守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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葵ちゃんと旭はバイトを探す

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　いつも通り、怜と柚奈は修行を始めた。黙々と二人は電子版を触り、それぞれ違う修行のメニューで、人形と戦った。
　そして数時間後、朝の十時を回るとやっと旭が目を覚まし、眠そうに目を擦りながらリビングへとやってきた。朝顔が笑顔で出迎えると旭は怜たちがいないことに気づいた。旭は辺りを見回し、ガラガラ声で朝顔に尋ねた。

「なぁ、朝顔。あいつらどこいったんだ？」
「朝の七時頃には皆さん、修行に行かれました」
「はぁ！？　私をのけ者にしていったのね！」
「いえいえ、皆さん旭ちゃんに気を使って……」
「こうしちゃいらんねぇ、早く私も行かないと」

　旭は朝顔の話も聞かずに、走り出し、朝の支度を始めた。リビングにあったおにぎりを口に放り込むと着替えや歯磨きを済ませ、わずか五分足らずで準備ができた。

「旭ちゃん、だから皆さんは……」
「よっしゃー、朝顔！　準備ができたよ。早く行こう」

　朝顔の手を引き、旭は巻物の世界に行った。
　丁度、休憩中だった二人の元に旭が、急いできた。怜は旭を見ると笑顔で挨拶をした。しかし、置いていかれたと勘違いしている旭は鬼の形相で怜に近づいた。

「あ！　旭ちゃん、おはよう」
「旭ちゃん、おはようございます」
「何がおはようだよ！　こっちは置いていかれて怒っているんだからね！　ふんっ」
「え？　朝顔さんから何か聞いてないんですか？」
「へ！？」

　怜と柚奈は丸い目をして聞くと、旭は驚き、後ろにいる朝顔の顔を見た。朝顔は頬を膨らませ、ご立腹のようだった。旭はバタバタしていたので、朝顔の言葉は耳に入ってこなかったのだ。旭は恐る恐る朝顔に聞いた。

「まさか朝顔、私に話しかけてた？」
「ふんっ。そうですよ、旭ちゃんがちゃんと私の話を聞かないのがいけないんですよ」
「ごめんごめん。反省するからさ」

　旭は朝顔に頭を下げ、なんとか許してもらった。しかし、こういうことは今日に限らず、毎回やっているので、朝顔も呆れているのだった。旭は修行と張り切っているが、柚奈が旭に近づき、笑顔で話しかけた。

「旭ちゃん、昨日の約束覚えていますよね？」
「え！？　何か約束したっけ？」
「はぁ、やっぱり覚えてないんですね。あなたはお金がまとまるまで、ここに居ていいと言いました。なので、旭ちゃんはこれからバイトできるところを探してきてください」
「がーん！　忘れてた！　はぁ～、それじゃ行ってくるかぁ。朝顔行くぞ」

　旭は渋々、安定した生活を手にするために、元の世界に戻り、冷たい雨の降る外に出ていった。
　心配そうに怜は柚奈に質問をした。

「なぁ柚奈ちゃん。旭ちゃん一人で大丈夫かな？」
「どうしてですか？」
「前にもいってただろ？　奴らに監視されているかもしれないって。だから一人だったら奴らに襲われてしまう可能性があるって話よ」
「それなら大丈夫だよ！　私にはわかるよ。旭ちゃんはね、守護霊としての基本が身に付いているから、しっかり奴らの監視から逃れると思うし、万が一の場合はしっかり教えてくれると思うし、あの子はベテランだからね」

　豊姫が、武器化を解除して話し出した。その話を聞いた怜は昨日戦った感じが、とても戦い慣れしていたので、納得した。問題なのはどういうバイトをするのかだった。それに関しては本人が帰ってきたら聞こうと怜は思った。
　その後、また修行をし、夕方になった。二人は元の世界に戻ると、リビングには旭がいた。早速怜は旭に質問した。

「お！　旭ちゃん早いね。なんのバイトにしたの？」
「え！？　あ、まぁ。その……今日は、雨が強かったからやめた感じなぁ。えへへ」

　バイト探しをサボった旭に対し、怜の後ろから柚奈が紫色の禍々しいオーラを放ち、睨んでいた。旭はまずいと思い、必死に謝った。

「悪かったよ。明日は必ず見つけるからさー。そんな怒んないでくれよ」
「はぁ、わかりました。明日も雨ですし、今週中はネットとかで近場を探してください。来週からはきちんと面接までしてきてくださいね」
「はーい」
「え！　葵もバイトしたーい」

　いきなり葵が飛び出してきた。さっきは武器化をしていたので、疲れから話に参加できなかったが、バイトと聞き、葵は興味を持って食いついた。
　その様子を見た怜は葵のことだから食べ物目当てだと思った。

「ははーん。葵ちゃん、どうせ賄いとか廃棄物目当てでしょ～」
「え！？　なんでわかるの」
「おいおい、やっぱりそれ目当てかよ。それにしてもバイトってよく知ってたな」
「怜の学校行った時にそんなこと話している人いたからさー」
「あぁ、なるほど。でもな葵ちゃん、バイトってのはな、辛いんだぞ」
「先輩バイトやってことないですよね？」
「まぁやったことはないけど、その大変さは知ってるぞ？　的なやつ」

　怜はバイトの大変さを伝えようとしたが、経験がないところを柚奈につかれ、あたふたするのであった。

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