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葵ちゃんと拷問
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数分後、麦が泣き止むと旭は柚奈と麦に本部でもらった犯人達の情報が載っている用紙を見せた。
「犯行をした奴らの特定は今、急いでやっているらしいが、捕まっていて逃げ出した奴らの情報がこれだ」
柚奈と麦は顔を近づけ、用紙の情報を読み始めた。用紙の文を読みきった柚奈は驚いた。
「旭ちゃん、これは全員ではなさそうですね」
「あぁ、十八人の情報はあるが、そいつらを逃がした犯人の情報はなし。それに加え、こいつら全員、無能力」
「は、犯人は子の中で助けたい人とかがいたとかですかね」
「それはどうでしょうか。今、ヘリコプターで数人が逃げました。十八人もヘリコプターに乗れないです。まだ近くに脱走した人たちはいるはずです。みんなで手分けして追いかけましょう」
「そ、それなんだけどさ」
怜が苦笑いをしながら頭を掻き、答えた。柚奈と麦はポカンとした表情を浮かべた。そう、怜と旭が柚奈達のところへ向かっている際、怜のスマホに着信がきた。
「うん? 何の番号だ? 通信関係は止まってるはずじゃ。とりあえず出るか」
怜は知らない番号からかかってきた事に何かこの現状を変えてくれるだろうと期待を抱き、電話をでた。ちなみに旭は、助手席で用紙とにらめっこをしていた。
「は、はい。もしもし」
「おぉ! 繋がった繋がったなの! 聞こえるなの? 冬風隊員、時雨なの~」
「し、時雨さん!?」
電話の主は時雨と知り、怜は驚いた。旭もその怜の声に驚き、後ろを振り向いた。
「おい怜! 時雨さんと電話してるのか!?」
「う、うん!」
「冬風隊員、いつ通信妨害で切れるかわからないから一度だけしか言わないなの」
怜は時雨からの真面目な声のトーンに息を飲み、集中して声を聞いた。
「時雨達は中央区周辺にいた脱走者計十八人を捕まえたなの。でも、残りの反抗した奴らがどこにもいないの。もしかしたら柚ちゃんの所にいるかもしれないから早く向かってなの」
「分かりました。時雨さん? 時雨さん!?」
時雨はそう怜に伝えると電話が通信妨害で強制的に切られてしまった。その時、丁度、道路が混み合い始め、怜と旭はタクシーを降り、走った。
それから今にあたり、怜はそれを柚奈と麦に説明した。
「って事だからとりあえず、時雨さんがいる中央区警察署に行こう」
「ふ~、そうだったんですね。その人達に聞けば、犯人の顔やアジトも割れそうですし、早く向かいましょう」
「わわ、私も皆さんのお役に立てるようがが、頑張ります」
四人は数分歩き、中央区警察署へと向かった。警察署はビルと同じくらい大きく、駐車場にはたくさんのパトカーが停まっていた。四人は警察署内に入り、ICチップで本人確認ののち、警察の人に案内され、時雨の元に向かった。
エレベーターで上がり、五階に辿り着いた。五階にある簡易収容所の牢に脱走した犯人、十八人がいた。しかし、怜達はその隣にある尋問室に案内された。
(尋問室かぁ。俺のトラウマが蘇りそうだが、今回は俺じゃないからセーフセーフ)
怜は本部でのトラウマを思い出したが、深呼吸をし、心を整えた。四人はノックをし、尋問室へ入った。そこには坊主の脱走者が拘束椅子に座らされ、頑丈な拘束が施されてあった。机を挟み正面には時雨がいた。
時雨は笑顔で手の平に水玉を生成し、坊主の男の口と鼻に纏わせ、空気を奪っていた。
「ほらほら、早く話さないと窒息死しちゃうなの~」
「ゔぅ、ゴボゴボ、ぐぐ……ががぁぁ」
拷問を受けている男は今にも死にそうな顔で溺れそうになっていた。その時、時雨は四人に気づくと、水の玉を解除して四人に手を振った。
「あ、みんな~久しぶりなの」
「久しぶりってそんな経ってないですよ時雨さん」
「えぇ、でも時雨は会えて嬉しいなの。そこにいるお嬢さんが首席卒業生なのね」
「はは、はい! よよ、よろしくおお、お願いします」
「可愛いなの。でも、今はお仕事中だから、早く終わらせるなの」
時雨はまた手の平の水の玉を操り、男の口と鼻を塞いだ。
「はーやーくなの。時雨はさっさと終わらせてみんなと遊びたいなの」
「ゴボゴボ、がはっ! はぁはぁ、だ、だから俺は知らない。な、何も覚えていないんだ」
「はい、もう一回」
「時雨さん、この方は何人目ですか?」
「こいつで五人目なの。は~つまんない! みんな答えは一緒なの。覚えてない覚えてないって、とぼけるななの!」
「記憶に関する能力とかですかね」
「まぁ怜も記憶ないし、怜はなんか知らないの?」
「はぁ!? 知るかよ、てか、記憶喪失のやつになんで記憶のこと聞いてんだよ。それと記憶を操るのがそんな珍しい事なのか?」
怜は旭にツッコミを入れ、記憶の能力について柚奈に聞いた。
「そうですね。記憶の改竄は余程の霊能力者でないと使いこなせないです。それに記憶改竄に自信があれば、警備の方を狙うはずです」
「それに~誤った記憶改竄をすればその人の脳を壊し、廃人にしちゃうこともあるなの」
「お、恐るべし記憶改竄」
怜は記憶の能力について恐怖心を抱くのであった。
「犯行をした奴らの特定は今、急いでやっているらしいが、捕まっていて逃げ出した奴らの情報がこれだ」
柚奈と麦は顔を近づけ、用紙の情報を読み始めた。用紙の文を読みきった柚奈は驚いた。
「旭ちゃん、これは全員ではなさそうですね」
「あぁ、十八人の情報はあるが、そいつらを逃がした犯人の情報はなし。それに加え、こいつら全員、無能力」
「は、犯人は子の中で助けたい人とかがいたとかですかね」
「それはどうでしょうか。今、ヘリコプターで数人が逃げました。十八人もヘリコプターに乗れないです。まだ近くに脱走した人たちはいるはずです。みんなで手分けして追いかけましょう」
「そ、それなんだけどさ」
怜が苦笑いをしながら頭を掻き、答えた。柚奈と麦はポカンとした表情を浮かべた。そう、怜と旭が柚奈達のところへ向かっている際、怜のスマホに着信がきた。
「うん? 何の番号だ? 通信関係は止まってるはずじゃ。とりあえず出るか」
怜は知らない番号からかかってきた事に何かこの現状を変えてくれるだろうと期待を抱き、電話をでた。ちなみに旭は、助手席で用紙とにらめっこをしていた。
「は、はい。もしもし」
「おぉ! 繋がった繋がったなの! 聞こえるなの? 冬風隊員、時雨なの~」
「し、時雨さん!?」
電話の主は時雨と知り、怜は驚いた。旭もその怜の声に驚き、後ろを振り向いた。
「おい怜! 時雨さんと電話してるのか!?」
「う、うん!」
「冬風隊員、いつ通信妨害で切れるかわからないから一度だけしか言わないなの」
怜は時雨からの真面目な声のトーンに息を飲み、集中して声を聞いた。
「時雨達は中央区周辺にいた脱走者計十八人を捕まえたなの。でも、残りの反抗した奴らがどこにもいないの。もしかしたら柚ちゃんの所にいるかもしれないから早く向かってなの」
「分かりました。時雨さん? 時雨さん!?」
時雨はそう怜に伝えると電話が通信妨害で強制的に切られてしまった。その時、丁度、道路が混み合い始め、怜と旭はタクシーを降り、走った。
それから今にあたり、怜はそれを柚奈と麦に説明した。
「って事だからとりあえず、時雨さんがいる中央区警察署に行こう」
「ふ~、そうだったんですね。その人達に聞けば、犯人の顔やアジトも割れそうですし、早く向かいましょう」
「わわ、私も皆さんのお役に立てるようがが、頑張ります」
四人は数分歩き、中央区警察署へと向かった。警察署はビルと同じくらい大きく、駐車場にはたくさんのパトカーが停まっていた。四人は警察署内に入り、ICチップで本人確認ののち、警察の人に案内され、時雨の元に向かった。
エレベーターで上がり、五階に辿り着いた。五階にある簡易収容所の牢に脱走した犯人、十八人がいた。しかし、怜達はその隣にある尋問室に案内された。
(尋問室かぁ。俺のトラウマが蘇りそうだが、今回は俺じゃないからセーフセーフ)
怜は本部でのトラウマを思い出したが、深呼吸をし、心を整えた。四人はノックをし、尋問室へ入った。そこには坊主の脱走者が拘束椅子に座らされ、頑丈な拘束が施されてあった。机を挟み正面には時雨がいた。
時雨は笑顔で手の平に水玉を生成し、坊主の男の口と鼻に纏わせ、空気を奪っていた。
「ほらほら、早く話さないと窒息死しちゃうなの~」
「ゔぅ、ゴボゴボ、ぐぐ……ががぁぁ」
拷問を受けている男は今にも死にそうな顔で溺れそうになっていた。その時、時雨は四人に気づくと、水の玉を解除して四人に手を振った。
「あ、みんな~久しぶりなの」
「久しぶりってそんな経ってないですよ時雨さん」
「えぇ、でも時雨は会えて嬉しいなの。そこにいるお嬢さんが首席卒業生なのね」
「はは、はい! よよ、よろしくおお、お願いします」
「可愛いなの。でも、今はお仕事中だから、早く終わらせるなの」
時雨はまた手の平の水の玉を操り、男の口と鼻を塞いだ。
「はーやーくなの。時雨はさっさと終わらせてみんなと遊びたいなの」
「ゴボゴボ、がはっ! はぁはぁ、だ、だから俺は知らない。な、何も覚えていないんだ」
「はい、もう一回」
「時雨さん、この方は何人目ですか?」
「こいつで五人目なの。は~つまんない! みんな答えは一緒なの。覚えてない覚えてないって、とぼけるななの!」
「記憶に関する能力とかですかね」
「まぁ怜も記憶ないし、怜はなんか知らないの?」
「はぁ!? 知るかよ、てか、記憶喪失のやつになんで記憶のこと聞いてんだよ。それと記憶を操るのがそんな珍しい事なのか?」
怜は旭にツッコミを入れ、記憶の能力について柚奈に聞いた。
「そうですね。記憶の改竄は余程の霊能力者でないと使いこなせないです。それに記憶改竄に自信があれば、警備の方を狙うはずです」
「それに~誤った記憶改竄をすればその人の脳を壊し、廃人にしちゃうこともあるなの」
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