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神海豊玉姫命
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柚奈はそのまま走り出し、怒りを抑えながら、結衣に接近した。接近してくる柚奈に焦る結衣だったが、なんとか蔓を操り、柚奈に攻撃を仕掛けた。蔓は巨大な蛇のように動き、柚奈に襲いかかった。
「柚ちゃん! 来たよ、避けて」
「いいえ、こんな物、私なら斬り通します」
柚奈は襲いかってくる蔓に対し、刀から色鮮やかなコバルトブルーな海水を溢れ出し、斬っていった。蔓は柚奈に斬られると、地面に落ちて煤となっていった。減っていく蔓に結衣はさらに焦った。そして苦し紛れに結衣は刀を生成した。刀は柚奈の『絶海の刀』だった。結衣は蔓を操るのを諦め、海水を溢れ出しながら刀を構えた。構えるその瞳は余裕がなく、何かに怯えていた。
「まだまだまだだ! 私は! ここで死ぬわけにはいかないんだ」
「私もここで! 諦めきれないんですよ!」
柚奈と結依は刀で激しい攻防が繰り広げた。結衣の刀は柚奈の刀よりも格下のはずだが、黒い海水を纏い、互角に戦っていた。柚奈もその威力に驚いていたが、全力で柚奈もぶつかった。激しい攻防はお互いの霊力と体力を削りあった。このまま続けば、柚奈の勝利は確実なものだったが、柚奈が勝利するときには時間も体力もほぼ無い状況であろう。そう、結衣は柚奈との相打ち、もしくわ時間稼ぎを目的としていたのだ。
(まずいです。このままいけば、時間がただ過ぎるだけでなく、私の霊力体力ともにスズメの涙ほどしか残ってないでしょう。早くこの戦闘を終わらせたいですが、あと一歩で結衣の息の根を止めることができません。どうすれば……)
「そろそろ察したようね。私はあなたに勝つ気はないわ。あなたにはここで霊力と体力を置いていってもらうわ。そうすれば、彼の方を邪魔する者はどこにもいない。さぁどうする」
「うざい言い方だけど奴の言う通りだよ柚ちゃん。ここからどうするんだ?」
「そうですね。彼女は私の武器を使い、私の動きを把握した上で、武器の上下を関係なくしています。そのせいで私は中々彼女の首を跳ねることができません。それなら話が変わってくるではありませんか?」
「なるほど柚ちゃん。私も察しが良くなってきたよ。そろそろ暴れたいと思っていたんだ」
「ではお願いします。豊ちゃん。豊玉姫命我が体を差し出します。その力で敵を斬り払ってください『憑依』」
柚奈の瞳は前に憑依した時と同じく、キラキラ輝く宝石の様な金色になり、着ていた服も水色を基調とした着物を着ていた。結衣は憑依に気づくと面倒くさそうに舌打ちをした。
「あら。私が相手じゃ不満かな~?」
「そうね。ちょっと動きが分からないから面倒ってだけよ。別に私の力も甘く見過ぎると神様の首も弾きますよ」
「うふふ、減らず口を叩く女が調子に乗りやがって、まぁすぐに決めてあげるよ」
豊姫は柚奈に憑依するとニヤリと笑い、刀を結依に構えた。刀を向けられた結依は目の上の血管が浮き出るくらい、苛ついた。
そして豊姫は素早く走り出した。結依は豊姫の動きを目で追った。豊姫はトリッキーに左右に素早く動き、結依を翻弄した。
「さてと、そろそろ斬りかかろうかな」
「くっ、ちょこまかと、諦めが悪いみたいね。でも、私は殺られない。私はあの方の為に尽くすのです」
そして次の瞬間、豊姫は足を強く踏み入れ、結依に急接近した。いきなりの早さになんとか反応した結依は刀でぎりぎり防いだ。
両者の刀はギギギと火花を散らすようなつばぜり合いだった。結依は刀を払い、距離をとろうと後に下がった。しかし、休む暇を与えないよう豊姫は走り出し、真っ直ぐ接近した。
また、刀同士の熱い戦いが繰り広げられた。結依は息を切らしながらも豊姫の姿を見失わないよう目で追った。
「そろそろ息があがってきたみたいじゃないか。次で決めるよ」
「ちっ、確かにこのままだと私の体力の限界の方が早くきそうだわ。でもね、そんな簡単には死ねない」
「じゃあどこまで耐えられるか楽しみだ。『海の逆襲』」
突然、豊姫の足元から海水が広がり一瞬にして豊姫を包んだ。海水は刀のようにコバルトブルーな美しい鮮明な色だった。豊姫は地面を軽く蹴ると、海水が豊姫を乗せて、勢いよく結依に向かって接近した。
結依は接近してくる豊姫を見ると、刀を構え、海水を溢れだした。豊姫の海水の量は尋常ではなく大量だが、結依はあまり多いとは言えない量だった。それでも結衣は海水を刀に纏わせ、構えた。
そして勢いよく豊姫が向かってくると結衣は息を飲み、深呼吸をした。豊姫はこの技で決めようと覚悟を決めた。『海の逆襲』は自分の霊力を、海に注ぎ込むことで、生きているかの様に波が荒れ狂い、パワーが増加する。豊姫は柚奈への負担を考えるとこの技で決めるのが、ベストだった。
大波が飛び散り、サメが向かってくるかの様に物凄い速さで結衣の目の前まで一瞬でたどり着いた。結衣はその早さに、驚いたものの、刀を振り負けじと波を立てた。
「そんな波、私が飲み込んでやる」
「私は負けない、負けない。負けられないんだ。喰らえ『鏡写し』」
「柚ちゃん! 来たよ、避けて」
「いいえ、こんな物、私なら斬り通します」
柚奈は襲いかってくる蔓に対し、刀から色鮮やかなコバルトブルーな海水を溢れ出し、斬っていった。蔓は柚奈に斬られると、地面に落ちて煤となっていった。減っていく蔓に結衣はさらに焦った。そして苦し紛れに結衣は刀を生成した。刀は柚奈の『絶海の刀』だった。結衣は蔓を操るのを諦め、海水を溢れ出しながら刀を構えた。構えるその瞳は余裕がなく、何かに怯えていた。
「まだまだまだだ! 私は! ここで死ぬわけにはいかないんだ」
「私もここで! 諦めきれないんですよ!」
柚奈と結依は刀で激しい攻防が繰り広げた。結衣の刀は柚奈の刀よりも格下のはずだが、黒い海水を纏い、互角に戦っていた。柚奈もその威力に驚いていたが、全力で柚奈もぶつかった。激しい攻防はお互いの霊力と体力を削りあった。このまま続けば、柚奈の勝利は確実なものだったが、柚奈が勝利するときには時間も体力もほぼ無い状況であろう。そう、結衣は柚奈との相打ち、もしくわ時間稼ぎを目的としていたのだ。
(まずいです。このままいけば、時間がただ過ぎるだけでなく、私の霊力体力ともにスズメの涙ほどしか残ってないでしょう。早くこの戦闘を終わらせたいですが、あと一歩で結衣の息の根を止めることができません。どうすれば……)
「そろそろ察したようね。私はあなたに勝つ気はないわ。あなたにはここで霊力と体力を置いていってもらうわ。そうすれば、彼の方を邪魔する者はどこにもいない。さぁどうする」
「うざい言い方だけど奴の言う通りだよ柚ちゃん。ここからどうするんだ?」
「そうですね。彼女は私の武器を使い、私の動きを把握した上で、武器の上下を関係なくしています。そのせいで私は中々彼女の首を跳ねることができません。それなら話が変わってくるではありませんか?」
「なるほど柚ちゃん。私も察しが良くなってきたよ。そろそろ暴れたいと思っていたんだ」
「ではお願いします。豊ちゃん。豊玉姫命我が体を差し出します。その力で敵を斬り払ってください『憑依』」
柚奈の瞳は前に憑依した時と同じく、キラキラ輝く宝石の様な金色になり、着ていた服も水色を基調とした着物を着ていた。結衣は憑依に気づくと面倒くさそうに舌打ちをした。
「あら。私が相手じゃ不満かな~?」
「そうね。ちょっと動きが分からないから面倒ってだけよ。別に私の力も甘く見過ぎると神様の首も弾きますよ」
「うふふ、減らず口を叩く女が調子に乗りやがって、まぁすぐに決めてあげるよ」
豊姫は柚奈に憑依するとニヤリと笑い、刀を結依に構えた。刀を向けられた結依は目の上の血管が浮き出るくらい、苛ついた。
そして豊姫は素早く走り出した。結依は豊姫の動きを目で追った。豊姫はトリッキーに左右に素早く動き、結依を翻弄した。
「さてと、そろそろ斬りかかろうかな」
「くっ、ちょこまかと、諦めが悪いみたいね。でも、私は殺られない。私はあの方の為に尽くすのです」
そして次の瞬間、豊姫は足を強く踏み入れ、結依に急接近した。いきなりの早さになんとか反応した結依は刀でぎりぎり防いだ。
両者の刀はギギギと火花を散らすようなつばぜり合いだった。結依は刀を払い、距離をとろうと後に下がった。しかし、休む暇を与えないよう豊姫は走り出し、真っ直ぐ接近した。
また、刀同士の熱い戦いが繰り広げられた。結依は息を切らしながらも豊姫の姿を見失わないよう目で追った。
「そろそろ息があがってきたみたいじゃないか。次で決めるよ」
「ちっ、確かにこのままだと私の体力の限界の方が早くきそうだわ。でもね、そんな簡単には死ねない」
「じゃあどこまで耐えられるか楽しみだ。『海の逆襲』」
突然、豊姫の足元から海水が広がり一瞬にして豊姫を包んだ。海水は刀のようにコバルトブルーな美しい鮮明な色だった。豊姫は地面を軽く蹴ると、海水が豊姫を乗せて、勢いよく結依に向かって接近した。
結依は接近してくる豊姫を見ると、刀を構え、海水を溢れだした。豊姫の海水の量は尋常ではなく大量だが、結依はあまり多いとは言えない量だった。それでも結衣は海水を刀に纏わせ、構えた。
そして勢いよく豊姫が向かってくると結衣は息を飲み、深呼吸をした。豊姫はこの技で決めようと覚悟を決めた。『海の逆襲』は自分の霊力を、海に注ぎ込むことで、生きているかの様に波が荒れ狂い、パワーが増加する。豊姫は柚奈への負担を考えるとこの技で決めるのが、ベストだった。
大波が飛び散り、サメが向かってくるかの様に物凄い速さで結衣の目の前まで一瞬でたどり着いた。結衣はその早さに、驚いたものの、刀を振り負けじと波を立てた。
「そんな波、私が飲み込んでやる」
「私は負けない、負けない。負けられないんだ。喰らえ『鏡写し』」
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