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葵ちゃんと柚奈の限界
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オブリドは別れの言葉を怜に告げると振りかぶった刀を怜の首を狙って振り下げた。その瞬間、廊下全体が潮の匂いで、いっぱいになった。オブリドの刀は怜の首を斬り落とすことができなかった。
そう、オブリドの刀は青緑色に輝く、海水を纏った刀に阻まれた。その正体はボロボロの傷を負った柚奈だった。柚奈は歯を食いしばり、オブリドの刀を抑えていた。
「せ、先輩。おはようございます。ゔぅ、がはっ……どうして頭を抱えているかはわかりませんが、今は、早く立ち上がって戦ってください」
柚奈はオブリドの刀を跳ね返し、『水斬り』でオブリドを下がらせた。しかし、柚奈は腹部に刺さっていた『狐の牙』を無理矢理抜いたため、まだ流血が止まっていなかった。
怜は柚奈の声が聞こえ、少し正気に戻ることができた。涙を流したぼやけた瞳で前を見ると柚奈が『地球を背負う大魚形態』でオブリドと刀を交えていた。すると豊姫の声が聞こえてきた。
「柚ちゃん! 戦い方を変えよう。このままじゃ柚ちゃん五分と持たないよ」
「いいんです。五分持って先輩が! ゔぅ、立ち上がれば!」
柚奈と豊姫の言葉を聞いた怜は涙を拭き、立ち上がろうとした。しかし、立ち上がろうとする怜を見たオブリドはまた、左手から霊力を出し、怜に記憶を戻した。
また、怜は記憶を戻すと叫び出した。
「うわぁぁぁ! やめろやめろ! なんだよ、敵、日本、政治、命令! ふざけんなよ」
「怜、怜! 柚奈ちゃんが、柚奈ちゃんが!」
葵が叫ぶと柚奈はふらつきながら刀を握っており、息も荒かった。その隙を狙ってオブリドが刀で柚奈の首を狙った。
その瞬間、天井から巨大な蔓がオブリドと柚奈の間に割って入ってきた。オブリドの刀は柚奈まで届かず、下がった。
柚奈はふらつきながら『地球を背負う大魚形態』を解除し、頭を抱える怜の元に近づいた。
「あぁ、ゔぅ。頭が頭が!」
「せ、せん……ぱい」
柚奈は怜の前に来るとしゃがみ、怜の頬を優しく両手で包んだ。そして優しくキスをし、柚奈は怜の横に倒れた。武器化は解け、血はまだ治ってなかった。
キスによって柚奈からわずかな霊力を贈られた怜は落ち着きを取り戻した。そして立ち上がり、拳を構えた。
「お、お前だけは許さない!」
怜は走り出し、マスケット銃を生成した。蔓の上からは旭が天井を突き破り、廊下に降りた。そして右足に蔓を纏わせ、蹴りでオブリドに攻撃を仕掛けた。
「見つけたぞ! よくもよくも師匠を!」
(旭ちゃん!? もう目覚めたのか。ここは一緒に連携してこいつを倒す)
旭の蹴りでオブリドの刀を抑えた。その隙を見た怜がマスケット銃の引き金を引いた。銃弾はまっすぐ飛びオブリドの頭に命中しそうだ。しかし、簡単にやらせてくれないオブリドは左手にもう一つの刀を生成した。その刀で怜の銃弾を跳ね返した。もう一つの刀は持ち手や籠手は真っ赤な赤色で刃は銀色に輝いていた。
オブリドはもう一つの赤い刀を振ると大量の炎が舞い上がった。そして旭の蔓や建物を飲み込んだ。
「旭ちゃん危ない! ここは一旦引こう」
「!?」
怜に気づいた旭は天井を突き破った蔓の後ろに下がった。オブリドの炎は旭の巨大な蔓でさえも容易く燃やしてしまった。
「で、怜。作戦とかはあるのか?」
「すまないがない。とりあえず柚奈ちゃんを安全なところに頼む。俺はあいつを殺しに行く。旭ちゃんんは柚奈ちゃんを安全なところに運んだら戻ってきてくれ」
「お、おい!」
怜はそう話すとマスケット銃を持ってオブリドの方へ走っていった。
旭は柚奈を背負い階段を降りた。階段を降りていくと静止している生徒がいた。よく見るとその生徒は木像になったり人間の姿になったりとしていた。驚いた旭だが、急いで柚奈を外に運んだ。
外に出ると安全そうな木陰に隠し、朝顔の蔓で柚奈を包んだ。
対する怜はマスケット銃を連射し、オブリドと戦っていた。しかし、怜の攻撃は全くきかず、刀で全て跳ね返されていた。
(ちっ、なんとかあいつの弱点を探ろうと思ったが、無理そうだ。柚奈ちゃんからもらったこの霊力、俺は絶対に無駄にはしない)
「ねぇ、私だるくなってきたからそろそろ殺すね……『斬撃稲荷刀』
激しい刀さばきで怜に襲ってきた。怜は何もすることができず、マスケット銃を盾にし、後ろに下がった。そして一か八か怜は決心し試した。
「葵ちゃん。あれをやってもいいよね。葵ちゃんに負担をかけると思うけど」
「うん、葵頑張るから」
「ありがとう……『一体化』」
すると怜の体が光り輝き、周りを巻き込んで、真っ白な光に包まれた。
そう、オブリドの刀は青緑色に輝く、海水を纏った刀に阻まれた。その正体はボロボロの傷を負った柚奈だった。柚奈は歯を食いしばり、オブリドの刀を抑えていた。
「せ、先輩。おはようございます。ゔぅ、がはっ……どうして頭を抱えているかはわかりませんが、今は、早く立ち上がって戦ってください」
柚奈はオブリドの刀を跳ね返し、『水斬り』でオブリドを下がらせた。しかし、柚奈は腹部に刺さっていた『狐の牙』を無理矢理抜いたため、まだ流血が止まっていなかった。
怜は柚奈の声が聞こえ、少し正気に戻ることができた。涙を流したぼやけた瞳で前を見ると柚奈が『地球を背負う大魚形態』でオブリドと刀を交えていた。すると豊姫の声が聞こえてきた。
「柚ちゃん! 戦い方を変えよう。このままじゃ柚ちゃん五分と持たないよ」
「いいんです。五分持って先輩が! ゔぅ、立ち上がれば!」
柚奈と豊姫の言葉を聞いた怜は涙を拭き、立ち上がろうとした。しかし、立ち上がろうとする怜を見たオブリドはまた、左手から霊力を出し、怜に記憶を戻した。
また、怜は記憶を戻すと叫び出した。
「うわぁぁぁ! やめろやめろ! なんだよ、敵、日本、政治、命令! ふざけんなよ」
「怜、怜! 柚奈ちゃんが、柚奈ちゃんが!」
葵が叫ぶと柚奈はふらつきながら刀を握っており、息も荒かった。その隙を狙ってオブリドが刀で柚奈の首を狙った。
その瞬間、天井から巨大な蔓がオブリドと柚奈の間に割って入ってきた。オブリドの刀は柚奈まで届かず、下がった。
柚奈はふらつきながら『地球を背負う大魚形態』を解除し、頭を抱える怜の元に近づいた。
「あぁ、ゔぅ。頭が頭が!」
「せ、せん……ぱい」
柚奈は怜の前に来るとしゃがみ、怜の頬を優しく両手で包んだ。そして優しくキスをし、柚奈は怜の横に倒れた。武器化は解け、血はまだ治ってなかった。
キスによって柚奈からわずかな霊力を贈られた怜は落ち着きを取り戻した。そして立ち上がり、拳を構えた。
「お、お前だけは許さない!」
怜は走り出し、マスケット銃を生成した。蔓の上からは旭が天井を突き破り、廊下に降りた。そして右足に蔓を纏わせ、蹴りでオブリドに攻撃を仕掛けた。
「見つけたぞ! よくもよくも師匠を!」
(旭ちゃん!? もう目覚めたのか。ここは一緒に連携してこいつを倒す)
旭の蹴りでオブリドの刀を抑えた。その隙を見た怜がマスケット銃の引き金を引いた。銃弾はまっすぐ飛びオブリドの頭に命中しそうだ。しかし、簡単にやらせてくれないオブリドは左手にもう一つの刀を生成した。その刀で怜の銃弾を跳ね返した。もう一つの刀は持ち手や籠手は真っ赤な赤色で刃は銀色に輝いていた。
オブリドはもう一つの赤い刀を振ると大量の炎が舞い上がった。そして旭の蔓や建物を飲み込んだ。
「旭ちゃん危ない! ここは一旦引こう」
「!?」
怜に気づいた旭は天井を突き破った蔓の後ろに下がった。オブリドの炎は旭の巨大な蔓でさえも容易く燃やしてしまった。
「で、怜。作戦とかはあるのか?」
「すまないがない。とりあえず柚奈ちゃんを安全なところに頼む。俺はあいつを殺しに行く。旭ちゃんんは柚奈ちゃんを安全なところに運んだら戻ってきてくれ」
「お、おい!」
怜はそう話すとマスケット銃を持ってオブリドの方へ走っていった。
旭は柚奈を背負い階段を降りた。階段を降りていくと静止している生徒がいた。よく見るとその生徒は木像になったり人間の姿になったりとしていた。驚いた旭だが、急いで柚奈を外に運んだ。
外に出ると安全そうな木陰に隠し、朝顔の蔓で柚奈を包んだ。
対する怜はマスケット銃を連射し、オブリドと戦っていた。しかし、怜の攻撃は全くきかず、刀で全て跳ね返されていた。
(ちっ、なんとかあいつの弱点を探ろうと思ったが、無理そうだ。柚奈ちゃんからもらったこの霊力、俺は絶対に無駄にはしない)
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激しい刀さばきで怜に襲ってきた。怜は何もすることができず、マスケット銃を盾にし、後ろに下がった。そして一か八か怜は決心し試した。
「葵ちゃん。あれをやってもいいよね。葵ちゃんに負担をかけると思うけど」
「うん、葵頑張るから」
「ありがとう……『一体化』」
すると怜の体が光り輝き、周りを巻き込んで、真っ白な光に包まれた。
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