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葵ちゃんとレオの守護霊
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時雨に揶揄われた怜たちの騒動は静まり、怜も風呂を済ませ、みんな就寝についた。
その頃、艦長室では時雨と奏音が地図を広げ、話していた。
「さーてと艦長さん。あとどのくらいで関東エリア・第一港に着くなの~?」
「し、時雨さん。艦長だなんてやめてくださいよ。ぼ、僕はただ、地図を見て隊員たちに指示を出しているだけですよ。しかも、こういう時だけ、艦長って言われても慣れませんし、恥ずかしいです。てか、時雨さんも艦長の役目ありますからね」
「そうなの~? じゃ、奏音ちゃん。奴ら動きはどうなのー?」
時雨は笑顔から真剣な眼差しに表情を変え、奏音に尋ねた。
「はい、今の所船を襲ってくる動きも確認できませんし、周りはレーダーで一分ごとに確認しているので、今のところ問題ないです」
「そうなの~、さすがこの船のステルス機能なの」
「軍の最新式ですからね。ところで、第一港に到着予定が明日の十時ですが、そこから本部まで車で一時間ですが、どこか寄っておきたい所はありますか?」
「そうなのね~、あ! 冬風隊員がいつも任務の前に行っているあそこに行こうなの」
「あ! いいですよ。それで冬風隊員の記憶が少しでも戻れば幸いですね。港から三十分くらいでしょうか。僕もお伴しますよ」
「明日が楽しみなの~」
時雨は両手を頬に当て、子供のように喜んだ。しかし、気が抜けかけている時雨に奏音は水を差した。
「時雨さん。任務はかえって報告するまでが任務ですからね。そうやって気を抜いているともしもの時に素早く対処できかねます。なので、最後まで気を張ってください」
「もう~、奏音ちゃんは真面目なのー。それじゃ時雨は少し、仮眠してくるなの。また、二十五時なの」
「はい、おやすみなさいです」
時雨はあくびをしながら艦長室を後にした。奏音も船のコックピットへ戻った。
その夜、救護室では、レオが唸りをあげ、眠っていた。
(ゔぅ、ぐ、や……やめろ。あぁ、ゔぅ。あ、あかりを、か、返せ。あか、り。どうして、どうして俺を、置いて)
レオが救護室のベッドで寝ている時、悪夢がレオを襲った。それと同時にレオの心臓は燃え上がり、その熱さでレオは目覚めた。
「あかり! はぁはぁはぁ……こ、ここは!?」
レオは自分の顔を両手で抑え、周りを見渡した。レオの上半身は裸で大量の包帯が巻かれていた。両腕にも複数の点滴が刺さっていた。レオは頭を押さえ、自分の状況を整理した。
(た、確か俺はあそこでオブリドと。そして、最後に技を撃って、その後は……奴に刺された! じゃなんで俺は生きている。誰があいつを殺した!? 一先ず、この船はどこのやつか調べよう)
レオは重症の腹部を押さえながら両腕に刺さっている点滴を取っていった。点滴を抜くたびに出血が溢れた。そんなことは気にせず、部屋の中を探索した。
医療道具が入っている棚を漁ったり、色んなところを漁った。しかし、船の情報は出てこなかった。レオは舌打ちをし、部屋を後にしようとしたが、ベットの下に何かがあるのが見え、腹部を押さえながら取った。
「な、なんだこの箱は」
そこには段ボールがあり、段ボール自体には何も表記されておらず、レオは破り開けた。すると段ボールの中からは一枚の軍服が出てきた。まだ新品のようだ、どうしてここに軍服があったのか分からないが、それよりレオは驚きの事実を知った。
(あぁ? この感触軍服か? は! こ、これは!?)
レオは胸の部分にワンポイントである太陽に形に鳥が羽ばたいているマークだった。一瞬でレオは『フリーデン』と分かった。レオは冷や汗を垂らし、息を飲んだ。
(よりに寄ってこの国の最重要組織『フリーデン』悪霊からこの国を守るために作られた守護霊使いのエリート! そんな奴らが俺の経歴を本部で調べてみろ。俺は一瞬で処刑が決まる。記憶を取り戻した俺は今……死ねない!)
怜は軍服を握りしめるとまたその思いが形となり、心臓が炎のように燃え上がった。レオは倒れ、胸を押さえた。
「あぁ、熱い」
すると倒れるレオの目の前に人の姿が現れた。いや、それは人ではなく、レオの守護霊だった。レオは瞳を見開いて驚いた。
「な、なんでお前が!?」
「なんでって、お前が記憶を取り戻したのと霊力が一定に溜まったからだ。なんだ出てきちゃダメだったか?」
「あぁ……」
レオの守護霊はオレンジ色のおさげ髪を触りながら答えた。そしてそのキリッとしたつり目にレオは見つめられながら、開いた口が塞がらなかった。困惑するレオの守護霊、いや彼女の名は
「ふん、行くぞ『エキドナ』」
「ようやくいつものお前に戻ったか」
「あぁとりあえずここを抜け出すぞ」
「いいだろう。手助けしよう。お前のなすがままに」
レオは自分の身を炎に包み、大きなドラゴンの翼を生やした。その変身する音が軍艦中に響き渡り、みんなを起こした。そんなレオは翼を羽ばたかせ、救護室の窓を突き破り、夜中の世界に消えていった。
その頃、艦長室では時雨と奏音が地図を広げ、話していた。
「さーてと艦長さん。あとどのくらいで関東エリア・第一港に着くなの~?」
「し、時雨さん。艦長だなんてやめてくださいよ。ぼ、僕はただ、地図を見て隊員たちに指示を出しているだけですよ。しかも、こういう時だけ、艦長って言われても慣れませんし、恥ずかしいです。てか、時雨さんも艦長の役目ありますからね」
「そうなの~? じゃ、奏音ちゃん。奴ら動きはどうなのー?」
時雨は笑顔から真剣な眼差しに表情を変え、奏音に尋ねた。
「はい、今の所船を襲ってくる動きも確認できませんし、周りはレーダーで一分ごとに確認しているので、今のところ問題ないです」
「そうなの~、さすがこの船のステルス機能なの」
「軍の最新式ですからね。ところで、第一港に到着予定が明日の十時ですが、そこから本部まで車で一時間ですが、どこか寄っておきたい所はありますか?」
「そうなのね~、あ! 冬風隊員がいつも任務の前に行っているあそこに行こうなの」
「あ! いいですよ。それで冬風隊員の記憶が少しでも戻れば幸いですね。港から三十分くらいでしょうか。僕もお伴しますよ」
「明日が楽しみなの~」
時雨は両手を頬に当て、子供のように喜んだ。しかし、気が抜けかけている時雨に奏音は水を差した。
「時雨さん。任務はかえって報告するまでが任務ですからね。そうやって気を抜いているともしもの時に素早く対処できかねます。なので、最後まで気を張ってください」
「もう~、奏音ちゃんは真面目なのー。それじゃ時雨は少し、仮眠してくるなの。また、二十五時なの」
「はい、おやすみなさいです」
時雨はあくびをしながら艦長室を後にした。奏音も船のコックピットへ戻った。
その夜、救護室では、レオが唸りをあげ、眠っていた。
(ゔぅ、ぐ、や……やめろ。あぁ、ゔぅ。あ、あかりを、か、返せ。あか、り。どうして、どうして俺を、置いて)
レオが救護室のベッドで寝ている時、悪夢がレオを襲った。それと同時にレオの心臓は燃え上がり、その熱さでレオは目覚めた。
「あかり! はぁはぁはぁ……こ、ここは!?」
レオは自分の顔を両手で抑え、周りを見渡した。レオの上半身は裸で大量の包帯が巻かれていた。両腕にも複数の点滴が刺さっていた。レオは頭を押さえ、自分の状況を整理した。
(た、確か俺はあそこでオブリドと。そして、最後に技を撃って、その後は……奴に刺された! じゃなんで俺は生きている。誰があいつを殺した!? 一先ず、この船はどこのやつか調べよう)
レオは重症の腹部を押さえながら両腕に刺さっている点滴を取っていった。点滴を抜くたびに出血が溢れた。そんなことは気にせず、部屋の中を探索した。
医療道具が入っている棚を漁ったり、色んなところを漁った。しかし、船の情報は出てこなかった。レオは舌打ちをし、部屋を後にしようとしたが、ベットの下に何かがあるのが見え、腹部を押さえながら取った。
「な、なんだこの箱は」
そこには段ボールがあり、段ボール自体には何も表記されておらず、レオは破り開けた。すると段ボールの中からは一枚の軍服が出てきた。まだ新品のようだ、どうしてここに軍服があったのか分からないが、それよりレオは驚きの事実を知った。
(あぁ? この感触軍服か? は! こ、これは!?)
レオは胸の部分にワンポイントである太陽に形に鳥が羽ばたいているマークだった。一瞬でレオは『フリーデン』と分かった。レオは冷や汗を垂らし、息を飲んだ。
(よりに寄ってこの国の最重要組織『フリーデン』悪霊からこの国を守るために作られた守護霊使いのエリート! そんな奴らが俺の経歴を本部で調べてみろ。俺は一瞬で処刑が決まる。記憶を取り戻した俺は今……死ねない!)
怜は軍服を握りしめるとまたその思いが形となり、心臓が炎のように燃え上がった。レオは倒れ、胸を押さえた。
「あぁ、熱い」
すると倒れるレオの目の前に人の姿が現れた。いや、それは人ではなく、レオの守護霊だった。レオは瞳を見開いて驚いた。
「な、なんでお前が!?」
「なんでって、お前が記憶を取り戻したのと霊力が一定に溜まったからだ。なんだ出てきちゃダメだったか?」
「あぁ……」
レオの守護霊はオレンジ色のおさげ髪を触りながら答えた。そしてそのキリッとしたつり目にレオは見つめられながら、開いた口が塞がらなかった。困惑するレオの守護霊、いや彼女の名は
「ふん、行くぞ『エキドナ』」
「ようやくいつものお前に戻ったか」
「あぁとりあえずここを抜け出すぞ」
「いいだろう。手助けしよう。お前のなすがままに」
レオは自分の身を炎に包み、大きなドラゴンの翼を生やした。その変身する音が軍艦中に響き渡り、みんなを起こした。そんなレオは翼を羽ばたかせ、救護室の窓を突き破り、夜中の世界に消えていった。
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