132 / 153
葵ちゃんと盗人確保
しおりを挟む
旭は怜を引っ張り、財布を盗まれたお婆ちゃんに声をかけた。
「あのー、財布盗まれてますよ。今、私たちの仲間が追いかけているので、あの電柱の下で待っていてください」
「あら! 本当だわ。ありがとうね、軍人さん」
旭はお婆ちゃんを目印に電柱の下へ案内すると怜を引っ張り、走り出した。
「おいおい、旭ちゃん。引っ張られると走りずらいよ」
「あ、すまん。じゃ、置いてかれるなよ!」
すると旭は怜の手を離した瞬間、目にも止まらぬ速さで、大勢の人を避けながら走った。怜もなんとか旭を見失わないように走った。そして路地の入り口に辿り着いた。旭は真剣な眼差しで路地を見ていた。旭に対し、怜は息をあげながらやっと追いついた。
「あ、旭ちゃん。早いよ」
「黙れ。もうすぐで来る」
「はぁ?」
「あいつのことだったらもうすぐここに追い込んでくれるんだよ」
旭は柚奈を信じ、別の路地裏の入り口で待った。
一方柚奈と麦はすぐに後ろを追うと、さすがの盗人も取った後も周りを見ていたので、気づき、走り出した。
「麦ちゃんは下から、私は上から追いかけます」
「はい!」
柚奈が麦に指示を出すと、部屋で会ったおどおどした感じとは真逆で、真剣な眼差しで返事をし、走った。柚奈は上に飛び、建物の壁から壁を足で蹴り、盗人を追いかけた。
盗人は後ろを見ながら汗を垂らし、心の中で愚痴った。
(何だよ! こういう時に軍人が来やがった。だが、追いかけてきたのは一人のお嬢ちゃん。ワンチャン、やるか? いやいやダメだ。兄貴に言われたじゃないか! 焦らず安定を取れって)
盗人は路地をうまい具合に利用し、ゴミや瓦礫などを倒しながら走った。しかし、首席卒業生である麦はいとも簡単に避けながら盗人を追いかけた。
(この人、路地の道を正確に覚えている。ここらへんを拠点にしているか、常習犯。許せません。ですが、この先の左に追い込めば旭さんが待機しているとのこと。どうするのでしょうか柚奈さん)
柚奈は上から壁をジャンプし、余裕そうな表情で盗人を見ていた。
(楽勝ですね。この先で私が右の路地に飛び降りれば、王手といったところでしょうか)
そのまま柚奈と麦は追いかけ、いよいよ二手に分かれる路地に入ろうとしていた。柚奈は右の路地に先回りし、壁から飛び降り、犯人を待った。すると予定通り犯人が柚奈に向かってきた。しかし、犯人は予想外のことに白い羽を投げてきた。
「どうなっても知らねぇぞ! 喰らえ!」
「の、能力者!?」
白い羽は天使のように神々しく輝き、投げられた瞬間、羽は複数の弓になり柚奈めがけ飛んできた。柚奈は咄嗟に上に飛んで避けた。柚奈に怪我は無かったものの、盗人に右側の路地へ入られてしまった。
「逃さない!」
しかし、柚奈の下を通ったのはもう一人いた。麦だった。麦は部屋で出した時と同じ槍を出し、盗人の倍の速さで追いかけた。
数秒のうちに盗人の前に来ると盗人は驚き、来た道を逆走した。上にいる柚奈はわざと下に降りず、盗人を行かせた。麦はその行動に納得できず、話しかけた。
「柚奈さん、どうして逃がしたんですか!?」
「大丈夫ですよ。あそこには、旭ちゃんがいるので……って、麦ちゃんなんですか? その姿」
「あぁこれは」
麦は盗人をおいかける時に能力を使っていたのだ。その能力は動物型で、麦の頭には水色の猫耳、尻尾が生えていた。麦は能力を消すと二人は盗人が向かった方へ行った。
そして旭は耳で誰かの足音を感じ取った。
(誰か来る。走っている。息も荒い、これはビンゴだ)
旭はニヤリと笑い、蹴りの態勢に入った。その姿に怜は今から何が起こるのかとドキドキしていた。そして盗人が丁度、旭の蹴りの範囲に入ると、旭は思いっきり盗人に蹴りをかまし、盗人を気絶させた。
「よっしゃ! 当たりだ」
「す、すげぇ」
旭は盗人が持っていた財布を取ると柚奈と麦も到着した。麦は盗人が気絶しているのを見て驚いた。
「すすす、すごいです」
「だろー、まぁ慣れたもんだぜ」
「では、早く持ち主に返してあげましょう。私は警察を呼んでここで待ちます」
旭と麦、怜は財布を持ってさっきのお婆ちゃんの元へ届けた。
「あら! あなた達ありがとう。本当に感謝だわ。な、何かお礼をしないと」
「いいよいいよ。これが私達の仕事だからな!」
「あら! さすが軍人さんね。これからも応援してるわよ」
お婆ちゃんと分かれるとそこに柚奈が来て話した。
「こちらも警察に引き渡せました。それでは、早くご飯に行きましょう」
「そうだなぁ。俺も腹ペコだよ」
「葵も腹ペコー」
「おいいつの間に出てきてんだ! 隠れろ!」
「まぁいいんじゃね? こんなところで守護霊に気づく奴はいないっしょ」
「いえ、後で話しますが、葵ちゃんは隠れていた方が良さそうです」
「あのー、財布盗まれてますよ。今、私たちの仲間が追いかけているので、あの電柱の下で待っていてください」
「あら! 本当だわ。ありがとうね、軍人さん」
旭はお婆ちゃんを目印に電柱の下へ案内すると怜を引っ張り、走り出した。
「おいおい、旭ちゃん。引っ張られると走りずらいよ」
「あ、すまん。じゃ、置いてかれるなよ!」
すると旭は怜の手を離した瞬間、目にも止まらぬ速さで、大勢の人を避けながら走った。怜もなんとか旭を見失わないように走った。そして路地の入り口に辿り着いた。旭は真剣な眼差しで路地を見ていた。旭に対し、怜は息をあげながらやっと追いついた。
「あ、旭ちゃん。早いよ」
「黙れ。もうすぐで来る」
「はぁ?」
「あいつのことだったらもうすぐここに追い込んでくれるんだよ」
旭は柚奈を信じ、別の路地裏の入り口で待った。
一方柚奈と麦はすぐに後ろを追うと、さすがの盗人も取った後も周りを見ていたので、気づき、走り出した。
「麦ちゃんは下から、私は上から追いかけます」
「はい!」
柚奈が麦に指示を出すと、部屋で会ったおどおどした感じとは真逆で、真剣な眼差しで返事をし、走った。柚奈は上に飛び、建物の壁から壁を足で蹴り、盗人を追いかけた。
盗人は後ろを見ながら汗を垂らし、心の中で愚痴った。
(何だよ! こういう時に軍人が来やがった。だが、追いかけてきたのは一人のお嬢ちゃん。ワンチャン、やるか? いやいやダメだ。兄貴に言われたじゃないか! 焦らず安定を取れって)
盗人は路地をうまい具合に利用し、ゴミや瓦礫などを倒しながら走った。しかし、首席卒業生である麦はいとも簡単に避けながら盗人を追いかけた。
(この人、路地の道を正確に覚えている。ここらへんを拠点にしているか、常習犯。許せません。ですが、この先の左に追い込めば旭さんが待機しているとのこと。どうするのでしょうか柚奈さん)
柚奈は上から壁をジャンプし、余裕そうな表情で盗人を見ていた。
(楽勝ですね。この先で私が右の路地に飛び降りれば、王手といったところでしょうか)
そのまま柚奈と麦は追いかけ、いよいよ二手に分かれる路地に入ろうとしていた。柚奈は右の路地に先回りし、壁から飛び降り、犯人を待った。すると予定通り犯人が柚奈に向かってきた。しかし、犯人は予想外のことに白い羽を投げてきた。
「どうなっても知らねぇぞ! 喰らえ!」
「の、能力者!?」
白い羽は天使のように神々しく輝き、投げられた瞬間、羽は複数の弓になり柚奈めがけ飛んできた。柚奈は咄嗟に上に飛んで避けた。柚奈に怪我は無かったものの、盗人に右側の路地へ入られてしまった。
「逃さない!」
しかし、柚奈の下を通ったのはもう一人いた。麦だった。麦は部屋で出した時と同じ槍を出し、盗人の倍の速さで追いかけた。
数秒のうちに盗人の前に来ると盗人は驚き、来た道を逆走した。上にいる柚奈はわざと下に降りず、盗人を行かせた。麦はその行動に納得できず、話しかけた。
「柚奈さん、どうして逃がしたんですか!?」
「大丈夫ですよ。あそこには、旭ちゃんがいるので……って、麦ちゃんなんですか? その姿」
「あぁこれは」
麦は盗人をおいかける時に能力を使っていたのだ。その能力は動物型で、麦の頭には水色の猫耳、尻尾が生えていた。麦は能力を消すと二人は盗人が向かった方へ行った。
そして旭は耳で誰かの足音を感じ取った。
(誰か来る。走っている。息も荒い、これはビンゴだ)
旭はニヤリと笑い、蹴りの態勢に入った。その姿に怜は今から何が起こるのかとドキドキしていた。そして盗人が丁度、旭の蹴りの範囲に入ると、旭は思いっきり盗人に蹴りをかまし、盗人を気絶させた。
「よっしゃ! 当たりだ」
「す、すげぇ」
旭は盗人が持っていた財布を取ると柚奈と麦も到着した。麦は盗人が気絶しているのを見て驚いた。
「すすす、すごいです」
「だろー、まぁ慣れたもんだぜ」
「では、早く持ち主に返してあげましょう。私は警察を呼んでここで待ちます」
旭と麦、怜は財布を持ってさっきのお婆ちゃんの元へ届けた。
「あら! あなた達ありがとう。本当に感謝だわ。な、何かお礼をしないと」
「いいよいいよ。これが私達の仕事だからな!」
「あら! さすが軍人さんね。これからも応援してるわよ」
お婆ちゃんと分かれるとそこに柚奈が来て話した。
「こちらも警察に引き渡せました。それでは、早くご飯に行きましょう」
「そうだなぁ。俺も腹ペコだよ」
「葵も腹ペコー」
「おいいつの間に出てきてんだ! 隠れろ!」
「まぁいいんじゃね? こんなところで守護霊に気づく奴はいないっしょ」
「いえ、後で話しますが、葵ちゃんは隠れていた方が良さそうです」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)
京衛武百十
ファンタジー
俺の名は錬是(れんぜ)。開拓や開発に適した惑星を探す惑星ハンターだ。
だが、宇宙船の故障である未開の惑星に不時着。宇宙船の頭脳体でもあるメイトギアのエレクシアYM10と共にサバイバル生活をすることになった。
と言っても、メイトギアのエレクシアYM10がいれば身の回りの世話は完璧にしてくれるし食料だってエレクシアが確保してくれるしで、存外、快適な生活をしてる。
しかもこの惑星、どうやらかつて人間がいたらしく、その成れの果てなのか何なのか、やけに人間っぽいクリーチャーが多数生息してたんだ。
地球人以外の知的生命体、しかも人類らしいものがいた惑星となれば歴史に残る大発見なんだが、いかんせん帰る当てもない俺は、そこのクリーチャー達と仲良くなることで残りの人生を楽しむことにしたのだった。
筆者より。
なろうで連載中の「未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます」に若干の手直しを加えたVer.02として連載します。
なお、連載も長くなりましたが、第五章の「幸せ」までで錬是を主人公とした物語自体はいったん完結しています。それ以降は<錬是視点の別の物語>と捉えていただいても間違いではないでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる