守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

葵ちゃんと怜の暴風は時にはラッキーなことが起こる

怜は右手の拳を力強く握りしめ、毒霧を吹き飛ばすことを頭で考えた。そして、霊力の流れを意識し、無駄に使いすぎないように力を調整した。そして次の瞬間、怜がパンチを繰り出す瞬間に手袋の青いラインが光りだした。それはまるで青い稲妻のようだった。怜は毒霧を吹き飛ばすように拳を突き出すと、充満しそうだったくらいの量の毒霧はあっという間にどこかに吹き飛ばしてしまった。何より、怜のパンチの威力が桁外れだったのか、暴風が人形を襲った。
　流石の人形も暴風は予想外だったのか、両手を前クロスさせ、風から自分の身を守った。このチャンスをもちろん逃さない柚奈は刀を持ち、走り出した。そして飛び、刀を上空に振り上げ、人形の首を狙った。
　暴風が止み終わると人形が前を見ると柚奈の存在がなかった。そして上を向いた時にはもう遅く、柚奈は人形の首を斬り落とした。

「ふ～、先輩。やるじゃないですか」
「だろうー、俺も意外とこの武器を使いこなせるようになってきたよ。だが、まだ力加減だなぁ。さっきあんなに威力も必要なさそうだったし、霊力は残しておいたほうがいいから自己評価では最悪だな」
「あら怜くん。結構霊力について覚えてきたんじゃない？　私驚いたわ」

　霊力について怜が話していると豊姫が柚奈の刀越しから声をかけてきた。怜は少し微笑みながらも次の修行に挑んだ。ちなみにさっき倒した人形は守護霊使い型のランクCである。守護霊使い型になるとランクによって力が分かれる。ランクはS～Cまである。その中の怜達はCを倒したのだった。
　また、怜が電子版をタッチし、人形を出した。次はさっきの魔女のような人形のランクBに挑むようだ。

「よし、柚奈ちゃん今度はBだ。さっきの反省を踏まえて戦うぞ」
「はい、わかりました」

　人形が出てくると人形はまた杖を構えた。

「来るぞ！　気をつけるんだ」

　怜が何かを察知し、柚奈に注意を仰いだ。
　すると人形は杖から紫色の球体を出した。球体は毒々しい色をしており、サッカーボールくらいの大きさだった。そして人形はその球体を怜達に向かって発射した。
　目で終える速さだが、かなり早かった。二人は避けることができたが、地面に落ちた球体を見るとそこに生えていた草は紫色になって腐り、全体的に腐敗していた。
　怜はそれを見ると驚いて柚奈に聞いた。

「なんだよあれ。当たったら俺の体溶ける自信があるんだが？」
「あれは『毒の球体ポイズンボール』です。当たるとそこまでのダメージはありませんが、蛇の毒が入っているので蓄積して毒のダメージを受けますし、何より霊力のコントロールが難しくなります」

　そんな二人が話していると人形は待つはずもなく、連続して毒の球体を発射し始めた。怜と柚奈は避けながら人形に近づいた。
　人形との距離のこり十メートルを切ると柚奈は刀から海水を出し、目を瞑り、刀を構えた。そして毒の球体が柚奈を捉えると、柚奈はパッと目を見開き、刀を下に構えるように持ち、上に振りかざした。

（柚奈ちゃん何をする気なんだ！？　あれじゃ地面に刀を刺すことになるぞ。一体柚奈ちゃんは何をする気なんだ）

　毒の球体が柚奈の目の前に来ると柚奈は思いっきり刀を下に突き刺した。

「これが私の新技です。『荒れ狂う海津波』」

　柚奈の刀が刺した地面から上空に向かって数十メートルくらいの波が飛び出た。そして波は横に広がり、柚奈の前から人形に向かって波は飲み込むように流れた。もちろん目の前にきた毒の球体や周りから飛んできた毒の球体は全て飲み込み、人形に向かっていた。
　波は大きく広がりながら人形の逃げ道を無くすように向かっていった。人形は荒れ狂う紺色の波の対策がなく、大きな毒の球体を作り、その上に乗って上空に上がって波を防いだ。
　上空にいった人形を波は捉えることができないが、柚奈が怜に合図を出した。

「先輩、今がチャンスです。あの人形を撃ち落とせますか？」
「あぁ任せろ。俺がここで決める！」

　怜は球体に乗ってプカプカ浮いている人形を狙い、拳を構えた。黙ってやられる人形でもなく、人形は浮き名がら杖を構えて毒の球体を怜めがけ発射してきた。
　拳を構えている怜は防ぐことはできなかったが、毒の球体は怜に届く前に荒れ狂う海で防ぐことができた。
　そして次の瞬間、怜は人形目掛け、拳を突き出した。するとまた暴風が人形を襲い、人形の乗っていた球体は破裂し、人形は柚奈の海に落ちた。
　荒れ狂う海は人形を襲い、身動きを封じた。柚奈は刀を抜き、海の上を歩き、身動きの取れなくなった人形の首を斬り落とした。
　柚奈は顔を真っ赤にし、怜の顔をじっと見た。

「先輩、あれはわざとですか？　答えようによっては私怒りますからね！」

　そう、あの時怜が拳を突き出し、暴風を巻き起こした時に起こった。暴風は人形の球体を狙ったが、同時に柚奈のスカートも被害を受けてしまったのだ。もちろんわざとじゃない怜だったが、思わず、その柚奈の水玉のパンツに目がいってしまったのだ。
　柚奈は修行だったので、その時は気にせず戦ったが、今は顔を赤くして怜を問い詰めた。
　しかし、右の鼻から鼻血を少し出している怜はもう何を言っても、怒られる怜であった。