守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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怜の昔

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 三人が部屋に着くと怜を椅子に座らせ、二人は怜に向かって椅子を移動させ、座った。部屋は二段ベットと普通のベットがあり、机が三つ繋がっていた。部屋は意外と広く、キッチンやトイレがあった。そして話は始まった。

「先輩、まず私たちは『フリーデン』国際組織の一員です。大雑把に話すと日本の平和を脅かす者達の処理です。ですが、それは軍の方に任せればいいのですが、私達の担当は、守護霊使いや悪霊使いです」
「待て待て、守護霊使いともやり合う気なのか?」
「はい、前に言いましたが、守護霊とともに悪事を働いて行くと最終的には守護霊が悪霊に変わるのは知ってますね。ですが、敵の守護霊使いが自分達の正義のために戦うのであれば、意味は違ってきます。我々もそういった正義に立ち向かわないといけないのです」
「そ、そうか」

 怜は驚きの事実に耳を疑い、俯いた。しかし、柚奈は話を止めなかった。

「いいですか先輩。私達は国のために、いいえ、この日本で関係ない人達が安心して暮らせる日常がくるまで、戦い続けます」
「おい、柚奈。怜の気持ちも考えてやれ」
「は!? す、すみません。つい、熱くなってしまい。別の話にしましょう。先輩の訓練生時代の話とか」
「え? 訓練生? てか、俺いくつなの?」

 衝撃的な事実に二人は固まり、お互いの顔を見合わせ、怜に食いかかるように話した。

「先輩! 自分の年齢知らないんですか!?」
「怜! お前自分の歳忘れたのか!?」
「おいおい、だって仕方なくない? 俺記憶喪失だし」
「はぁ……先輩、今は二十一ですよ? 私と旭ちゃんは二十歳ですけど」
「えぇ! 俺もう二十代かよ」

 自分の歳が判明し、怜は驚きとともに、大人になった嬉しさがこみ上げてきた。

(よっしゃー、俺もう大人だったのかよ。お酒飲めるし、大人の魅力が俺を引き立たせているのか)
「まぁ時雨さんと奏音さんは二十三ですけど」

 思わず怜はあの二人が二つも離れていることに驚き、椅子から落ちた。その様子に旭は大爆笑し、膝を叩いていた。柚奈は怜の様子を見て呆れて、溜息をついた。

「はぁ、でも先輩、訓練生時代はコミュ障だったのか何も話さないので、少しクールな雰囲気でした。今と違って」
「確かに、あの時、何も話さないからぼっちだったよな! あははは」
「記憶喪失なので覚えてませーん」

 そこから三人は夕食の時間がくるまで話し続けたのであった。
 そして夕食の時間になった。部屋に備え付けられている電話がなった。柚奈が受話器を取り、出た。

「もしもし」
「柚ちゃーん。ご飯ができたなの~。時雨の部屋に準備してあるから来るなのー。部屋はAの一号室なの」
「分かりました。今から向かいます」

 柚奈は受話器を戻すと二人に伝え、時雨の部屋に移動した。
 三人は階段を登り、時雨のいる部屋に着いた。怜は船の食事は豪華だと妄想し、期待を膨らませていた。

(船の夕食か~、豪華だなぁ。多分、コース料理みたいに運ばれてくるのかな? いや、バイキング形式もあり得る。近くでシェフが肉を焼いてくれたら俺、たまんないな~)

 怜は妄想しながら楽しみに時雨の部屋のドアを開けた。するとそこには四人席座りのテーブルの上に夕食はあった。夕食は怜の妄想していたものとは程遠く、鉄のお盆の上に焼き魚、サラダ、蒸かし芋、コンソメスープが置かれていた。
 怜は夕食を見るなり、絶望し、何も言わずそのまま椅子に座った。もちろん、記憶を取り戻し、こういう夕食であることとは二人は知っており、何も驚かず席に着いた。
 怜は時雨の隣に柚奈と旭が隣同士で座った。
 みんなが席に着くと手を合わせ、食事の挨拶をした。

「では、みなさん。いただきますなのー」

 それぞれ挨拶をし、食事を始めた。すると食事が始まると時雨は突然、怜に抱きついた。

「うーん! 冬風隊員と食事なんて久しぶりなの~。『北エリア』の指令以来なの~」
「し、時雨さん!? 離れてください!」

 時雨の柔らかい頬が怜の胸にあたり、何だか怜も満更でもなかった。その様子を見た柚奈は顔を赤くし、テーブルを両手で叩き、怒った。

「時雨さん! 食事の時間です。それはマナー違反なので、やめてください」
「えぇ~、柚ちゃん厳しいなのー」
「厳しくないです! 先輩も早く食べてください」
「お、おう」

 何も悪くない怜まで飛び火が来て落ち込む怜であった。怜はスープを飲むとあることに気づくのであった。

(は!? スープ薄すぎだろ! しかも魚も! 野菜も! 全部味付けが薄いすぎる。い、芋に関しては味がない。これはどういうことだ)

 怜はあまりにも質素な夕食に辺りをキョロキョロした。その様子に気づいた柚奈が疑問に思い、声をかけた。

「先輩、さっきから辺りをチラチラ見てどうしたのですか? 鬱陶しくて夕食に集中できないのですが」
「いや、えっと~。うーん」
「何か言いたいことがあれば言ってください」
「えっと……あ、味付けなんだけど。薄すぎない?」

 怜の言葉に三人は思わず笑ってしまった。何がそんなに面白いかわからない怜は首を傾げた。

「すみません先輩。そうですよね、先輩は記憶が無いですから今の日本の状況がわからないですよね。私たちにとってはこれが普通でしたし、先輩も前は何も言わず食べていたんですよ?」
「そ、そうなのか。とりあえず、今の日本ではこれが普通ってことなんだな」
「そうです。島では、オブリドが私達の記憶や想像から調味料や食べ物を出した訳であって、今はあの島で作ったものは中々出せません」
「そうなのかよ~。また柚奈ちゃんのオムライス食べたいなぁ」

 質素な生活に慣れたくない怜であった。
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