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葵ちゃんと時雨の無茶振り
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エレベーターが最上階の五十階に到達すると時雨はスキップしながら降りた。五十階には部屋は一部屋しか存在せず、その部屋こそが東京の軍の最高司令官がいる部屋だ。鼻歌を歌いながら時雨は部屋の外に付けられているインターホンを押した。すると最高司令官のボディガードがでた。
「何者だ。今の時間帯は何も予定が入っていないはず、緊急か」
「どうも時雨なの。緊急だから早く開けるなの」
「はぁまたあなたですか……入りなさい」
「ありがとね、ほたるん」
時雨はニコニコしながら部屋の中に入っていった。時雨が入った直後、茶髪ショートの女性が時雨に拳銃を向けた。女性は軍服ではなく、白を基調とした軍の制服と制帽をかぶっていた。
「時雨、仕事中なんだ。その名前じゃなくて安藤隊員だろ」
「ほたるん、じゃなくて安藤隊員、冗談なの。ところで最高司令官は?」
「司令官様なら今、部屋で大事な電話をしている、伝言なら私でいいだろ」
「そうなの」
この司令官のボディガードをしている女性は安藤蛍身長は百七十の高身長にキリッとしたツリ目が特徴。時雨とは去年まで第一部隊で一緒だったが、その強さで司令官のボディガードの移動となった。時雨は蛍が移動と知り、それを逆手に取り、易々とこの司令官室に無茶振りをいいに来ていたのだ。今では呆れた蛍はドアを開け、時雨の話を聞くことにしている。
「さっきの電波障害と爆破の犯人の件なの」
「あぁ、そんなのもあったな」
「奴らは西の方角にヘリで逃げたなの。ぜひ、第七部隊に今すぐ、貧民街への出発を要請したいなの」
「時雨が思うに、ヘリが西に行くし、奴らの出身地も不明ってのは貧民街の可能性があるから今すぐ行かせろってことだろ?」
「そうなのそうなの。さすがほたるん、話が早いの」
時雨が蛍をほたるんといった瞬間、蛍はまた拳銃を構え、狼のようなキリッとした殺伐とした瞳で睨み答えた。
「無理だ。それとその名前を次行ったら、この引き金を引くぞ?」
「えぇ! なんでなの。今すぐ向かわせた方が奴らに追いつける可能性もあるし、捕えた奴らは何もいわないなの」
「ダメだ。貧民街に使う軍の船は最北エリアに向かうんだ。貸せるなら静岡までのバスくらいか」
「いいなの。それならバスをもらうなの」
「本気か? あそこから貧民街まで車で五時間だぞ。歩きで行ける訳ないだろう。おまけに貧民街に近づけば近づくほど金目のものを取ろうとする悪ガキもいる可能性もあるしな」
「そもそも、時雨は行かないから大丈夫なの」
(第七部隊可哀想にこんな先輩に目をつけられちまったからなぁ)
蛍は時雨の無茶振りに心の中で時雨の後輩じゃなくてよかったとホッと安心するのであった。息をつくと蛍はスマホを取り出し話した。
「二十二時だ。今日の夜二十二時に出発する。伝えておけ」
「ありがとうなの」
お礼を言うと時雨は走って部屋を後にした。時雨が部屋を出た直後、部屋の奥から蛍に声をかけた。
「今、部屋にいたのは誰だ」
「はっ! 時雨です」
蛍は敬礼をし、答えた。奥から出てきた正体は最高司令官だったが、姿は見えなかった。しかし、声は高い女性の様な声だった。
「またあの子か。どんな無茶振りだ?」
「船で貧民街に行く要請です。あの船は最北エリアへ行く要請が第二部隊からあったので断りました」
「それで? 納得しないでしょ」
そこから蛍はさっきのやり取りを説明した。
「そうか、ふふ。まぁいいだろう。好きにさせてやれ」
「はっ!」
蛍は敬礼をすると仕事に取り掛かった。
一方時雨はわずか数分で話をつけ、四人の元に戻った。
「時雨さん、話はどうなったのですか」
「ごめんなの、船は無理なの」
「仕方ないですね。明後日にしましょう」
「でもね、バスは取れたの!」
時雨のその一言で柚奈と旭は氷づいた。意味のわからない怜と麦はキョトンとした表情だった。
「いいじゃん、バス取れたならゆっくり行けばいいじゃん」
「せ、先輩? バスはですね……静岡までしか行けないんですよ!? そこから徒歩です。車で五時間のところを徒歩ですよ!?」
「はぁ!? マジかよ!」
「わわわ、私、途中で死んじゃいます」
「私が疲れたら怜、おぶってね~」
「黙れ旭ちゃん!」
騒ぐ四人の元に時雨は受付から用紙を受け取ってきた。
「はいこれ、今日の二十二時出発なの。チケットと通行ルートなの。それじゃ時雨はやることからさよならなの~」
時雨はやるだけやって柚奈にバスのチケットと用紙を渡すと手を振り、本部を後にした。灰の様に白く崩れ落ちそうな四人はそこから数分間、立ち直れなかった。
「何者だ。今の時間帯は何も予定が入っていないはず、緊急か」
「どうも時雨なの。緊急だから早く開けるなの」
「はぁまたあなたですか……入りなさい」
「ありがとね、ほたるん」
時雨はニコニコしながら部屋の中に入っていった。時雨が入った直後、茶髪ショートの女性が時雨に拳銃を向けた。女性は軍服ではなく、白を基調とした軍の制服と制帽をかぶっていた。
「時雨、仕事中なんだ。その名前じゃなくて安藤隊員だろ」
「ほたるん、じゃなくて安藤隊員、冗談なの。ところで最高司令官は?」
「司令官様なら今、部屋で大事な電話をしている、伝言なら私でいいだろ」
「そうなの」
この司令官のボディガードをしている女性は安藤蛍身長は百七十の高身長にキリッとしたツリ目が特徴。時雨とは去年まで第一部隊で一緒だったが、その強さで司令官のボディガードの移動となった。時雨は蛍が移動と知り、それを逆手に取り、易々とこの司令官室に無茶振りをいいに来ていたのだ。今では呆れた蛍はドアを開け、時雨の話を聞くことにしている。
「さっきの電波障害と爆破の犯人の件なの」
「あぁ、そんなのもあったな」
「奴らは西の方角にヘリで逃げたなの。ぜひ、第七部隊に今すぐ、貧民街への出発を要請したいなの」
「時雨が思うに、ヘリが西に行くし、奴らの出身地も不明ってのは貧民街の可能性があるから今すぐ行かせろってことだろ?」
「そうなのそうなの。さすがほたるん、話が早いの」
時雨が蛍をほたるんといった瞬間、蛍はまた拳銃を構え、狼のようなキリッとした殺伐とした瞳で睨み答えた。
「無理だ。それとその名前を次行ったら、この引き金を引くぞ?」
「えぇ! なんでなの。今すぐ向かわせた方が奴らに追いつける可能性もあるし、捕えた奴らは何もいわないなの」
「ダメだ。貧民街に使う軍の船は最北エリアに向かうんだ。貸せるなら静岡までのバスくらいか」
「いいなの。それならバスをもらうなの」
「本気か? あそこから貧民街まで車で五時間だぞ。歩きで行ける訳ないだろう。おまけに貧民街に近づけば近づくほど金目のものを取ろうとする悪ガキもいる可能性もあるしな」
「そもそも、時雨は行かないから大丈夫なの」
(第七部隊可哀想にこんな先輩に目をつけられちまったからなぁ)
蛍は時雨の無茶振りに心の中で時雨の後輩じゃなくてよかったとホッと安心するのであった。息をつくと蛍はスマホを取り出し話した。
「二十二時だ。今日の夜二十二時に出発する。伝えておけ」
「ありがとうなの」
お礼を言うと時雨は走って部屋を後にした。時雨が部屋を出た直後、部屋の奥から蛍に声をかけた。
「今、部屋にいたのは誰だ」
「はっ! 時雨です」
蛍は敬礼をし、答えた。奥から出てきた正体は最高司令官だったが、姿は見えなかった。しかし、声は高い女性の様な声だった。
「またあの子か。どんな無茶振りだ?」
「船で貧民街に行く要請です。あの船は最北エリアへ行く要請が第二部隊からあったので断りました」
「それで? 納得しないでしょ」
そこから蛍はさっきのやり取りを説明した。
「そうか、ふふ。まぁいいだろう。好きにさせてやれ」
「はっ!」
蛍は敬礼をすると仕事に取り掛かった。
一方時雨はわずか数分で話をつけ、四人の元に戻った。
「時雨さん、話はどうなったのですか」
「ごめんなの、船は無理なの」
「仕方ないですね。明後日にしましょう」
「でもね、バスは取れたの!」
時雨のその一言で柚奈と旭は氷づいた。意味のわからない怜と麦はキョトンとした表情だった。
「いいじゃん、バス取れたならゆっくり行けばいいじゃん」
「せ、先輩? バスはですね……静岡までしか行けないんですよ!? そこから徒歩です。車で五時間のところを徒歩ですよ!?」
「はぁ!? マジかよ!」
「わわわ、私、途中で死んじゃいます」
「私が疲れたら怜、おぶってね~」
「黙れ旭ちゃん!」
騒ぐ四人の元に時雨は受付から用紙を受け取ってきた。
「はいこれ、今日の二十二時出発なの。チケットと通行ルートなの。それじゃ時雨はやることからさよならなの~」
時雨はやるだけやって柚奈にバスのチケットと用紙を渡すと手を振り、本部を後にした。灰の様に白く崩れ落ちそうな四人はそこから数分間、立ち直れなかった。
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