂漠じゃないか!」
そう、四人は目の前に砂の海が広がっていた。そしてその先には巨大な廃工場が聳えていた。工場は錆びれており、数キロ離れた怜達のところにも異様な臭いが流れてきた。思わず、三人は鼻をつまみ話した。
「く、臭いです」
「うっ、臭すぎ……なんかの燃料の臭いか?」
「臭い、帰ろ」
「旭ちゃん、ここからが本番ですよ」
三人はこれからこの臭いに慣れていかなくてはいけないのだ。三人はつまむのをやめ、臭いに慣れようとした。麦が臭いに抵抗があることに柚奈が気づき、話した。
「麦ちゃんは平気なんですね」
「わ、私、臭い系は平気でして」
「では、皆さん。残り数キロ、貧民街まで頑張りましょう」
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