守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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 旭は後ろにいる柚奈の状況に気づいていた。しかし、柚奈を助けてあげる手段はないし、混合生命体を倒す手立ては考えついてなかった。牙を剥いて襲いかかってくる混合生命体に旭は朝顔を弓矢に武器化させ、攻撃を避けながら放っていた。

(矢は当たるが、決定打に欠けるな。後ろから聞こえてきたが、柚奈はもう代償のせいで思うように戦えない。ここは私があいつを瞬殺しなければ)
「旭ちゃん! 前!」

 大声で叫ぶ朝顔とともに混合生命体の蛇が旭目掛け、襲ってきた。柚奈を気遣おうと考えていた旭は咄嗟に反応し、なんとか避けた。しかし、蛇は3体で休むことなく、牙を剥いて攻撃を仕掛けてきた。

「ちっ! これじゃ休む暇もない。こうなったら一気に仕留めにかかるぞ」
「旭ちゃん、その気持ちは分かりますが、これ以上は限界です」
「うるさい! 完璧じゃなくていい、中途半端でいい! だから少しでも私に力をくれ! 武器変換『朝顔の妖精のブーツ妖精のブーツ』」

 武器変換を旭が叫ぶと朝顔は力を振り絞り、弓矢から緑と黒を基調としたブーツに変わった。リヴァイアサン戦の時のものと一緒だ。旭はブーツの底から大量の蔓をだし、混合生命体を翻弄するように飛び回った。
 混合生命体は牙を剥き、翼を羽ばたかせ、旭を狙うが中々攻撃を与えることができなかった。
 旭は混合生命体の周りを観察し、弱点を見つけようとするが、中々攻撃を避けるだけで、精一杯だった。
 その時、限界を迎えた柚奈が倒れた。
 旭は顔を真っ青にし、柚奈のところに高速で移動した。柚奈を抱きかかえると武器化を解除された豊姫が最後の力を振り絞って話した。

「ごめんなさいね旭ちゃん。少し柚ちゃんを休憩させてあげて。この子、人の為なら自分の身を顧みず、危ないことをしちゃう子だからさ、あとは頼んだよ……」

 豊姫は話し終えると、人魂になり、柚奈の隣にプカプカ浮いた。それを聞いた旭は拳を強く握り、立ち上がった。

「分かったよ。柚奈、豊姫。私はあいつを……殺す」

 牙を剥いて向かってくる混合生命体に向かって殺気に満ちた表情で言葉を放つとブーツから大量の蔓を出し、体育館の釣り下がっている電気の上に立った。
 混合生命体は旭を目で追い、睨んでいた。すると睨む混合生命体を見た旭はおでこにある何かが光った。

(あれはなんだ? でかい水晶玉? まぁいい、一か八かだ。あれを狙おう)

 旭は釣り下がった電気から混合生命体目掛け、落下した。右足を上げ、踵落としの体勢で技を放った。

「喰らえ化け物! 『切札・樹林の一撃魂の一撃』」

 旭の切札は混合生命体におでこにある透明な球体に直撃した。幅が1メートルくらいだろうか、旭の『切札・樹林の一撃』が決まると球体はヒビ割れ、中から透明な液体が溢れ出てきた。旭は飛び、柚奈の元へ行くと、混合生命体は大量の血を吐き、倒れた。
 すると混合生命体のおでこにあった球体の中から何かが出てきた。

「はぁはぁ。朝顔、武器化解除だ」
「あれはなんでしょうか」

 旭は恐る恐る混合生命体に近づこうとしたその時、混合生命体は煤になり、消えていった。しかし、まだ球体から出てきたものは消えなかった。旭は近づき、覗き込むように確認した。

「こ、これはどうゆうことだ!?」
「は!?」

 旭と朝顔はそれを見た瞬間、顔を青ざめ、口を手で覆った。球体から出てきた正体は少女だった。少女は黒髪で髪の長さはミディアムで目を閉じていた。そう、この少女は前に指揮棒を持って怜達に襲ってきた時の少女だった。少女は前と一緒で紫色を基調としたドレスを着用していた。しかし、少女は足はなく幽霊の状態だった。
 旭は少女を抱きかかかえ、声を掛けた。

「おい! おい! 聞こえるか」
「旭ちゃん、まだ生きはありますが、いきなり大きな声はやめたほうがいいと思うけど」

 旭の声で寝ていた柚奈が目覚めた。柚奈はゆっくり起き上がり、目の前の状況を把握した。

(私、代償に耐えきれず、倒れてしまったようですね。混合生命体は旭ちゃんが倒してくれたようです。あれ? 旭ちゃん、あんなところで何を?)

 柚奈は傷ついた体を無理やり起こし、立ち上がった。そして左足を引きずりながら旭に近づいた。そして旭が抱きかかえている少女を見ると、柚奈は驚きとともに涙がこぼれ落ちた。

「あ、旭ちゃん。そ、その子は……」
「あぁ、化け物の球体から出てきた女の子だ。まだ生きはあるが、この霊は弱りきってる。多分、もうすぐ消えてしまう」
「そ、そんな」

 柚奈は顔を抑え、溢れる涙を拭いた。その様子に旭は気になり、柚奈に問いかけた。

「なぁ柚奈、もしかしてこの女の子に見覚えがあるのか?」
「はい、前に3人で廃校にきた時にいきなり私たちに襲いかかってきた女の子です。もしかしたら、あいつから逃げていたのかもしれません。なのに、私は……」
「そ、そうなのか」

 罪悪感が自分を苦しめ柚奈の涙は止まらなかった。旭は崩れなく柚奈に対し、頭を撫で優しい言葉を掛けた。

「残園ながら柚奈。やってしまったこと、過ぎてしまったことは取り戻せないし、直せない。だから今から柚奈がやることはきっと、この女の子のような子を増やさないようにすることじゃないかな。私も上手く、こういう時どうすればいいか、分からないけど、ここで立ち止まってたら、この女の子の為にもならないよ」
「ありがとうございます。まさか旭ちゃんに慰めてもらえるとは……」

 柚奈は涙を拭き、優しく笑って見せた。その表情を見た旭は安堵した。
 すると少女は目を開けた。
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