守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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葵ちゃんと真夜中のパトロール

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 柚奈は輝く月越しに建物の屋根を走り、オーラの場所へと向かった。上を走っていると下に柚奈と反対側に走る軍人がいた。暗闇で男女の区別はできなかったが、この時間帯に走っているということは守護霊を使う、柚奈と同じ軍人なのだろう。しかし、オーラを感じるというのに軍人は柚奈と同じ方向ではなく、反対側に走っていった。それを見た柚奈は息を吐き、愚痴った。

「はぁ、あっちは私達の管轄ってやつですか。この組織はいまだに分かりません。協力した方が早いのに、こうやって無視しますし」
「まぁまぁ、これも組織のルールだし、仕方ないよ」
「もうすぐで着きます」

 柚奈は近づくと、近くの建物に隠れ、禍々しいオーラの正体を探った。その場所は空き地で周りには建物は少なく、空き地が続いた。様子を見ていくと何やら男性の声がした。

「おい! 早くしろ。こんなところ軍人に見つかったら俺達、一発アウトだ」
「仕方ないだろ、難しいんだから」

 そこには男が三人で霊を囲み、何かのお札を霊に近づけていた。霊は長い黒髪で、顔はまだ実態はなく、服も真っ白な浴衣を直ようしていた。霊はお札を近づけられるたびに悪霊化を始めていたのだ。
 こんな状況は初めてな柚奈はすぐに飛び出した。

「貴方達! 何をしているんですか! フリーデンです」
「は!? クソ、お前らがのろまだから見つかっちまったじゃねぇか!」
「仕方ないっす。あいつをやりましょう」
「俺たちにはアレがありますから」
(見た所、守護霊使いじゃなさそうですが、アレとは一体なんでしょうか。一般の方相手に守護霊の力を使うわけには行きませんが、もし、この人達が霊の能力を使えば)

 柚奈は走り、男たちに接近した。
 男達はそれぞれ、ポケットから何かを取り出し、構えた。

(あの盗人みたいに羽を出したのであれば、上に避けて守護霊の力を使えば)

 男達はポケットから盗人と同じ羽を取り出した。そして柚奈めがけ、三人同時に羽を投げた。すると羽は盗人同様、光り輝く矢となり、柚奈に襲いかかった。予想が的中した柚奈は高く飛び、三人の矢を容易く避けた。
 柚奈は着地すると豊姫の力を使わずに格闘術で二人の男を撃退した。
 もう一人の男は禍々しいオーラを放ったお札をポケットから取り出した。

「ふん、お兄貴がくれた最終手段だ。これを喰らえ!」
(そのお札に一体何が)

 男はお札を勢いよく破ると、お札が紫色の光を発し、中から巨大な悪霊が出現した。悪霊は首から上がなく、人の体で長い爪を持っていた。体は真っ黒で悪霊を超え怪物のような見た目だった。悪霊は三霊ほど召喚された。

「うわぁぁ! い、一体この化け物はなんなんだ!」
「危ない!」

 柚奈は豊姫を武器化させ、悪霊に斬りかかった。しかし、一霊を斬り倒した柚奈だったが、残りの二霊の悪霊が男達を長い爪で串刺しに殺してしまった。その後男達は煤となり、夜風に吹かれ、消えていった。

「もう、こんなお面つけてられないです!」

 柚奈はお面を捨て、刀を振るい、次々と二霊の悪霊を斬っていった。悪霊は煤となり消え去ると柚奈の目の前には何も残らなかった。柚奈は悲しい表情でお面を拾い、スマホを手に取った。

「もうすぐ一時ですか。豊ちゃん、武器化はこのままでパトロールを続けます」
「うん、わかったよ。でも柚ちゃん、大丈夫?」
「平気です。本部に連絡して別の場所に行きましょう」

 柚奈はスマホで連絡を終えるとお面を付け、刀を持ったまま飛んで、また建物の上を走り、悪霊の気配を探っていった。
 それから三時まで何事もなく、柚奈はパトロールを終えた。

「さて、早く、シャワーを浴びて寝ましょう。もうすぐ朝です」
「そうだね~、私もシャワー浴びよ」
「前にもそんなことありましたね。あの時は暑すぎて聞けませんでしたが、どうしてシャワーを浴びるんですか、幽霊が」
「だって、気持ち的に涼しくなるからね~。てかそれ、結構前にも言ったはずなんだけどな」
「すみません、そういうどうでもいいことはすぐに忘れちゃうんで」
「ガーン」

 地味に刺さる言葉を言われた豊姫は少し落ち込みながらも柚奈と一緒に仲良くシャワーを浴びるのであった。
 そして同時刻にして貧民街では、集会が開かれていた。
『貧民街』そこは捨てられた子供から身寄りの無い社会に捨てられた大人、お年寄りが集まって住んでいた。貧民街は日本の東日本と西日本の真ん中に位置し、一般の人はもちろん、訳ありの人達以外は入ろうとしなかった。なので、東から西に行くには船や飛行機を利用しないといけないのだ。
 貧民街の街並みは巨大な廃工場の中に家がある感じだ。廃工場の周りは工場から出る汚染物質のせいで砂漠化していた。
 集会は廃工場の中心部だ。周りは錆びれており、真夜中の為所々に松明が置かれていた。そして大勢の人達の上、足場の上に一人の男が立っていた。
 男は煙のような銀色の髪に青や黄色が混じっていた。髪型はウルフカットだった。瞳は青色で、濃い緑色の汚れたコートを着用し、肌は病弱を思わさる真っ白な色だった。
 男は、コートに手を入れ、総勢百人以上入る人達の前で、話した。

「誰だ? 悪巧みをしてるやつは……」
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