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魂が混じり合う命
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オブリドはステージの前に立ち、バイオリンの演奏をやめ、話し始めた。
「どうもこんばんわ。貴方達がここまで来たってことは、あの二人はもう息の根を止められちゃったのかな。はぁ……使えない奴らだな。今日はとても忙しいのに」
何も知らない旭が拳を強く握り、オブリドに向かって話した。
「おい! お前、さっさと葵を返しやがれ! 何を企んでいるかは知らないが、お前がボスか!?」
「ほう、私の存在はその子に聞いてなかったのかな? 命知らずだな~。そんな君に良いものを見せてあげよう」
そう話すとオブリドは右手を開き体育館の真ん中目掛け、霊力を送った。紫色のオーラがオブリドの右手から体育館の床に伝わると禍々しい巨大な魔法陣が現れた。
柚奈と旭は構え、戦闘態勢に入った。
すると禍々しい魔法陣の中から黒い煙を出しながら何かが出てきた。肉食の獣のような叫びをあげながら、床を叩き、響かせた。
二人はその光景に驚きが隠せず、目を見開き、唖然としてみていた。
(オブリド……初めて会った時からその禍々しい存在に只者ではないと思っていましたが、一体あの少女は何を作り出してしまったのでしょう)
「柚ちゃん、油断しないでね。あれに関しては私、頭にきてるから」
「はい、こんなに感情的になる豊ちゃん久しぶりですね」
柚奈は刀を構えながらその煙の中から何が出てくるのかを息を飲んで待った。対して旭と朝顔は冷や汗を垂らし、黙り込んで待っていた。
禍々しい黒い煙が消えるとそいつは姿を現した。顔から上半身はライオンで、下半身は鳥の爪のようなもので、茶色の大きな翼が生えていた。尻尾は3尾あるが、全て蛇で緑色の体をクネクネ動かし、赤い血のような目で二人を睨んでいた。体は大きく、車2台分くらいあった。
二人はその姿を確認するとこの世の生き物では無いと一瞬で察知し、一歩後ろに下がった。
「おいおい柚奈、なんだあの化け物は……見たことが無いぞ」
「私だって初めて見ました。豊ちゃん、あれから何を感じますか?」
「あれは守護霊にとは真逆の存在、いくつかの命が強制的に混じり合い、奇跡的に存在している。見た目以上に攻撃力はあるはず、柚ちゃん、あれは手強いぞ」
豊姫の言葉を聞いた二人は霊力を集中させ、気合を入れた。
その二人の姿をオブリドが見ると子供のように明るく笑いながらステージに上がった。
オブリドの笑う姿を見た旭は、苛立ち食ってかかった。
「おいお前! 何がそんなに面白い、こんな化け物作り出して」
「そうだね~君たちのその戦おうとしている姿かな。ちなみにこの子は化け物って言う名前じゃ無いよ。『混合生命体』って言う可愛い名前があるんだよ。しかも猛獣の魂をいくつも組み合わせてるから戦闘力は守護霊使い5人くらいには相当するよ」
(守護霊使い5人!? ですか。私も旭ちゃんも色々と限界は来ていますが、必ず弱点fがあるはず、いくつかの魂を組み合わせているならその均等を保つのに何かが必要なはず)
柚奈は目を凝らし、混合生命体の体を集中して探った。するとライオンのおでこに何かが埋め込まれていた。柚奈はこっそり豊姫に聞くが、豊姫は黙っていた。
オブリドは自分の後ろに魔法陣を出し、話した。
「それじゃ私はこれで失礼。やることがあるんでね。君たちが混合生命体の餌になることを祈ってるよ」
そう話すと魔法陣に入り、姿を消した。
混合生命体は二人を睨むと体育館が揺れるくらい大きな雄叫びをあげ、爪を立てた。
柚奈は黙っている豊姫に疑問を抱いていたが、目の前の敵に集中し、距離をとった。
旭も体育館の床に霊力を送ろうとした。しかし、旭は異変を察知した。
「できない! 朝顔、私の霊力が床に流れていかない!?」
「きっと奴の仕業ですね。ここは奴の世界、建物自体結界や霊力で私たちの邪魔をしているのでしょう。まるでここは鳥かごみたいですね」
「クソ! なら違う方法で戦うしか無いな。『花言葉 冷静・平常』」
旭は花言葉を使い、敵の動きを読みながら、戦闘パターンを観察した。
柚奈は刀を構え、距離をとって技を繰り出した。
「敵は遠距離攻撃を持っているとは考え深いです。距離をとって攻撃します『水切り』」
技を出した瞬間、柚奈に異変が襲いかかった。『水切り』を出した直後、血を吐いて座り込んだ。
黙っていた豊姫も予想外で、心配した。
「柚ちゃん、どうしたの!? 一体」
「がはっ! はぁはぁ……」
(守護神の代償だ……なんで気付けてあげれなかったんだ。なぜ少年の時には大丈夫だったんだ? 分からない、でも、柚ちゃんがピンチだ」
柚奈は力強く刀を握りしめ、立ち上がった。
「だ、大丈夫です。豊ちゃん……まだ私は、戦えます」
「ダメだ柚ちゃん! 今すぐ武器かを解いて」
「豊ちゃん、私には守りたいものがあるんです! こんなところで引き下がれません」
柚奈は豊姫の言葉を聞かず、そのまま『水切り』を連射し、混合生命体に向かって走り出した。
「どうもこんばんわ。貴方達がここまで来たってことは、あの二人はもう息の根を止められちゃったのかな。はぁ……使えない奴らだな。今日はとても忙しいのに」
何も知らない旭が拳を強く握り、オブリドに向かって話した。
「おい! お前、さっさと葵を返しやがれ! 何を企んでいるかは知らないが、お前がボスか!?」
「ほう、私の存在はその子に聞いてなかったのかな? 命知らずだな~。そんな君に良いものを見せてあげよう」
そう話すとオブリドは右手を開き体育館の真ん中目掛け、霊力を送った。紫色のオーラがオブリドの右手から体育館の床に伝わると禍々しい巨大な魔法陣が現れた。
柚奈と旭は構え、戦闘態勢に入った。
すると禍々しい魔法陣の中から黒い煙を出しながら何かが出てきた。肉食の獣のような叫びをあげながら、床を叩き、響かせた。
二人はその光景に驚きが隠せず、目を見開き、唖然としてみていた。
(オブリド……初めて会った時からその禍々しい存在に只者ではないと思っていましたが、一体あの少女は何を作り出してしまったのでしょう)
「柚ちゃん、油断しないでね。あれに関しては私、頭にきてるから」
「はい、こんなに感情的になる豊ちゃん久しぶりですね」
柚奈は刀を構えながらその煙の中から何が出てくるのかを息を飲んで待った。対して旭と朝顔は冷や汗を垂らし、黙り込んで待っていた。
禍々しい黒い煙が消えるとそいつは姿を現した。顔から上半身はライオンで、下半身は鳥の爪のようなもので、茶色の大きな翼が生えていた。尻尾は3尾あるが、全て蛇で緑色の体をクネクネ動かし、赤い血のような目で二人を睨んでいた。体は大きく、車2台分くらいあった。
二人はその姿を確認するとこの世の生き物では無いと一瞬で察知し、一歩後ろに下がった。
「おいおい柚奈、なんだあの化け物は……見たことが無いぞ」
「私だって初めて見ました。豊ちゃん、あれから何を感じますか?」
「あれは守護霊にとは真逆の存在、いくつかの命が強制的に混じり合い、奇跡的に存在している。見た目以上に攻撃力はあるはず、柚ちゃん、あれは手強いぞ」
豊姫の言葉を聞いた二人は霊力を集中させ、気合を入れた。
その二人の姿をオブリドが見ると子供のように明るく笑いながらステージに上がった。
オブリドの笑う姿を見た旭は、苛立ち食ってかかった。
「おいお前! 何がそんなに面白い、こんな化け物作り出して」
「そうだね~君たちのその戦おうとしている姿かな。ちなみにこの子は化け物って言う名前じゃ無いよ。『混合生命体』って言う可愛い名前があるんだよ。しかも猛獣の魂をいくつも組み合わせてるから戦闘力は守護霊使い5人くらいには相当するよ」
(守護霊使い5人!? ですか。私も旭ちゃんも色々と限界は来ていますが、必ず弱点fがあるはず、いくつかの魂を組み合わせているならその均等を保つのに何かが必要なはず)
柚奈は目を凝らし、混合生命体の体を集中して探った。するとライオンのおでこに何かが埋め込まれていた。柚奈はこっそり豊姫に聞くが、豊姫は黙っていた。
オブリドは自分の後ろに魔法陣を出し、話した。
「それじゃ私はこれで失礼。やることがあるんでね。君たちが混合生命体の餌になることを祈ってるよ」
そう話すと魔法陣に入り、姿を消した。
混合生命体は二人を睨むと体育館が揺れるくらい大きな雄叫びをあげ、爪を立てた。
柚奈は黙っている豊姫に疑問を抱いていたが、目の前の敵に集中し、距離をとった。
旭も体育館の床に霊力を送ろうとした。しかし、旭は異変を察知した。
「できない! 朝顔、私の霊力が床に流れていかない!?」
「きっと奴の仕業ですね。ここは奴の世界、建物自体結界や霊力で私たちの邪魔をしているのでしょう。まるでここは鳥かごみたいですね」
「クソ! なら違う方法で戦うしか無いな。『花言葉 冷静・平常』」
旭は花言葉を使い、敵の動きを読みながら、戦闘パターンを観察した。
柚奈は刀を構え、距離をとって技を繰り出した。
「敵は遠距離攻撃を持っているとは考え深いです。距離をとって攻撃します『水切り』」
技を出した瞬間、柚奈に異変が襲いかかった。『水切り』を出した直後、血を吐いて座り込んだ。
黙っていた豊姫も予想外で、心配した。
「柚ちゃん、どうしたの!? 一体」
「がはっ! はぁはぁ……」
(守護神の代償だ……なんで気付けてあげれなかったんだ。なぜ少年の時には大丈夫だったんだ? 分からない、でも、柚ちゃんがピンチだ」
柚奈は力強く刀を握りしめ、立ち上がった。
「だ、大丈夫です。豊ちゃん……まだ私は、戦えます」
「ダメだ柚ちゃん! 今すぐ武器かを解いて」
「豊ちゃん、私には守りたいものがあるんです! こんなところで引き下がれません」
柚奈は豊姫の言葉を聞かず、そのまま『水切り』を連射し、混合生命体に向かって走り出した。
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