守護霊になった葵ちゃんと一緒に悪霊退治を始めることになった

メロンジャム

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葵ちゃんと修行は複製人形!?

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「よし。素手で戦えとは言わんのじゃ。何か一つだけ武器を与えよう。何がいいのじゃ?」
「師匠。私は刀でお願いします」
「うーん。俺の武器は決まってないからなぁ。まぁ最近使ったからあのライフルにすっかな」

 すると翔子はまた手元の電子版をぽちぽち押していくと、翔子の手元が光り、刀が出てきた。刀は柚奈の物と似ていたが、全然霊力が感じられなかった。謂わば普通の刀だった。次にマルシンライフルが出てきた。この銃も刀と同様でただの銃だった。
 二人はそれぞれ武器を渡されると、柚奈は刀を振ってみたり、怜は銃の確認した。

「なぁこの銃なんだか重くね? あの時はすんなり持てたんだけど」
「仕方あるまい。お主は霊力で重さや狙い目、銃弾の操作まで補ってくれたんじゃ。何もないこの銃を上手く扱えるようになってこそじゃ。頑張るが良い」
「では師匠準備は満タンです。早速始めましょう」
「うむ」

 翔子は自分と似た木製の人形の背中に手をあて、霊力を送った。すると、人形は紫色のオーラを放ち、人間みたいに動き、翔子の方を振り向き、話し始めた。

「ワタシハナニヲシマスカ?」
「人形よ。あの二人をロックオンし、倒すのじゃ。レベル上限は二十じゃ。さぁやるのじゃ」
「ワカリマシタ」
「さぁ怜よ柚奈よ始めじゃ。この人形との戦いは場所を限らない。存分に戦うのじゃ」
「おうよ」
「はい」

 怜と柚奈はそれぞれ武器を構え、人形を警戒した。対する人形は走り出し、十メートル離れた二人に攻撃を仕掛けた。人形は翔子と似た短剣を右手に持っていた。
 人形は怜と柚奈に近付くなり、短剣をふり、柚奈に斬りかかってきた。
 柚奈は慣れているように重そうな刀をふり、人形の首元を狙い、斬りかかった。そのまま人形は避けきれず、刀をくらい首からぽろっと落ちてしまった。

「え!? まさかもう終わり?」
「いえ、先輩。今のはレベル1です。今からこの人形は私たちの戦い方の癖や立ち回りを研究し、どんどん学習能力が上がります。本番はレベル10からです。人形に探られないよう頑張って立ち回ってください」
「お、おうよ」

 人形は立ち上がり、切り落とされた頭を拾い、首にくっつけた。みるみるうちに首と頭は接合し、元どおりになった。
 そして人形は二人を見て、話し始めた。

「レベル1ショウメツ。レベル2ニ、イコウスル」
「いきますよ先輩」
「おうよ」

 その後怜と柚奈は学習能力をつけていく人形に対し、手の内や自分たちの癖を悟られないよう、工夫して戦った。
 そしてついに複製人形のレベルは10に到達した。

「レベル9ショウメツ。レベル10ニ、イコウスル」
「いよいよです、先輩。気を抜かないでください。さっきまでの人形とは違うはずです」
「わかった。このまま押し切るぞ」

 人形は瞳が紫色に光りだし、左手にも短剣を持ち、ものすごい速さで走り出した。
 怜は驚き、後ろに下がり距離を保った。しかし、人形の方が早くすぐに距離を縮められてしまいそうだった。柚奈がカバーに入り、なんとか人形の足を止めることができたが、さっきの速さは怜にとって、目で追えるのがやっとだった。
 柚奈は刀で応戦するが、人形の華麗なる短剣の斬りさばきに圧倒された。柚奈は刀で受けることがやっとだった。
 その様子を見た怜は銃口を人形に向け、発砲した。発砲の勢いで怜は後ろに下がった。銃弾は人形の頭の方に飛んで行ったが、銃弾は上昇し、頭の上を大きく通り過ぎた。

「マジかよ。レベル9までは近くで撃ってたから当たったとでも言うのか!? 当たり前だけど遠ければ遠いほど、狙いずらいし、当たらねぇ」
「先輩、私のことは気にせず撃ってください。この世界では、人は死にません。致命傷を負った時には光になり人魂になります。師匠がまた繰り返し、蘇生させてくれます。だから、存分に狙ってください」
「おうよ。覚悟しろよな柚奈ちゃん」

 怜は柚奈の言葉で安心し、人形を確立的に当たりやすい胸の間を狙った。しかし、柚奈の背中に当たってしまう可能性もあったが、怜は集中し、発砲した。
 銃弾はまっすぐ飛んでいき、柚奈の背中に当たりそうだった。ダメかと諦めかけた怜だったが、その瞬間に柚奈が見えないはずの銃弾を避けた。
 銃弾はまっすぐ、人形のお腹に当たり、跪いた。
 柚奈はチャンスを逃さず、人形の首を斬った。
 人形は倒れ、レベル10をクリアした。
 怜は柚奈に近付き、声をかけた。その間人形は修復していた。

「おい、柚奈ちゃん。なんで俺に背を向けてたのに銃弾を避けることができたんだ?」
「それはですね。まだ私自身の体力が残っていたので、スキルで周りの事を一瞬で見極めたんです。先輩も修行を続ければ、いつか自分のスキルを獲得する時が来るはずです」
「おぉ! そんなことができるのか! じゃ俺も修行中にたくさん手に入れるぞー」

 スキル習得に張り切っている怜だったが、人形の修復が完了し、話し始めた。

「レベル10ショウメツ。レベル11ニ、イコウスル」
「先輩。今の感じで、戦っていきましょう」
「おけ。任せろ」

 その後も修行は続き、次々に怜と柚奈は草原で、複製人形を倒していった。怜の銃も上達してきて、柚奈との戦いの相性や兼ね合いもよくなってきた。
 太陽のような光が巻物の世界を照らし、時間のが因縁がないこの世界では、修行開始から五時間が経とうとしている。
 一方守護霊たちは直径二メートルくらいの水の玉の上で座禅をしていた。集中力が切れると水の玉が破裂する仕組みらしい。
 豊姫は楽々と長時間、水玉の上で目をつぶり、神経を集中させ、座禅を組んだ。しかし、問題は葵だった。一時間経つごとに水は破裂し、「うわー」と叫びながら落ちた。

 戻って怜たちはいよいよ人形レベル18と対面した。17を倒す時にはもう二人ともいきは上がっていた。怜や柚奈は何回か、人形からのダメージを食らってしまったので、あと少しで、倒れそうだった。

「大丈夫か……柚奈ちゃん。結構ダメージ食らってるけど」
「はい、先輩こそ……ボロボロですし、息が上がってるみたいですね」
「あぁ、しかし、人形さんは俺たちを休ませてくれないらしいな」

 人形は立ち上がり、瞳が禍々しい黒が混じった緑色に光った。

「レベル17ショウメツ。レベル18ニ、イコウスル」
「先輩。きますよ」
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