守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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 その空気感はまるで、大きな手術のようであり、朝方四時の病室は静寂だった。豊姫と朝顔は人魂状態になり、休んでいた。
 数分後、翔子が息を吐き、額の汗を拭うと二人に声をかけた。

「ふ~、成功じゃ」
「よ、よかったです」
「あ~、緊張した」

 二人は腰が抜け、床に尻餅をついて安心した。その様子を見た翔子はプフッと笑い二人を見て話した。

「じゃが、安心するのはまだ早い、これからは怜自身の戦いじゃ。葵は怜の元に返すことはできたが、こんなことは初めてじゃから、もしかしたらこのまま寝たきりの可能性がある」
「そ、そんな……」
「でも、まだ可能性はあります。先輩を信じます」

 柚奈は立ち上がり、怜が目覚めることを信じた。翔子は頷くとまた床に黒い影を出現させた。疑問に思った柚奈が尋ねた。

「師匠、これからどちらに行くのでしょうか?」
「ここはもう危険じゃ。あいつが簡単に葵を諦めるはずがない。ここはわしの結界が貼ってある、家に行くのじゃ」
「分かりました。先輩はどうやって運びますか?」
「二人で運ぶのじゃ」

 そう話すと翔子は一足先に影の中に飛び込んでしまった。柚奈と旭は顔を合わせると、二人とも怜の片腕を持った。

「旭ちゃんは大丈夫ですよ。結構疲れているように見えますが?」
「いやいや柚奈だって、代償負うくらい疲れてるでしょ? ここは体力が残っている私が怜を担ぐから大丈夫だよ」
「いえいえ」
「いやいや」

 二人は怜の腕を引っ張り、どちらとも譲らなかった。
 数分後、痺れを切らした翔子が戻ってきた。

「お主ら何をしておるのじゃ! 速く怜を運ぶのじゃ!」
「は、はい」
「はい」

 二人は翔子の怒鳴りで、片腕ずつ持ち、一緒に影の中に入っていった。
 翔子の部屋に着くと、二人は慎重に怜をベットまで運んだ。怜をベットに寝かせ、リビングに戻ると窓から太陽の日差しが部屋を照らした。

「もう朝ですね。みなさん何か食べますか?」
「あぁ柚奈~。私、寿司、ラーメン、カレー、オムライスが食べたいー」
「炭水化物の暴力ですね。そんなたくさん無理ですし、材料もほとんどないので、ホットサンドくらいしか無理ですよ?」
「えぇ~じゃそれで」
「わしもホットサンドで良いぞ」
「分かりました」

 柚奈は手を洗い、早速朝食作りに取り掛かった。旭はソファに寄りかかり、翔子に話しかけた。

「てか、師匠。あんなところで数ヶ月よく耐え抜きましたね」
「そうじゃの、なるべく奴に見つからんように、霊力を抑えたのと、保存食を大切に食べたのじゃ。じゃが、奴の力は半端なかったのじゃ。始めに奴から逃れるのに数カ所、重い怪我を負ったのじゃからな」
「マジかよ、私だったら保存食一日でおしまいだ。てか怪我って大丈夫だったの?」
「まぁ数ヶ月、治療しながら逃げたからの。今はもう完全回復じゃ」

 二人が会話をしているとホットサンドが出来上がり、柚奈がテーブルに運んだ。

「お二人とも、できました。すみません、私は少し部屋で休んできますね」
「はいよー、いただきまーす」

 柚奈は部屋に着くとベットに入り、思い出した記憶の整理をした。

(結構な頭痛ですが、かなりの量の記憶を思い出しました。所々途切れていたり、もやもやして何か分かりませんが、先輩がいる? あれ? 私疲れているようですね)

 柚奈は霊力と体力の消費から疲れがたまり、記憶について考えていたが、そのまま目を瞑り、夢の中へと入っていった。
 リビングにいる二人はホットサンドを食べ終えると旭はソファで、横になり寝てしまった。翔子はそんな旭を見ると押入れから膝掛けを出し、旭にかけてあげた。
 翔子は椅子に座ると月影を呼んだ。

「なんでしょうか翔子様」
「あぁ、この街に侵入した時に渡したあれがあるじゃろ?」
「はい、『神の聖水』のことでしょうか?」
「そうじゃ、実は奴から記憶を取り戻した時に思い出したのじゃが、今があれの使いどきじゃなと思ってな」
「そうですね。あれは完璧な結界によって学校の私のロッカーの中に保管しております」
「では、今日取りに行くかの」
「承知しました」

 すると月影は翔子の影の中に戻っていった。翔子は月影が戻ると、椅子から離れ、坐禅を組んだ。
 数時間後、時刻は十時を回ると翔子は旭と柚奈を起こした。柚奈と旭は目を擦りながら翔子に尋ねた。

「どうしてこんな時間帯に起こしたのですか?」
「私、二度寝したい」
「お主ら、怜を目覚めさせる可能性をあげるには学校に保管している『神の聖水』が必要なのじゃ。外に出るとまた奴らに遭遇する可能性がある、そこで誰かに怜に肩を貸してはくれぬか」
「分かりました。では、私が行きましょう」
「いやいや、私が行くよ柚奈」

 また、二人の小競り合いが始まろうとしていたが、翔子が仲介に入って話した。

「お主ら、二人とも来るのじゃよ。速く準備するのじゃ」

 すると二人は一瞬で準備を終わらせ、二人で怜に肩を貸した。

「では、行くぞ」

 翔子が出した影で四人は学校へと移動した。
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