133 / 153
葵ちゃんと男女差別に怜は怒る
しおりを挟む
柚奈が葵を隠すよう怜に話すと、怜は葵を自分の中に隠した。柚奈は眉間にしわを寄せ、何かを考えていた。その表情に怜は気になり、話しかけた。
「なぁ柚奈ちゃん、一体何を考えているんだ?」
「場所を変えましょう」
「お、おう」
四人は人通りの少ない路地に入っていった。すると柚奈は腕を組み、息をついた。
「柚奈ちゃん、何を見たんだ?」
「そうですね。推測……いえ、確定でしょう。このエリアに私達の組織以外の守護霊使い、あるいわ悪霊使いがいます」
「!?」
怜と旭は驚き、息を飲んだ。麦は路地で盗人が柚奈に攻撃をしている姿が見えたので、知っていた。
「おい、柚奈。それは本当なんだろうな。奴は何を使った」
「あいつは守護霊の能力なのか分かりませんが、一枚の羽を私に投げてきました。その羽が一瞬にして複数の矢と変わり、襲ってきました。幸い、麦ちゃんが盗人を追い込んでくれたので助かりました」
「あああ、ありがとうございます」
「何にせよ、これは連絡した方が良さそうだな」
怜は柚奈達の会話についていくことができず、ただ立ち尽くしていた。そもそも怜は組織以外の人たちが霊の能力を使っても問題ないだろうと思っていた。
この西暦三千年の世界では、霊の存在が理論的に確定された。しかし、その情報は一般には知られておらず、極秘なのだ。ある日能力に目覚めたならば、数日のうちに軍からの強制的な組織加入が求められる。ちなみに能力が目覚めやすいのは女子の割合が八割を占めている。
怜は、この情報を知らないし、基本的なことすべてを忘れているので、存在感を消すことしかできないのであった。そんな怜に麦が話しかけた。
「あ、あの。冬風さんは何か分かりますか?」
「はい? あぁ、あいつのことね! そうだな……ごめん。みんな俺に分かりやすく説明してくれ」
「あわわ、私こそ記憶が無いのに、意見を求めてす、すみません」
「麦ちゃんが謝ることないよ。それに怜でいいぜ」
「はぁ、先輩。こういう時面倒なんですよね」
「面倒とは何だ! 柚奈ちゃん」
「お腹減った~柚奈早く飯!」
「はい、行きましょう」
仲間外れにされた怜はそのまま、会話の置き去りにし、四人はお腹を満たしに店を探した。
「皆さんカレーはどうですか?」
「どこでもいい、早く行こ柚奈」
「俺もここで大丈夫だぜ」
「わ、私も」
四人はぞろぞろとカレー屋さんに入っていった。店内は眩しく電気が光っており、提灯がぶら下がっていた。まるで中華のお店のようだった。
(何だここ!? 中華料理屋じゃあるまいし)
怜は店の内装にツッコミを入れながら座席に座った。座席に座るなり、女子達はスマホを触り、メニューを一切見なかった。見兼ねた怜は驚き、話した。
「はぁお前ら嘘だろ!? 何でメニュー見て、食事を決めないんだ」
「何熱くなってんだよ。私なら決まってるぞ?」
「私もです」
「わわ、私もです」
「あ。す、すまない」
怜は落ち着きとともに少し顔を赤くしながらメニューを開いた。するとメニューにはいろんな種類のカレーやセットメニューがあった。しかし、怜を驚かせる光景が広がっていた。
「はぁ! 単品のカレーが三千って値段設定バグってるだろ!?」
「先輩静かにしてください。周りのお客さんに迷惑です」
「はぁ!? だってカレーってこんな値段する? みんな何食べるんだよ」
「早くしろ。みんなレディースセットに決まってるだろ」
「レ、レディースだと!?」
怜はメニューをめくっていき、最後のページにレディースセットと書かれたメニューがあり、値段が二千円と表示されていた。カレーに味噌汁とお新香が付くらしい。怜は辛うじてこれならいいと思い、店員を呼んだ。
店員の女性が伝票を持ち、怜達の卓にやってきた。
「ご注文をどうぞ」
「私達三人はレディースセットで」
「あ、俺もそれで」
怜が話した瞬間、店員と女子達はドン引きした。
「お、お客様? レディースセットは女性の方限定でして……」
「はぁ!? そんなの男性差別じゃんか! 酷いぞ」
「おい、怜! いい加減にしろ。お前は違うやつ頼めよ」
「すみません。この方には鬼カレーをお願いします」
「かしこまりました」
店員は苦笑いをしながら怜達の前から離れていった。怜は怒りが収まらず、足を貧乏揺すりしていた。
「先輩、鬱陶しいです。やめてください」
「これが怒らないでいられるか。差別だぞ差別」
「どこの国の風習が先輩の頭の中に入ったかは知りませんが、この国は男性がお金を多く払って当然なんです。それは差別だという声は聞いてきましたが、男性の資金力はその人の力を表しているんです。この国はそういう国なんです。今の男性はそんなこと言う人はいませんよ」
「そ、そうなのか。いずれ俺がこの国を変える」
「なぁ怜、しかも男性と女性で料金が違うんだよ」
「はぁ!? 俺この店でる」
「先輩! 諦めてください。仕方ないです」
「男性料金カレー四千とか無理だからー!」
その後怜は鬼カレーという激辛カレーを涙を零しながら味わったのであった。
「なぁ柚奈ちゃん、一体何を考えているんだ?」
「場所を変えましょう」
「お、おう」
四人は人通りの少ない路地に入っていった。すると柚奈は腕を組み、息をついた。
「柚奈ちゃん、何を見たんだ?」
「そうですね。推測……いえ、確定でしょう。このエリアに私達の組織以外の守護霊使い、あるいわ悪霊使いがいます」
「!?」
怜と旭は驚き、息を飲んだ。麦は路地で盗人が柚奈に攻撃をしている姿が見えたので、知っていた。
「おい、柚奈。それは本当なんだろうな。奴は何を使った」
「あいつは守護霊の能力なのか分かりませんが、一枚の羽を私に投げてきました。その羽が一瞬にして複数の矢と変わり、襲ってきました。幸い、麦ちゃんが盗人を追い込んでくれたので助かりました」
「あああ、ありがとうございます」
「何にせよ、これは連絡した方が良さそうだな」
怜は柚奈達の会話についていくことができず、ただ立ち尽くしていた。そもそも怜は組織以外の人たちが霊の能力を使っても問題ないだろうと思っていた。
この西暦三千年の世界では、霊の存在が理論的に確定された。しかし、その情報は一般には知られておらず、極秘なのだ。ある日能力に目覚めたならば、数日のうちに軍からの強制的な組織加入が求められる。ちなみに能力が目覚めやすいのは女子の割合が八割を占めている。
怜は、この情報を知らないし、基本的なことすべてを忘れているので、存在感を消すことしかできないのであった。そんな怜に麦が話しかけた。
「あ、あの。冬風さんは何か分かりますか?」
「はい? あぁ、あいつのことね! そうだな……ごめん。みんな俺に分かりやすく説明してくれ」
「あわわ、私こそ記憶が無いのに、意見を求めてす、すみません」
「麦ちゃんが謝ることないよ。それに怜でいいぜ」
「はぁ、先輩。こういう時面倒なんですよね」
「面倒とは何だ! 柚奈ちゃん」
「お腹減った~柚奈早く飯!」
「はい、行きましょう」
仲間外れにされた怜はそのまま、会話の置き去りにし、四人はお腹を満たしに店を探した。
「皆さんカレーはどうですか?」
「どこでもいい、早く行こ柚奈」
「俺もここで大丈夫だぜ」
「わ、私も」
四人はぞろぞろとカレー屋さんに入っていった。店内は眩しく電気が光っており、提灯がぶら下がっていた。まるで中華のお店のようだった。
(何だここ!? 中華料理屋じゃあるまいし)
怜は店の内装にツッコミを入れながら座席に座った。座席に座るなり、女子達はスマホを触り、メニューを一切見なかった。見兼ねた怜は驚き、話した。
「はぁお前ら嘘だろ!? 何でメニュー見て、食事を決めないんだ」
「何熱くなってんだよ。私なら決まってるぞ?」
「私もです」
「わわ、私もです」
「あ。す、すまない」
怜は落ち着きとともに少し顔を赤くしながらメニューを開いた。するとメニューにはいろんな種類のカレーやセットメニューがあった。しかし、怜を驚かせる光景が広がっていた。
「はぁ! 単品のカレーが三千って値段設定バグってるだろ!?」
「先輩静かにしてください。周りのお客さんに迷惑です」
「はぁ!? だってカレーってこんな値段する? みんな何食べるんだよ」
「早くしろ。みんなレディースセットに決まってるだろ」
「レ、レディースだと!?」
怜はメニューをめくっていき、最後のページにレディースセットと書かれたメニューがあり、値段が二千円と表示されていた。カレーに味噌汁とお新香が付くらしい。怜は辛うじてこれならいいと思い、店員を呼んだ。
店員の女性が伝票を持ち、怜達の卓にやってきた。
「ご注文をどうぞ」
「私達三人はレディースセットで」
「あ、俺もそれで」
怜が話した瞬間、店員と女子達はドン引きした。
「お、お客様? レディースセットは女性の方限定でして……」
「はぁ!? そんなの男性差別じゃんか! 酷いぞ」
「おい、怜! いい加減にしろ。お前は違うやつ頼めよ」
「すみません。この方には鬼カレーをお願いします」
「かしこまりました」
店員は苦笑いをしながら怜達の前から離れていった。怜は怒りが収まらず、足を貧乏揺すりしていた。
「先輩、鬱陶しいです。やめてください」
「これが怒らないでいられるか。差別だぞ差別」
「どこの国の風習が先輩の頭の中に入ったかは知りませんが、この国は男性がお金を多く払って当然なんです。それは差別だという声は聞いてきましたが、男性の資金力はその人の力を表しているんです。この国はそういう国なんです。今の男性はそんなこと言う人はいませんよ」
「そ、そうなのか。いずれ俺がこの国を変える」
「なぁ怜、しかも男性と女性で料金が違うんだよ」
「はぁ!? 俺この店でる」
「先輩! 諦めてください。仕方ないです」
「男性料金カレー四千とか無理だからー!」
その後怜は鬼カレーという激辛カレーを涙を零しながら味わったのであった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

30年待たされた異世界転移
明之 想
ファンタジー
気づけば異世界にいた10歳のぼく。
「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」
こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。
右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。
でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。
あの日見た夢の続きを信じて。
ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!
くじけそうになっても努力を続け。
そうして、30年が経過。
ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。
しかも、20歳も若返った姿で。
異世界と日本の2つの世界で、
20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる