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葵ちゃんと解放
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女性はそのまま怜に近づいた。ヒールの音が怜に近付き、怜の正面で止まった。
「おい、霊を出せ」
「しゅ、守護霊ですか?」
「そうだ、早くしろ」
「は、はい。葵ちゃん~出てきてくれ」
女性に指示され怜は葵を出現させようとした。しかし、葵は中々姿を見せなかった。焦る怜は自分の中で自問自答を繰り返していた。
(はぁ!? なんで葵ちゃん出てこないの? あぁ! この女性が気にくわないのか。それともなんだ、今は寝ているのか。いやいや、昨日葵ちゃんはたらふく寝ているはずだ。霊力は満タンに近いし、何より昨日は時雨さんからお菓子さえ貰っている。だが、なぜ現れない。てか、このままだったら俺どうなるの!? 処刑? ギロチン? 生贄!?)
怜の頭の中はパンク寸前だった。すると女性が黒い瞳を青色に変え、怜を見つめた。
(な、なんて美しい瞳なんだ)
怜はその女性の瞳に吸い込まれそうだった。その時、女性が声を出した。
「『アルゴス・第三の目』」
「何、能力!?」
すると女性の右目は黄緑色に光り出し、左目は黒い瞳に戻った。黄緑色の鮮明な瞳が怜を見つめると怜の横に葵が出現した。葵は出現するなり、踊り手怜の後ろに隠れた。葵の出現を確認した女性は右目を元の目に戻し、席に座った。
「驚かせてすまない守護霊。ちょっとデータの確認が必要でな」
「わ、私は葵だよ!」
葵はビビりながらも怜の後ろに隠れながら女性に対抗するように名前を言った。女性は葵の名前を聞くと鼻で笑い、パソコンで何かを調べ始めた。反抗的な態度の葵に対し怜は小さな声で話した。
「おい、葵ちゃん。あの女性の方の判断で俺らのこれからが決まるんだ。もう少しおとなしくしてくれ」
「だって葵、勝手に呼び出されて怒ってるんだもん」
「はぁ~、あとで何か美味しいものあげるから静かにしててくれ」
「えぇ! お菓子! 葵、大人しくしまーす」
葵はニッコリとした表情で怜の横でプカプカ浮いていた。その反面怜は、余命宣告されるかのような表情で溜息を吐きながら座っていた。するとパソコンを触っていた女性が話し出した。
「お前ら、ここに来る前に任務に行っていたらしいな。どこだ」
「えーっと、島、無人島です。仲間からそう聞きました」
「任務で怪我でもしたか」
「怪我はしましたけど、記憶を失いました」
「ほう、どこまで」
「自分の名前以外全部です」
「なるほど、これは大変だな。そりゃ、霊力の流れや守護霊の波長も違うよな。面倒だが、私が後は情報を書き換えとくよう話すからもう行け」
怜は何も知らないまま、尋問が終わった。怜自身はポカンとした顔で返事をした。
「す、すみません。拘束を解いてください」
「はぁ? それくらい自分で外せよ。大概ここに連れてこられる奴は自分で外して私に殴り込むぞ」
「はぁ……」
怜は手錠をされたまま部屋をでた。すると尋問室の前に立っていた柚奈と旭が怜に寄ってきた。
「おいおい、勘弁してくれよ。怜何やらかしたんだよ」
「ふざけんな! 俺は何もしてない」
「ところで先輩、処分はどうなったんですか」
「もう柚奈ちゃんまで。普通にもう行っていいって言われたんだよ」
「じゃ、その手錠はなんだよ」
「自分で外せって言われた。でも無理、誰かとって」
「はいはい、よっと」
怜は旭の目の前に手錠を突き出し、旭の瓦割りでなんとか破壊し、解放された。両手がすっきりした怜は、両手をふり、息をついた。
「ふー、やっと外れた。で、これどうする?」
「まぁその辺に置いとけば良いんじゃね?」
「ダメです。今から補給室へ行くので、そこで受付の人に渡しましょう」
「りょーかい。じゃ葵ちゃん、もう俺の中に戻っていいぞ」
「えぇお菓子は?」
「今はそれどころじゃないからあとでな」
葵は眉間にしわを寄せ、子供のように怒り、怜の背中から中に入っていった。そして三人は階段を登り、二階の補給室へ着いた。
柚奈が補給室のドアをノックし、入った。中は学校の教室くらいの広さで、ほとんど補給物資の段ボールが山積みになっていた。
入り口の正面に小さな少女が座っていた。少女は二本縛りで茶髪だった。茶色い瞳を輝かせ、軍服を着用していた。柚奈はそのその少女に敬礼をし、話した。
「お疲れ様です。この度は紛失した物資の補給に参りました」
「お疲れ様でしゅ。了解でしゅ」
(おいおい、でしゅって小学生以下だぞ? こんな施設に子供なんていていいのか。なんか笑いがこみ上げてきそう)
怜は二人のやりとりを見て、少女の言葉使いと語尾が面白く、にやけていた。そんな少女はにやけている怜を見て話した。
「そこの少年! なんで笑っているんでしゅか」
「いや~ごめんな。つい、子供が頑張って働いていると面白くて」
「おい怜! お前……」
すると少女は涙目で怒り始めた。
「い、一応私。二十歳超えてるんでしゅよ!」
「はぁ!? マジかよ。ごめん! 子供扱いして」
「えーんえーん」
そこから少女は数分間、泣き続けているのであった。
「おい、霊を出せ」
「しゅ、守護霊ですか?」
「そうだ、早くしろ」
「は、はい。葵ちゃん~出てきてくれ」
女性に指示され怜は葵を出現させようとした。しかし、葵は中々姿を見せなかった。焦る怜は自分の中で自問自答を繰り返していた。
(はぁ!? なんで葵ちゃん出てこないの? あぁ! この女性が気にくわないのか。それともなんだ、今は寝ているのか。いやいや、昨日葵ちゃんはたらふく寝ているはずだ。霊力は満タンに近いし、何より昨日は時雨さんからお菓子さえ貰っている。だが、なぜ現れない。てか、このままだったら俺どうなるの!? 処刑? ギロチン? 生贄!?)
怜の頭の中はパンク寸前だった。すると女性が黒い瞳を青色に変え、怜を見つめた。
(な、なんて美しい瞳なんだ)
怜はその女性の瞳に吸い込まれそうだった。その時、女性が声を出した。
「『アルゴス・第三の目』」
「何、能力!?」
すると女性の右目は黄緑色に光り出し、左目は黒い瞳に戻った。黄緑色の鮮明な瞳が怜を見つめると怜の横に葵が出現した。葵は出現するなり、踊り手怜の後ろに隠れた。葵の出現を確認した女性は右目を元の目に戻し、席に座った。
「驚かせてすまない守護霊。ちょっとデータの確認が必要でな」
「わ、私は葵だよ!」
葵はビビりながらも怜の後ろに隠れながら女性に対抗するように名前を言った。女性は葵の名前を聞くと鼻で笑い、パソコンで何かを調べ始めた。反抗的な態度の葵に対し怜は小さな声で話した。
「おい、葵ちゃん。あの女性の方の判断で俺らのこれからが決まるんだ。もう少しおとなしくしてくれ」
「だって葵、勝手に呼び出されて怒ってるんだもん」
「はぁ~、あとで何か美味しいものあげるから静かにしててくれ」
「えぇ! お菓子! 葵、大人しくしまーす」
葵はニッコリとした表情で怜の横でプカプカ浮いていた。その反面怜は、余命宣告されるかのような表情で溜息を吐きながら座っていた。するとパソコンを触っていた女性が話し出した。
「お前ら、ここに来る前に任務に行っていたらしいな。どこだ」
「えーっと、島、無人島です。仲間からそう聞きました」
「任務で怪我でもしたか」
「怪我はしましたけど、記憶を失いました」
「ほう、どこまで」
「自分の名前以外全部です」
「なるほど、これは大変だな。そりゃ、霊力の流れや守護霊の波長も違うよな。面倒だが、私が後は情報を書き換えとくよう話すからもう行け」
怜は何も知らないまま、尋問が終わった。怜自身はポカンとした顔で返事をした。
「す、すみません。拘束を解いてください」
「はぁ? それくらい自分で外せよ。大概ここに連れてこられる奴は自分で外して私に殴り込むぞ」
「はぁ……」
怜は手錠をされたまま部屋をでた。すると尋問室の前に立っていた柚奈と旭が怜に寄ってきた。
「おいおい、勘弁してくれよ。怜何やらかしたんだよ」
「ふざけんな! 俺は何もしてない」
「ところで先輩、処分はどうなったんですか」
「もう柚奈ちゃんまで。普通にもう行っていいって言われたんだよ」
「じゃ、その手錠はなんだよ」
「自分で外せって言われた。でも無理、誰かとって」
「はいはい、よっと」
怜は旭の目の前に手錠を突き出し、旭の瓦割りでなんとか破壊し、解放された。両手がすっきりした怜は、両手をふり、息をついた。
「ふー、やっと外れた。で、これどうする?」
「まぁその辺に置いとけば良いんじゃね?」
「ダメです。今から補給室へ行くので、そこで受付の人に渡しましょう」
「りょーかい。じゃ葵ちゃん、もう俺の中に戻っていいぞ」
「えぇお菓子は?」
「今はそれどころじゃないからあとでな」
葵は眉間にしわを寄せ、子供のように怒り、怜の背中から中に入っていった。そして三人は階段を登り、二階の補給室へ着いた。
柚奈が補給室のドアをノックし、入った。中は学校の教室くらいの広さで、ほとんど補給物資の段ボールが山積みになっていた。
入り口の正面に小さな少女が座っていた。少女は二本縛りで茶髪だった。茶色い瞳を輝かせ、軍服を着用していた。柚奈はそのその少女に敬礼をし、話した。
「お疲れ様です。この度は紛失した物資の補給に参りました」
「お疲れ様でしゅ。了解でしゅ」
(おいおい、でしゅって小学生以下だぞ? こんな施設に子供なんていていいのか。なんか笑いがこみ上げてきそう)
怜は二人のやりとりを見て、少女の言葉使いと語尾が面白く、にやけていた。そんな少女はにやけている怜を見て話した。
「そこの少年! なんで笑っているんでしゅか」
「いや~ごめんな。つい、子供が頑張って働いていると面白くて」
「おい怜! お前……」
すると少女は涙目で怒り始めた。
「い、一応私。二十歳超えてるんでしゅよ!」
「はぁ!? マジかよ。ごめん! 子供扱いして」
「えーんえーん」
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