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海に眠る刀
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柚奈の優しい瞳を見ると朝日は右目から涙が溢れ、立ち止まった。リヴァイアサンは痛みを堪えながら刀を振り、旭に襲いかかった。旭は目の前から接近してくるリヴァイアサンが見えてないかのように目の前が真っ暗になった。立ち止まる旭に対し朝顔は悲しみながらも声をかけた。
「旭ちゃん。柚奈ちゃんのためにも早く……終わらせてあげて」
「くっ! ばかやろ!」
旭は涙を右手で拭い、右手を開いて前に突き出した。そしてリヴァイアサンの腹の中にある朝顔の種に合図を送った。するとリヴァイアサンの腹部から二本目の蔓が飛び出してきた。
「うわぁぁぁ!」
「はぁはぁ……柚奈。このままだと私は人殺しになってしまうぞ。柚奈! 踏ん張れや」
「旭ちゃん! これ以上の攻撃は柚奈ちゃんを殺すことになります。やめてください」
叫ぶリヴァイアサンを見て朝顔は心をひどく傷んだ。意識はリヴァイアサンとはいえ見た目は柚奈であるから当然である。腹部から生えてきた朝顔は太陽の光に当たると美しい紫色に咲き誇った。霊力がゼロに近い朝日はただただ柚奈が正気を取り戻すまで、朝顔に合図を出すことしかできなかった。それでも旭は柚奈が正気を取り戻せると信じ、リヴァイアサンの動きを止めるように合図を出していった。
「ゔぅ、う、はぁはぁ。わ、私は力にお、溺れない」
「いいぞ柚奈! その調子だ! 頑張って自我を取り戻すんだ」
しかし、柚奈の意識はすぐに消え、海の龍の叫び声が響き渡った。
そこから三十分くらい経過した。まだ柚奈の意識は取り戻すことができず、苦戦していた。
(あれから三十分くらいか。まずいなどんどん柚奈の寿命が減っていく。このままだと私も体力の限界で倒れちまいそうだ。早くしろ柚奈)
柚奈はリヴァイアサンの意識の中で戦っていた。意識の中は大嵐の海で、その上で柚奈は刀を振り、巨大な龍、リヴァイアサンと戦っていたのであった。気を抜けば、海に溺れたり、リヴァイアサンの尻尾に打たれたりとどんどん柚奈は海底へと沈んでいった。しかし、諦めない柚奈は豊姫なしで刀を振った。
「早く……早く意識を抑えないと! でも、大きすぎるし、鱗が硬いです。こんな時先輩は絶対諦めないです。傷だらけの私ですが、この寿命が尽きるまで戦いましょう」
「ぐわぁぁ!」
意識の中のリヴァイアサンは大きな叫び声で柚奈を威嚇し、鋭い牙や硬い尻尾で襲いかかった。柚奈は荒れる海の上を走り、攻撃を避けながら何とか刀で斬りかかった。しかし、その強固な鱗のせいで刀はずっと斬ることができなかった。
「くっ。私に、私にあの強固な鱗を斬り裂ける力があれば……」
すると柚奈の刀が鮮明されたコバルトブルーに光り輝いた。握っていた柚奈の愛刀『絶海の刀』の姿は消え、新たに刀が生成された。その刀の名は『海に眠る刀』だ。刀の色は水色と青を基調にしており、鍔の部分が蛍光ピンクだった。柚奈は刀が進化したことに気づくと驚きもせず、心を通じながら刀を握り、リヴァイアサンを見た。
「ありがとう。『海に眠る刀』。私は自分を解放することができたんですね。これで終わりです。あなたを封じ込めます」
「ぬかせ女。お前は一度私の力に溺れた者だ。そんな簡単に私を斬れるとでも思っているのか! お前を海底の底に封じ込めてやる」
「それはあなたです」
柚奈はコバルトブルーに輝く刀を構えると、走り出した。リヴァイアサンが波を立てて、尻尾で襲ってくると柚奈は尻尾に飛び乗り、上に進むように走った。そして刀からは鮮明された美しい青色の海水が溢れ、輝いた。意識の中の荒れた黒い海とは違い、虹色に輝いていた。その海水が黒い海に触れると黒い海は、石鹸で現れたように綺麗な海になっていった。
そして柚奈は飛び、刀をリヴァイアサンに向け、言葉を放った。
「これが私があなたを超える技です。『龍殺しの刀 海』これで、決めます!」
柚奈は溢れる海水を刀に纏い、そのままリヴァイアサンの首目掛け刀を振り下ろした。
「ふん、私の鱗は硬い。そんな生刀で私の首は斬れんよ」
余裕そうな表情をしていたリヴァイアサンだったが、海水を纏った刀が鱗に当たると鱗は溶けるように煤になった。その様子を見たリヴァイアサンは焦ったが、避ける暇も与えず、柚奈は歯をくいしばり力強く刀を振った。するとあんなにも硬かった鱗は豆腐のように柔らかくスッと斬ることができた。
リヴァイアサンは叫ぶ暇もなく白目をむき、海の底へと沈んでいった。そして柚奈が海に着地すると意識の中の海は見る見るうちに浄化されていき、刀と同じ、鮮明されたコバルトブルー色の海へと変わった。
ふと目が覚めると柚奈の目の前には朝日がいた。
「あ、旭ちゃん?」
旭は走り出し、柚奈を抱きしめた。涙を隠しながら旭は柚奈に言葉を送った。
「馬鹿野郎! あんな化け物に心を支配されるなんて! もっとお前は強いはずだろ」
「く、苦しいです旭ちゃん。でも、ありがとうございます。おかげで私は無事です」
「柚ちゃーん! 私もやっと解放されたよ。一次はどうなるかと思ったけどさ~。あ、早く怜くんのいる病院に向かおう!」
「そうだな。葵ちゃんも心配だが、まずは怜だ」
「わかりました。いきましょう」
二人はボロボロの傷のまま、病院へと走り出した。そしていつの間にか柚奈の中の朝顔の種は消えていた。それは柚奈の刀が浄化してくれたのかもしれません。
二人は手を挙げ、タクシーを捕まえると急いで怜のいる病院へと向かった。タクシーの中では焦っていたが、数分するとさっきの戦闘からか二人は疲れて眠ってしまった。
「旭ちゃん。柚奈ちゃんのためにも早く……終わらせてあげて」
「くっ! ばかやろ!」
旭は涙を右手で拭い、右手を開いて前に突き出した。そしてリヴァイアサンの腹の中にある朝顔の種に合図を送った。するとリヴァイアサンの腹部から二本目の蔓が飛び出してきた。
「うわぁぁぁ!」
「はぁはぁ……柚奈。このままだと私は人殺しになってしまうぞ。柚奈! 踏ん張れや」
「旭ちゃん! これ以上の攻撃は柚奈ちゃんを殺すことになります。やめてください」
叫ぶリヴァイアサンを見て朝顔は心をひどく傷んだ。意識はリヴァイアサンとはいえ見た目は柚奈であるから当然である。腹部から生えてきた朝顔は太陽の光に当たると美しい紫色に咲き誇った。霊力がゼロに近い朝日はただただ柚奈が正気を取り戻すまで、朝顔に合図を出すことしかできなかった。それでも旭は柚奈が正気を取り戻せると信じ、リヴァイアサンの動きを止めるように合図を出していった。
「ゔぅ、う、はぁはぁ。わ、私は力にお、溺れない」
「いいぞ柚奈! その調子だ! 頑張って自我を取り戻すんだ」
しかし、柚奈の意識はすぐに消え、海の龍の叫び声が響き渡った。
そこから三十分くらい経過した。まだ柚奈の意識は取り戻すことができず、苦戦していた。
(あれから三十分くらいか。まずいなどんどん柚奈の寿命が減っていく。このままだと私も体力の限界で倒れちまいそうだ。早くしろ柚奈)
柚奈はリヴァイアサンの意識の中で戦っていた。意識の中は大嵐の海で、その上で柚奈は刀を振り、巨大な龍、リヴァイアサンと戦っていたのであった。気を抜けば、海に溺れたり、リヴァイアサンの尻尾に打たれたりとどんどん柚奈は海底へと沈んでいった。しかし、諦めない柚奈は豊姫なしで刀を振った。
「早く……早く意識を抑えないと! でも、大きすぎるし、鱗が硬いです。こんな時先輩は絶対諦めないです。傷だらけの私ですが、この寿命が尽きるまで戦いましょう」
「ぐわぁぁ!」
意識の中のリヴァイアサンは大きな叫び声で柚奈を威嚇し、鋭い牙や硬い尻尾で襲いかかった。柚奈は荒れる海の上を走り、攻撃を避けながら何とか刀で斬りかかった。しかし、その強固な鱗のせいで刀はずっと斬ることができなかった。
「くっ。私に、私にあの強固な鱗を斬り裂ける力があれば……」
すると柚奈の刀が鮮明されたコバルトブルーに光り輝いた。握っていた柚奈の愛刀『絶海の刀』の姿は消え、新たに刀が生成された。その刀の名は『海に眠る刀』だ。刀の色は水色と青を基調にしており、鍔の部分が蛍光ピンクだった。柚奈は刀が進化したことに気づくと驚きもせず、心を通じながら刀を握り、リヴァイアサンを見た。
「ありがとう。『海に眠る刀』。私は自分を解放することができたんですね。これで終わりです。あなたを封じ込めます」
「ぬかせ女。お前は一度私の力に溺れた者だ。そんな簡単に私を斬れるとでも思っているのか! お前を海底の底に封じ込めてやる」
「それはあなたです」
柚奈はコバルトブルーに輝く刀を構えると、走り出した。リヴァイアサンが波を立てて、尻尾で襲ってくると柚奈は尻尾に飛び乗り、上に進むように走った。そして刀からは鮮明された美しい青色の海水が溢れ、輝いた。意識の中の荒れた黒い海とは違い、虹色に輝いていた。その海水が黒い海に触れると黒い海は、石鹸で現れたように綺麗な海になっていった。
そして柚奈は飛び、刀をリヴァイアサンに向け、言葉を放った。
「これが私があなたを超える技です。『龍殺しの刀 海』これで、決めます!」
柚奈は溢れる海水を刀に纏い、そのままリヴァイアサンの首目掛け刀を振り下ろした。
「ふん、私の鱗は硬い。そんな生刀で私の首は斬れんよ」
余裕そうな表情をしていたリヴァイアサンだったが、海水を纏った刀が鱗に当たると鱗は溶けるように煤になった。その様子を見たリヴァイアサンは焦ったが、避ける暇も与えず、柚奈は歯をくいしばり力強く刀を振った。するとあんなにも硬かった鱗は豆腐のように柔らかくスッと斬ることができた。
リヴァイアサンは叫ぶ暇もなく白目をむき、海の底へと沈んでいった。そして柚奈が海に着地すると意識の中の海は見る見るうちに浄化されていき、刀と同じ、鮮明されたコバルトブルー色の海へと変わった。
ふと目が覚めると柚奈の目の前には朝日がいた。
「あ、旭ちゃん?」
旭は走り出し、柚奈を抱きしめた。涙を隠しながら旭は柚奈に言葉を送った。
「馬鹿野郎! あんな化け物に心を支配されるなんて! もっとお前は強いはずだろ」
「く、苦しいです旭ちゃん。でも、ありがとうございます。おかげで私は無事です」
「柚ちゃーん! 私もやっと解放されたよ。一次はどうなるかと思ったけどさ~。あ、早く怜くんのいる病院に向かおう!」
「そうだな。葵ちゃんも心配だが、まずは怜だ」
「わかりました。いきましょう」
二人はボロボロの傷のまま、病院へと走り出した。そしていつの間にか柚奈の中の朝顔の種は消えていた。それは柚奈の刀が浄化してくれたのかもしれません。
二人は手を挙げ、タクシーを捕まえると急いで怜のいる病院へと向かった。タクシーの中では焦っていたが、数分するとさっきの戦闘からか二人は疲れて眠ってしまった。
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