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葵ちゃんと怜を知る者
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怜の体に青色の雷が纏った。そして、足に力を入れて地面を蹴った。飛んでいるオブリドに休息で近づくとともに怜の体は数秒後の未来へと飛んだ。その一瞬で自分がオブリドの心臓を斬っている未来が見えた。その後怜は、その世界とリンクしオブリドの心臓を斬った。
怜は着地するとオブリドの様子を見た。オブリドは地面に落ちると大量の血を流し、動かなかった。
「こ、これで終わりか……嫌、あいつは何度も生き返ってきた。近くにいてトドメをさすべきか?」
「待って怜! この気配」
「あぁ俺も気づいてる。誰だそこにいるのは!」
怜は開いていた屋上のドアに向かって問いかけた。するとドアから小柄な少女が出てきた。少女はピンク髪にツインテールで、ピンク色の瞳をきらつかせていた。そして服装は白を基調としており、蛍光色の水色に加え、黒色もあり、未来系の軍服だった。しかし、軍服とは言ってもそこまで渋い感じではなく、逆に目立つような色使いだった。胸は旭ほどではないが、Cくらいあった。少女は愛らしくニコッと笑いながら怜に近づいた。
「いやー、さすが冬風隊員なの~。やっぱり私、惚れちゃいそうなの~」
(い、一体こいつは誰なんだ!? た、隊員? 俺の記憶には心当たりがないぞ)
記憶が曖昧な怜に対し、少女は容赦無く話し始めた。
「でもー、冬風隊員にしては時間がかかり過ぎなの~。時雨心配で迎えに来ちゃったなのー」
「む、迎え?」
「へ?」
「は?」
飲み込めない状況に二人は沈黙した。その時、オブリドが目を覚まし、牙をむいて時雨に襲いかかってきた。
「危ない!」
怜は刀を振ろうとしたが、オブリドまでは届く距離ではなかった。一方時雨は右手に傘を生成した。傘は黒を基調としており、傘の線は蛍光色の水色になっていた。時雨は傘を閉じたまま、オブリドの腹部を狙って先端を突き出した。オブリドは突き飛ばされると地面に倒れた。
その隙に時雨は傘をさし、左手をオブリドに向けた。するとオブリドの上空にだけ、突然と雨が降り始めた。
「これでおしまいなのー『翠雨』」
オブリドが立ち上がると降っていた雨が静止し、雫の形になった。そして一瞬にして何万粒の雫がオブリドの周りで、爆破した。その威力は凄まじく、オブリドの皮膚が飛び散った。オブリドは白目を剥いて倒れると煤となって雨にうたれながら消えていった。煤となって消えると雨も止み終えた。
時雨は傘を消すと眉間にしわを寄せて怜近づいた。
「本当に冬風隊員なのー? 時雨を揶揄うのはやめるの。時雨怒ったら怖いなの」
(は!? そんなこと言われても困るんだけど! でも、オブリドをやってくれたから、多分味方でいいんだよな? てか、早く誰か来てくれ)
すると怜の武器化を解除し葵が姿を現した。
「おぉ葵なの~、久しぶりなの」
葵の表情は固まり、怜と同じこいつ誰状態に陥った。そのまま葵は怜の後ろに隠れた。その様子を見た時雨は怜から距離を取り、涙を零した。
「えーん。二人に嫌われたなのー」
(ヤバイヤバイ。泣き出しちゃったよ。誰かこの状況を打開させてくれー!)
その時、屋上のドアから柚奈が飛び出してきた。丁度、旭も目覚め起き上がった。
「あ! おーい柚奈。この状況を……」
「あ! し、時雨さん。どうしてここにいるのですか?」
「えぇ!? 時雨さん。私たちを救ってくれたんですか」
「柚ちゃんに旭ちゃんなのー。二人ともボロボロだったから、『恵みの雨』やっといたのー」
状況が飲み込めない怜はただただ会話に置き去りにされた。すると階段から何人かの足音が響いてきた。そして屋上のドアから褐色の肌に真っ白なロン毛の少女が出てきた。少女は時雨と同じ服を着用しており、灰色の瞳で怜を見た。胸に膨らみはなかった。そして少女の後ろからゾロゾロと同じ服を着た人たちがライフルを構えて出てきた。
少女はヘトヘトな顔をして時雨に近づいた。
「時雨さん速いすぎですよー。いくらみんなが心配だからって一人で行くのは危険過ぎですよ」
「うーん、もう敵はいないから問題ないなのー」
「はぁ、あ! 冬風隊員、神野隊員、朝川隊員。お疲れ様です」
「奏音さんまで、一体どういう事情で来られたのですか?」
続々と出てくる人たちに三人は動揺していた。しかも怜と葵に関しては何が怒っているのかさっぱりだった。すると時雨が三人の様子に気づき、話し出した。
「まさか、みんなオブリドに記憶をいじられちゃったのー? 翔子ちゃんの様子も見えないの」
「いえ、私の記憶は全て戻りました。しかし、旭ちゃんと先輩がどうか」
「あぁ私なら安心しろ! 平気だ。でも、この様子じゃ怜が一番ひどいな」
「ど、どういうことだ?」
「さて、詳しい話は船の中でするなのー。あれ? 翔子ちゃんこんなところにいたのー」
時雨は屋上の隅にあった。黒い鳥の羽を一枚拾った。そして霊力を与えると黒い羽は光り輝き、翔子の姿となった。翔子は目をつぶって寝ていた。
「みなさん翔子ちゃんとあそこにいる男の子も運んでくださいなのー」
他の隊員達は翔子とレオを担架に乗せ運び出した。不思議そうな顔をしながら奏音が怜に近づいた。
「本当に僕のこと覚えてないんですか?」
「すまない。君みたいな女の子は覚えてないや」
「え、僕、男ですけど。えーん、また冬風隊員に間違われたー」
奏音は大粒の涙を流して怜の前で泣くのであった。
怜は着地するとオブリドの様子を見た。オブリドは地面に落ちると大量の血を流し、動かなかった。
「こ、これで終わりか……嫌、あいつは何度も生き返ってきた。近くにいてトドメをさすべきか?」
「待って怜! この気配」
「あぁ俺も気づいてる。誰だそこにいるのは!」
怜は開いていた屋上のドアに向かって問いかけた。するとドアから小柄な少女が出てきた。少女はピンク髪にツインテールで、ピンク色の瞳をきらつかせていた。そして服装は白を基調としており、蛍光色の水色に加え、黒色もあり、未来系の軍服だった。しかし、軍服とは言ってもそこまで渋い感じではなく、逆に目立つような色使いだった。胸は旭ほどではないが、Cくらいあった。少女は愛らしくニコッと笑いながら怜に近づいた。
「いやー、さすが冬風隊員なの~。やっぱり私、惚れちゃいそうなの~」
(い、一体こいつは誰なんだ!? た、隊員? 俺の記憶には心当たりがないぞ)
記憶が曖昧な怜に対し、少女は容赦無く話し始めた。
「でもー、冬風隊員にしては時間がかかり過ぎなの~。時雨心配で迎えに来ちゃったなのー」
「む、迎え?」
「へ?」
「は?」
飲み込めない状況に二人は沈黙した。その時、オブリドが目を覚まし、牙をむいて時雨に襲いかかってきた。
「危ない!」
怜は刀を振ろうとしたが、オブリドまでは届く距離ではなかった。一方時雨は右手に傘を生成した。傘は黒を基調としており、傘の線は蛍光色の水色になっていた。時雨は傘を閉じたまま、オブリドの腹部を狙って先端を突き出した。オブリドは突き飛ばされると地面に倒れた。
その隙に時雨は傘をさし、左手をオブリドに向けた。するとオブリドの上空にだけ、突然と雨が降り始めた。
「これでおしまいなのー『翠雨』」
オブリドが立ち上がると降っていた雨が静止し、雫の形になった。そして一瞬にして何万粒の雫がオブリドの周りで、爆破した。その威力は凄まじく、オブリドの皮膚が飛び散った。オブリドは白目を剥いて倒れると煤となって雨にうたれながら消えていった。煤となって消えると雨も止み終えた。
時雨は傘を消すと眉間にしわを寄せて怜近づいた。
「本当に冬風隊員なのー? 時雨を揶揄うのはやめるの。時雨怒ったら怖いなの」
(は!? そんなこと言われても困るんだけど! でも、オブリドをやってくれたから、多分味方でいいんだよな? てか、早く誰か来てくれ)
すると怜の武器化を解除し葵が姿を現した。
「おぉ葵なの~、久しぶりなの」
葵の表情は固まり、怜と同じこいつ誰状態に陥った。そのまま葵は怜の後ろに隠れた。その様子を見た時雨は怜から距離を取り、涙を零した。
「えーん。二人に嫌われたなのー」
(ヤバイヤバイ。泣き出しちゃったよ。誰かこの状況を打開させてくれー!)
その時、屋上のドアから柚奈が飛び出してきた。丁度、旭も目覚め起き上がった。
「あ! おーい柚奈。この状況を……」
「あ! し、時雨さん。どうしてここにいるのですか?」
「えぇ!? 時雨さん。私たちを救ってくれたんですか」
「柚ちゃんに旭ちゃんなのー。二人ともボロボロだったから、『恵みの雨』やっといたのー」
状況が飲み込めない怜はただただ会話に置き去りにされた。すると階段から何人かの足音が響いてきた。そして屋上のドアから褐色の肌に真っ白なロン毛の少女が出てきた。少女は時雨と同じ服を着用しており、灰色の瞳で怜を見た。胸に膨らみはなかった。そして少女の後ろからゾロゾロと同じ服を着た人たちがライフルを構えて出てきた。
少女はヘトヘトな顔をして時雨に近づいた。
「時雨さん速いすぎですよー。いくらみんなが心配だからって一人で行くのは危険過ぎですよ」
「うーん、もう敵はいないから問題ないなのー」
「はぁ、あ! 冬風隊員、神野隊員、朝川隊員。お疲れ様です」
「奏音さんまで、一体どういう事情で来られたのですか?」
続々と出てくる人たちに三人は動揺していた。しかも怜と葵に関しては何が怒っているのかさっぱりだった。すると時雨が三人の様子に気づき、話し出した。
「まさか、みんなオブリドに記憶をいじられちゃったのー? 翔子ちゃんの様子も見えないの」
「いえ、私の記憶は全て戻りました。しかし、旭ちゃんと先輩がどうか」
「あぁ私なら安心しろ! 平気だ。でも、この様子じゃ怜が一番ひどいな」
「ど、どういうことだ?」
「さて、詳しい話は船の中でするなのー。あれ? 翔子ちゃんこんなところにいたのー」
時雨は屋上の隅にあった。黒い鳥の羽を一枚拾った。そして霊力を与えると黒い羽は光り輝き、翔子の姿となった。翔子は目をつぶって寝ていた。
「みなさん翔子ちゃんとあそこにいる男の子も運んでくださいなのー」
他の隊員達は翔子とレオを担架に乗せ運び出した。不思議そうな顔をしながら奏音が怜に近づいた。
「本当に僕のこと覚えてないんですか?」
「すまない。君みたいな女の子は覚えてないや」
「え、僕、男ですけど。えーん、また冬風隊員に間違われたー」
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