121 / 153
怜の昔
しおりを挟む
三人が部屋に着くと怜を椅子に座らせ、二人は怜に向かって椅子を移動させ、座った。部屋は二段ベットと普通のベットがあり、机が三つ繋がっていた。部屋は意外と広く、キッチンやトイレがあった。そして話は始まった。
「先輩、まず私たちは『フリーデン』国際組織の一員です。大雑把に話すと日本の平和を脅かす者達の処理です。ですが、それは軍の方に任せればいいのですが、私達の担当は、守護霊使いや悪霊使いです」
「待て待て、守護霊使いともやり合う気なのか?」
「はい、前に言いましたが、守護霊とともに悪事を働いて行くと最終的には守護霊が悪霊に変わるのは知ってますね。ですが、敵の守護霊使いが自分達の正義のために戦うのであれば、意味は違ってきます。我々もそういった正義に立ち向かわないといけないのです」
「そ、そうか」
怜は驚きの事実に耳を疑い、俯いた。しかし、柚奈は話を止めなかった。
「いいですか先輩。私達は国のために、いいえ、この日本で関係ない人達が安心して暮らせる日常がくるまで、戦い続けます」
「おい、柚奈。怜の気持ちも考えてやれ」
「は!? す、すみません。つい、熱くなってしまい。別の話にしましょう。先輩の訓練生時代の話とか」
「え? 訓練生? てか、俺いくつなの?」
衝撃的な事実に二人は固まり、お互いの顔を見合わせ、怜に食いかかるように話した。
「先輩! 自分の年齢知らないんですか!?」
「怜! お前自分の歳忘れたのか!?」
「おいおい、だって仕方なくない? 俺記憶喪失だし」
「はぁ……先輩、今は二十一ですよ? 私と旭ちゃんは二十歳ですけど」
「えぇ! 俺もう二十代かよ」
自分の歳が判明し、怜は驚きとともに、大人になった嬉しさがこみ上げてきた。
(よっしゃー、俺もう大人だったのかよ。お酒飲めるし、大人の魅力が俺を引き立たせているのか)
「まぁ時雨さんと奏音さんは二十三ですけど」
思わず怜はあの二人が二つも離れていることに驚き、椅子から落ちた。その様子に旭は大爆笑し、膝を叩いていた。柚奈は怜の様子を見て呆れて、溜息をついた。
「はぁ、でも先輩、訓練生時代はコミュ障だったのか何も話さないので、少しクールな雰囲気でした。今と違って」
「確かに、あの時、何も話さないからぼっちだったよな! あははは」
「記憶喪失なので覚えてませーん」
そこから三人は夕食の時間がくるまで話し続けたのであった。
そして夕食の時間になった。部屋に備え付けられている電話がなった。柚奈が受話器を取り、出た。
「もしもし」
「柚ちゃーん。ご飯ができたなの~。時雨の部屋に準備してあるから来るなのー。部屋はAの一号室なの」
「分かりました。今から向かいます」
柚奈は受話器を戻すと二人に伝え、時雨の部屋に移動した。
三人は階段を登り、時雨のいる部屋に着いた。怜は船の食事は豪華だと妄想し、期待を膨らませていた。
(船の夕食か~、豪華だなぁ。多分、コース料理みたいに運ばれてくるのかな? いや、バイキング形式もあり得る。近くでシェフが肉を焼いてくれたら俺、たまんないな~)
怜は妄想しながら楽しみに時雨の部屋のドアを開けた。するとそこには四人席座りのテーブルの上に夕食はあった。夕食は怜の妄想していたものとは程遠く、鉄のお盆の上に焼き魚、サラダ、蒸かし芋、コンソメスープが置かれていた。
怜は夕食を見るなり、絶望し、何も言わずそのまま椅子に座った。もちろん、記憶を取り戻し、こういう夕食であることとは二人は知っており、何も驚かず席に着いた。
怜は時雨の隣に柚奈と旭が隣同士で座った。
みんなが席に着くと手を合わせ、食事の挨拶をした。
「では、みなさん。いただきますなのー」
それぞれ挨拶をし、食事を始めた。すると食事が始まると時雨は突然、怜に抱きついた。
「うーん! 冬風隊員と食事なんて久しぶりなの~。『北エリア』の指令以来なの~」
「し、時雨さん!? 離れてください!」
時雨の柔らかい頬が怜の胸にあたり、何だか怜も満更でもなかった。その様子を見た柚奈は顔を赤くし、テーブルを両手で叩き、怒った。
「時雨さん! 食事の時間です。それはマナー違反なので、やめてください」
「えぇ~、柚ちゃん厳しいなのー」
「厳しくないです! 先輩も早く食べてください」
「お、おう」
何も悪くない怜まで飛び火が来て落ち込む怜であった。怜はスープを飲むとあることに気づくのであった。
(は!? スープ薄すぎだろ! しかも魚も! 野菜も! 全部味付けが薄いすぎる。い、芋に関しては味がない。これはどういうことだ)
怜はあまりにも質素な夕食に辺りをキョロキョロした。その様子に気づいた柚奈が疑問に思い、声をかけた。
「先輩、さっきから辺りをチラチラ見てどうしたのですか? 鬱陶しくて夕食に集中できないのですが」
「いや、えっと~。うーん」
「何か言いたいことがあれば言ってください」
「えっと……あ、味付けなんだけど。薄すぎない?」
怜の言葉に三人は思わず笑ってしまった。何がそんなに面白いかわからない怜は首を傾げた。
「すみません先輩。そうですよね、先輩は記憶が無いですから今の日本の状況がわからないですよね。私たちにとってはこれが普通でしたし、先輩も前は何も言わず食べていたんですよ?」
「そ、そうなのか。とりあえず、今の日本ではこれが普通ってことなんだな」
「そうです。島では、オブリドが私達の記憶や想像から調味料や食べ物を出した訳であって、今はあの島で作ったものは中々出せません」
「そうなのかよ~。また柚奈ちゃんのオムライス食べたいなぁ」
質素な生活に慣れたくない怜であった。
「先輩、まず私たちは『フリーデン』国際組織の一員です。大雑把に話すと日本の平和を脅かす者達の処理です。ですが、それは軍の方に任せればいいのですが、私達の担当は、守護霊使いや悪霊使いです」
「待て待て、守護霊使いともやり合う気なのか?」
「はい、前に言いましたが、守護霊とともに悪事を働いて行くと最終的には守護霊が悪霊に変わるのは知ってますね。ですが、敵の守護霊使いが自分達の正義のために戦うのであれば、意味は違ってきます。我々もそういった正義に立ち向かわないといけないのです」
「そ、そうか」
怜は驚きの事実に耳を疑い、俯いた。しかし、柚奈は話を止めなかった。
「いいですか先輩。私達は国のために、いいえ、この日本で関係ない人達が安心して暮らせる日常がくるまで、戦い続けます」
「おい、柚奈。怜の気持ちも考えてやれ」
「は!? す、すみません。つい、熱くなってしまい。別の話にしましょう。先輩の訓練生時代の話とか」
「え? 訓練生? てか、俺いくつなの?」
衝撃的な事実に二人は固まり、お互いの顔を見合わせ、怜に食いかかるように話した。
「先輩! 自分の年齢知らないんですか!?」
「怜! お前自分の歳忘れたのか!?」
「おいおい、だって仕方なくない? 俺記憶喪失だし」
「はぁ……先輩、今は二十一ですよ? 私と旭ちゃんは二十歳ですけど」
「えぇ! 俺もう二十代かよ」
自分の歳が判明し、怜は驚きとともに、大人になった嬉しさがこみ上げてきた。
(よっしゃー、俺もう大人だったのかよ。お酒飲めるし、大人の魅力が俺を引き立たせているのか)
「まぁ時雨さんと奏音さんは二十三ですけど」
思わず怜はあの二人が二つも離れていることに驚き、椅子から落ちた。その様子に旭は大爆笑し、膝を叩いていた。柚奈は怜の様子を見て呆れて、溜息をついた。
「はぁ、でも先輩、訓練生時代はコミュ障だったのか何も話さないので、少しクールな雰囲気でした。今と違って」
「確かに、あの時、何も話さないからぼっちだったよな! あははは」
「記憶喪失なので覚えてませーん」
そこから三人は夕食の時間がくるまで話し続けたのであった。
そして夕食の時間になった。部屋に備え付けられている電話がなった。柚奈が受話器を取り、出た。
「もしもし」
「柚ちゃーん。ご飯ができたなの~。時雨の部屋に準備してあるから来るなのー。部屋はAの一号室なの」
「分かりました。今から向かいます」
柚奈は受話器を戻すと二人に伝え、時雨の部屋に移動した。
三人は階段を登り、時雨のいる部屋に着いた。怜は船の食事は豪華だと妄想し、期待を膨らませていた。
(船の夕食か~、豪華だなぁ。多分、コース料理みたいに運ばれてくるのかな? いや、バイキング形式もあり得る。近くでシェフが肉を焼いてくれたら俺、たまんないな~)
怜は妄想しながら楽しみに時雨の部屋のドアを開けた。するとそこには四人席座りのテーブルの上に夕食はあった。夕食は怜の妄想していたものとは程遠く、鉄のお盆の上に焼き魚、サラダ、蒸かし芋、コンソメスープが置かれていた。
怜は夕食を見るなり、絶望し、何も言わずそのまま椅子に座った。もちろん、記憶を取り戻し、こういう夕食であることとは二人は知っており、何も驚かず席に着いた。
怜は時雨の隣に柚奈と旭が隣同士で座った。
みんなが席に着くと手を合わせ、食事の挨拶をした。
「では、みなさん。いただきますなのー」
それぞれ挨拶をし、食事を始めた。すると食事が始まると時雨は突然、怜に抱きついた。
「うーん! 冬風隊員と食事なんて久しぶりなの~。『北エリア』の指令以来なの~」
「し、時雨さん!? 離れてください!」
時雨の柔らかい頬が怜の胸にあたり、何だか怜も満更でもなかった。その様子を見た柚奈は顔を赤くし、テーブルを両手で叩き、怒った。
「時雨さん! 食事の時間です。それはマナー違反なので、やめてください」
「えぇ~、柚ちゃん厳しいなのー」
「厳しくないです! 先輩も早く食べてください」
「お、おう」
何も悪くない怜まで飛び火が来て落ち込む怜であった。怜はスープを飲むとあることに気づくのであった。
(は!? スープ薄すぎだろ! しかも魚も! 野菜も! 全部味付けが薄いすぎる。い、芋に関しては味がない。これはどういうことだ)
怜はあまりにも質素な夕食に辺りをキョロキョロした。その様子に気づいた柚奈が疑問に思い、声をかけた。
「先輩、さっきから辺りをチラチラ見てどうしたのですか? 鬱陶しくて夕食に集中できないのですが」
「いや、えっと~。うーん」
「何か言いたいことがあれば言ってください」
「えっと……あ、味付けなんだけど。薄すぎない?」
怜の言葉に三人は思わず笑ってしまった。何がそんなに面白いかわからない怜は首を傾げた。
「すみません先輩。そうですよね、先輩は記憶が無いですから今の日本の状況がわからないですよね。私たちにとってはこれが普通でしたし、先輩も前は何も言わず食べていたんですよ?」
「そ、そうなのか。とりあえず、今の日本ではこれが普通ってことなんだな」
「そうです。島では、オブリドが私達の記憶や想像から調味料や食べ物を出した訳であって、今はあの島で作ったものは中々出せません」
「そうなのかよ~。また柚奈ちゃんのオムライス食べたいなぁ」
質素な生活に慣れたくない怜であった。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説

懐いてた年下の女の子が三年空けると口が悪くなってた話
六剣
恋愛
社会人の鳳健吾(おおとりけんご)と高校生の鮫島凛香(さめじまりんか)はアパートのお隣同士だった。
兄貴気質であるケンゴはシングルマザーで常に働きに出ているリンカの母親に代わってよく彼女の面倒を見ていた。
リンカが中学生になった頃、ケンゴは海外に転勤してしまい、三年の月日が流れる。
三年ぶりに日本のアパートに戻って来たケンゴに対してリンカは、
「なんだ。帰ってきたんだ」
と、嫌悪な様子で接するのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

美濃に戻ろうとする森長可を真田昌幸が誘致したら
俣彦
ファンタジー
武田家滅亡後、信濃国川中島に入った森長可に待ち受けていたもの。それは、越後国の上杉景勝に調略された武田旧臣による反乱。これを打ち破り、上杉討伐に乗り出した所。本能寺の変が勃発。急ぎ美濃に戻ろうとする森長可の前に立ちはだかったのが、従う事を誓ったはずの川中島の国衆。そんな森長可の姿を見た真田昌幸が採った行動。それは……。
「台本形式」を交えながら話を進めて行きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる