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葵ちゃんと何でも武器を使える柚奈ちゃん

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 柚奈が怜に声をかけ、二人は武器を構え、次の人形の倒し方を考えた。人形は修復が終わると、ゆっくりと立ち上がった。

「レベル18ショウメツ。レベル19ニ、イコウスル」
「さて、今度はどんな風に来るのかな」
「先輩、油断禁物です」

 するとまたしても人形は走り出した。さっきよりも早いが、目で追えるスピードだ。しかし、走りはさっきと違ってまっすぐ突っ込む様な形で走ってきた。
 怜はとりあえず、様子見のためにマスケット銃で人形の頭を狙った。銃を発砲すると人形の頭に向かってまっすぐ飛んで行った。
 怜は決まったと思い、銃を下げ、余裕な表情をした。

「ヘットショットだぜ。決まったな!」

 怜は勝ったと思い、銃弾が人形の頭を貫くところを見るが、銃弾が人形に近ずくと、人形は刀で、親指サイズの銃弾を真っ二つに斬った。斬られた銃弾は地に落ちた。それと同時に怜は焦り、マスケット銃を構え、急いでリロードして撃った。だが、その銃弾も全て容易く人形の刀に斬られてしまった。
 柚奈は走って向かってくる人形に対し、ランスを持って走り出した。
 怜は諦めずに銃弾を撃ち続けた。しかし、焦る怜はどんどん銃の命中率が下がり、銃弾んは人形に当たらなくなっていった。
 そして柚奈と人形が衝突した。柚奈が力一杯ランスを突き出しと、人形は上に飛び、刀で柚奈の頭を狙った。

「やはり上でしたか。いいでしょう。このランスの重さを利用して、避けましょう。先輩、今のうちです。狙ってください」
「お、おう」

 柚奈は上に飛んだ人形をランスで返り討ちにするわけではなく、ランスの重さを利用し、突き出した方向に体を移動させて、人形からの攻撃を凌いだ。なぜ柚奈は突き出したランスを戻して攻撃しなかった理由は、ランスの重さが問題である。柚奈の様な少女では思いランスを引き戻し、攻撃したとしても大きな隙ができてしまう、なので、柚奈は避けながらランスで攻撃する戦法なのである。
 避けた柚奈を見た怜は、マスケット銃をリロードすると大きく息を吸い、目を瞑り、集中して人形を狙った。
 人形はそのまま柚奈を狙い続け、怜に背を向けた状態で柚奈に斬りかかった。柚奈は人形の攻撃をランスを楯にして、なんとか防いだ。
 そして怜は目を大きく見開き、銃弾を発砲した。銃弾は優しく流れる風を切り、物凄い勢いで人形めがけ飛んで行った。

(いい方向だ。よし、次の銃弾だ。さっきは油断して打てる数を自ら減らしてしまった。挙げ句の果てには銃弾が命中しない時もあった。情けない。いつ俺がそんな人形を一撃で倒せるやつになった? いや、俺はまだ弱い、だからこそ今から成長するんだ)

 怜はさっきの油断した時の反省を踏まえ、素早くリロードし、銃弾を撃ち続けた。
 その様子を見た翔子は驚き、目を疑った。

(なんじゃあやつ。さっきの反省を踏まえておるのか!? 人は同じ過ちを何回もすると思っておったのじゃが、怜は自分の成長させるのがどうやら上手いらしいのぉ)

 次々と発砲される銃弾に人形は刀で払いながら、柚奈に攻撃した。隙ができるのを待ち望んだ柚奈は怜の銃弾を防御する人形を見て、隙を伺った。
 そして刀で銃弾を払う僅かな隙を見つけ、自ら銃弾にあたりに行く様に柚奈はランスを突き立て、前進した。
 銃弾は柚奈の左肩を擦り、光がこみ上げたが、柚奈は気にせず、突進した。
 人形はランスを突き立てられ、なんとか刀で守るが、ランスの力強さに負け、人形は自分の左腕を犠牲に避けた。
 ランスは人形の左腕を貫通した。人形は片手で刀を下に持った。
 柚奈は嫌な予感がし、人形から距離を取るように怜の方に下がった。人形は柚奈を追いかけるように走り出した。

「すまない柚奈ちゃん! 避けてくれ!」
「分かりました」

 怜の方に走る柚奈に対し、迫る人形に怜は銃弾を発砲した。銃弾は丁度柚奈の顔スレスレで通りすぎ、人形の体を捉えた。
 人形は赤い目を禍々しく光らせ、刀で次々に銃弾を斬っていった。

(マジかよ!? これがレベル19!? リロードにもやっと慣れてきて、さっきよりも命中率が高くて、銃弾数が多いはずだぞ。クソ、今は柚奈ちゃんのサポートだ。銃弾が当たったらラッキー程度で考えよう)

 息を切らしながら走る柚奈に対し、人形はペースを変えず、向かってきた。その距離後十メートルくらいだった。柚奈は怜まで後数十メートルあったが、ランスの重みで、思うように走れなかった。
 そして次の瞬間、人形は刀を元の持ち方に戻し、柚奈に斬りかかった。
 柚奈は振り返り、ランスを人形めがけ、投げた。ランスは真っ直ぐ飛び、その重みとともに飛んでいくスピードは早かった。そしてまた怜の元に走った。
 ランスが飛んできた人形は高く飛び、避けた。
 怜は柚奈に当たらないように集中し、銃弾を撃ち続けた。

(よし、とりあえずは命中率は安定してる。が、容易く払われるが、なんとか時間は稼げているようだな。でも、柚奈ちゃん武器投げたし、これからどうやって戦うんだ?)

 柚奈がいきなり、ランスを投げたことに対し、これからどう戦うのか気になる怜だった。そんなことを考えていると、柚奈はあと怜まで数メートルのところまできた。しかし、その後ろにすぐ人形が刀を構えていた。
 怜は人形を狙い、銃弾を発砲した。

「柚奈ちゃん避けるんだ!」

 発砲された銃弾は柚奈の頭めがけ、飛んで行った。柚奈の頭を貫通するように飛んで行った。もうダメだと思った怜だったが、柚奈はスライディングし、怜のマスケット銃の下に避けた。銃弾はやはり人形に防がれてしまうが、柚奈は下から立ち上がり、怜のマスケット銃を奪い取った。

「先輩借ります」
「え!? はぁ!?」

 柚奈は怜からマスケット銃を奪うと、目の前に向かって刀を振り上げる人形に銃弾を発砲した。
 発砲された銃弾は人形と近かったため、確実にヘッドショット狙うことができ、人形の頭を貫通した。
 そして人形は刀を上げたまま、後ろに倒れた。

「すみませんね、先輩。私なんでも使えるんで」
「そうなのか。でも助かったぜ。ランスを投げた時には何事かと思ったよ」
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